第46話 欠片狩り第二波――学園内部侵入、三人一組の初連携
夜。
アステル学園は、本来なら完全に静まり返る時間帯だった。
だが今夜は違う。
結界は“破られていない”。
それでも――
中に、いる。
エリス「侵入方法は不明。
位相ずらし型……結界の“外と内の定義”を誤認させている」
俺「つまり……
最初から“中にいた”扱い?」
エリス「ええ。
厄介なやり方よ」
リリアは目を閉じ、集中している。
リリア「……三人。
一人は、近い。
残り二人は……」
一瞬、言葉が詰まる。
「……人に紛れてる」
(内部協力者……?)
■ 最初の接触
場所は、
旧研究棟へ続く回廊。
人払いは済んでいるはずの区域。
だが――
足音が、確かに聞こえた。
コツ……
コツ……
俺は、
自然に一歩前に出る。
エリス「ユウト、前に出すぎないで」
俺「わかってる。
でも――」
(守ると決めた)
影が、
曲がり角から姿を現す。
学園職員の服。
だが、歩き方が“合っていない”。
エリス「……来る」
次の瞬間。
職員の影が、
“折れた”。
人の形を保ったまま、
空間的に歪む。
侵入者「――発見」
(もう隠す気ないな……!)
■ 三人の初連携
エリス「第一段階、いくわよ!」
彼女が手を振る。
《闇式・位相固定》
空間が“カチリ”と音を立て、
侵入者の足元が一瞬止まる。
同時に――
リリア「《光導・遮断路》!」
白い光の線が走り、
回廊の両端を封じる。
(逃げ道、潰した!)
俺は、
侵入者と距離を詰める。
(壊さない。
奪わせない。
――閉じる)
侵入者が手を伸ばす。
「欠片――」
その瞬間、
俺は“位置”を固定した。
侵入者の腕だけが、
届かない場所にある。
侵入者「……なに?」
俺「そこには、もう無い」
(初めて、
狙ってやった……!)
■ 侵入者の正体
侵入者は、
低く笑った。
「やはり、
完全に“使い始めている”」
フードが落ちる。
中から現れたのは――
見覚えのある顔。
リリア「……え?」
エリス「……その顔……」
学園の下級研究補佐官。
事件後、結界調整を担当していた人物。
(内部協力者……確定)
侵入者「安心しろ。
裏切ったつもりはない」
「我々は――
真理に従っているだけだ」
(典型的なやばい思想……)
■ 第二・第三の影
突然、
回廊の奥と天井から、
気配が膨れ上がる。
リリア「……来る!」
エリス「ユウト、下がって!」
だが――
俺は動かなかった。
(今度は……
逃げない)
「二人とも、
俺の後ろに」
リリア「ユウト!?」
エリス「正気!?」
俺は、
欠片に問いかける。
(全部は無理。
でも――)
(ここだけは、守る)
空間の“結び目”を、
回廊全体に広げる。
侵入者二人が、
同時に“止まった”。
完全停止ではない。
“この場所に干渉できない”。
侵入者A「空間が……拒絶している……!」
侵入者B「まだ未完成のはずだぞ!?」
(……完成じゃない)
(覚悟だ)
■ 退却、そして一言
研究補佐官だった男が、
舌打ちする。
「……撤退だ」
黒い霧が立ち上る。
消える直前、
男は俺を見て言った。
「覚えておけ、欠片保持者」
「学園には――
まだ“鍵”が眠っている」
(……まだいるのか)
霧が消え、
回廊は静けさを取り戻した。
■ 戦闘後
リリアは、
少し震えながらも笑った。
「……三人で、止められたね」
エリスも、
珍しく肯定する。
「連携……想定以上」
俺は、
深く息を吐いた。
(初めてだ……)
(守るために、
自分の意思で使えた)
■ だが、残る不穏
エリスが、
静かに言った。
「内部協力者がいた以上、
これは終わらない」
リリア「……次は、
もっと近い未来が見えそう」
俺は、
二人を見る。
「……それでも、
一緒に行こう」
二人は、
同時に頷いた。
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