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幼児から始めるゆるゆる無双学園生活  作者: 蒼野湊
第3章 アステル魔術学園編

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第42話 学園祭開幕――華やぎの裏で、侵入は始まる

朝。


アステル学園の正門が開かれ、

街から人々がなだれ込んでくる。


商人、家族連れ、貴族、冒険者。

学園祭は年に一度、

一般人にも開放される最大の行事だった。


色とりどりの魔導灯。

宙を舞う幻影広告。

甘い匂いと、焼き物の煙。


ティオ「やっば!!

 テンション上がるわこれ!!」


ルカ「屋台多すぎ!」

ミーナ「ひ、人……多い……」

シオン「……警備配置、確認。

 外周は強いが……内側は薄い」


(最初から分析モードだな……)


俺は、

特待クラスの腕章を付け、

展示区画へ向かっていた。


(今日は“制御の実演”。

 壊さない。目立ちすぎない。

 それで終わるはず――)


■ 特待クラス展示――「制御の魔術」


展示区画には、

透明な結界で囲われた小さな舞台。


観客席には、

子どもから大人まで、

期待の目が集まっている。


アストレア教官「落ち着いていけ。

 今日は“安全”が最優先だ」


俺「はい」


最初は、

他の特待生の展示。


火を球状に保つ制御。

水流の形状維持。

風の精密誘導。


どれもレベルが高く、

観客から歓声が上がる。


(……すごいな。

 普通に魔術展示として完成度高い)


そして――

俺の番が来た。


■ ユウトの展示


アストレア教官「次は、

 ミナト・ユウトによる

 “位置干渉の制御”だ」


ざわっ、と空気が動く。


(やっぱり注目度高い……)


俺は、

結界内に置かれた小さな木箱を見る。


(壊さない。

 消さない。

 ただ――)


(位置を、少し変える)


指先で“触れる”イメージ。


次の瞬間。


木箱は、

音もなく、三十センチ横へ移動した。


「おお……!」

「今の、どうやったんだ?」

「転移魔法じゃないぞ……?」


俺は一礼する。


(よし……問題なし)


アストレア教官も頷いた。


(このまま、無事に終われば――)


その時。


■ 違和感


胸の奥で、

欠片が微かにざわめいた。


(……?)


一瞬、

空気が“冷えた”。


視線を巡らせる。


観客席の端。

フードを深くかぶった人物。


(……さっきから、動いてない)


ただ立っているだけ。

でも――

周囲と、噛み合っていない。


(来た……)


■ 同時刻、学園内の別地点


中庭。


リリアは、

友人たちと屋台を見ていた。


リリア「……っ」


胸を押さえ、立ち止まる。


友人「リリア?どうしたの?」


リリア「……ごめん。

 先に戻る」


(嫌な……未来……

 はっきりしないけど……近い)


彼女は、

展示区画の方向を見る。


(ユウト……)


■ 展示区画・異変


再び、舞台。


次の展示者へ交代しようとした瞬間――


《……キィ……》


結界が、

かすかに軋んだ。


アストレア教官「……?」


次の瞬間。


観客席の一角から、

黒い霧が噴き上がった。


「きゃあ!!」

「な、なに!?」


悲鳴。


結界の外側で、

人々が混乱する。


フードの人物が、

低く呟いた。


「……捕捉」


その視線が、

一直線に――俺を射抜く。


(……狙いは、俺)


■ 侵入者


アストレア教官「警備!!

 侵入者だ!!」


だが、

霧は“視界”ではなかった。


感覚を、ずらす。


人々が、

自分の位置を見失い始める。


子どもが転び、

人波が崩れる。


(まずい……

 このままだと、怪我人が出る)


俺は、

一瞬だけ、迷った。


(力を使えば、目立つ。

 でも――)


リリアの言葉がよぎる。


《一人にならないで》

《無茶しないで》


(……でも)


(今、守れるのは――)


■ 選択


俺は、

舞台から一歩踏み出した。


アストレア教官「ミナト!

 出るな!!」


俺「……すみません」


(壊さない。

 消さない。

 でも――)


(人を、守る)


胸の奥で、

欠片がはっきりと応えた。


(……やる)


俺は、

霧そのものではなく――

“霧が広がる空間”に触れた。


(ここから――

 ここまで)


(動け)


次の瞬間。


黒い霧は、

人のいない上空へと“押し上げられた”。


悲鳴が止まる。


侵入者が、

初めて驚いたように目を見開く。


「……ほう」


「やはり――

 欠片保持者」


俺は、

侵入者と向き合った。


(ここからだ)

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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