表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼児から始めるゆるゆる無双学園生活  作者: 蒼野湊
第3章 アステル魔術学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/48

第36話 研究室騒動の後――史上例なき“欠片”と、見るはずのない夢

「――何を、している!!」


雷鳴のような声が研究室に響いた。


アストレア教官が、

壊れかけた扉を押し開けて立っている。


宙に浮いた器具、

歪んだ床、

未だ消えきらない空間の揺らぎ。


アストレア教官「……説明しなさい。

 “簡潔に”。」


(無理です先生!!

 簡潔にできる状況じゃありません!!)


エリスが一歩前に出て、即座に頭を下げた。


「私の監督不行き届きです。

 欠片の安定化中に、

 光属性との共鳴が発生しました」


リリア「……私も、感情的になりました。

 すみません」


(え、素直!?)


アストレア教官は二人を一瞥し、

最後に俺を見た。


「――ミナト・ユウト」


俺「は、はい!!」


「君は……立っていられるか?」


俺は自分の体を確認する。

疲労はあるが、痛みはない。


俺「大丈夫です……」


アストレア教官は深く息を吐いた。


「……なら、今日はここまで。

 全員、解散だ」


(助かった……!!

 処分とか退学とか言われるかと思った……)


■ その夜、学園の医療棟にて


念のため、

俺は医療棟の個室で休むことになった。


白い天井。

静かな魔力の循環音。


(怒涛の一日だったな……

 学園初日でここまで濃いことある?)


エリスはカルテを書きながら言った。


「身体への負担は軽微。

 問題は精神側――

 欠片が“外部刺激に反応しやすくなっている”」


リリアはベッドの横に座り、

俺の手をそっと握った。


「……ごめんね。

 私が、無理させた」


俺「いや……リリアのせいじゃない」


エリス「……そこ、いちゃつかない」


(言い方!!)


だが、

エリスの声はすぐに真剣さを帯びた。


「アストレア教官と話したわ。

 ――あなたの欠片、

 学園の記録に一致例が一切ない」


俺「……ゼロ?」


「ゼロ。

 空間干渉系は過去にも存在した。

 でも――」


エリスは言葉を選ぶ。


「“世界構造に直接触れようとする欠片”は、

 記録に残っていない」


リリア「……それって……」


エリス「ええ。

 人の身で持っていい力じゃない可能性がある」


(重っ……!!

 さらっととんでもないこと言うな……!!)


エリス「だからこそ、

 学園はあなたを守るし、管理もする」


リリア「管理……?」


エリス「暴走すれば、

 都市ひとつ消える可能性がある」


(さらっと都市消滅とか言うなぁぁぁ!!)


俺「……俺、そんな危険物なんですか」


エリスは少しだけ表情を緩めた。


「“危険”なのは力。

 あなた自身じゃない」


リリアも頷く。


「うん。

 ユウトはユウトだよ」


(……二人とも、ありがとう)


■ 眠りに落ちた、その時


医療魔術で休息を促され、

俺はいつの間にか眠りに落ちた。


そして――

夢を見た。


真っ白な空間。


上下も前後もない。


ただ、

“巨大な何か”が、そこにあった。


《……ようやく、辿り着いたか》


声が、

頭の奥に直接響く。


俺「……誰だ?」


《名は不要だ。

 かつて――

 “世界の外側”に触れた存在とだけ、知れ》


(世界の……外側……?)


視界に、

無数の“線”が浮かび上がる。


大地、空、時間、人、魔力――

すべてが“編まれた糸”のように絡み合っている。


《それが、世界構造だ》


《そして――

 お前の欠片は、それを“ほどく”力だ》


俺「ほどく……?」


《壊すのではない。

 組み替える。

 繋ぎ直す。》


(……創造と、破壊の中間……?)


《選べ、ユウト》


《鍵になるか》

《壊し手になるか》


視界が暗転する。


最後に、

その存在はこう告げた。


《光は、隣に立つだろう》

《闇は、道を示すだろう》

《だが――

 選ぶのは、お前自身だ》


■ 目覚め


「……ユウト!!」


目を開くと、

心配そうなリリアの顔。


リリア「うなされてた……大丈夫?」


俺は息を整えながら答えた。


「……夢を見た」


エリスも身を乗り出す。


「どんな?」


俺は、正直に言った。


「……“世界の外側”に触れた」


その瞬間、

エリスの顔色が変わった。


「……それは……

 欠片の“本質領域”に到達した証拠……」


リリア「それって……」


エリス「――目覚めが、

 想定よりはるかに早い」


(また想定外かよ俺!!)


アストレア教官が静かに言った。


「ミナト・ユウト。

 君はもう――

 “普通の学生”ではいられない」


(……やっぱり)


だが、教官は続けた。


「だが、ここは学園だ。

 導くための場所だ」


「君には――

 特別なカリキュラムを用意する」


リリアは俺の手を握り、

はっきり言った。


「一人にはしない」


エリスも、少し遅れて頷いた。


「……逃がさない、という意味でね」


(言い方!!

 でも……)


胸の奥で、欠片が静かに脈打つ。


(もう戻れない。

 でも――進むしかない)


こうして、

ユウトの学園生活は

“特別”から“異常”へと、確実に踏み込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ