第30話 一次試験開始――“魔力制御”と知られざる才能
アステル学園の試験会場は、
巨大なドーム状の建物だった。
会場前は受験生で溢れかえっている。
ティオ「ひ、広すぎる……!」
ミーナ「人、多すぎ……」
ルカ「わくわくするね!」
シオン「……空気が張りつめてる……」
(うわぁ……本当にレベル高そうだな)
受験生の中には、
高そうな杖を持つ貴族の子や、
魔力のオーラが見えるような猛者もいる。
でも――
ユウト「(リリア……も、この中にいるんだよな)」
さっきの再会がまだ胸の奥で熱い。
■ 一次試験:魔力制御
試験官「静粛に!
これより一次試験・“魔力制御試験”を行う!」
ざわっと空気が揺れる。
試験官「目の前の水晶球に、
“決まった量の魔力”を流してもらいます。
ただし――」
試験官は指を鳴らした。
水晶球が浮かび上がり、表面に数字が浮かぶ。
《必要魔力量:5》
試験官「この“5”を、
誤差ゼロで流し込んだ者から高得点となる。
強い魔力ではなく、正確な魔力を評価する試験だ!」
(なるほど、力比べじゃなくてコントロール勝負か)
ティオ「え、ゼロ誤差ってむずくね!?」
ミーナ「魔力量……調整できるかな……」
ルカ「流すだけでいいんだよね?」
シオン「これは……精密性勝負……」
試験官「順番に行え。
ではF-117から!」
■ ティオの挑戦
ティオ「よっしゃぁー!」
水晶球に触れ、魔力を流す。
《7》
ティオ「えっ!?多い!!」
《3》
「少なっ!?」
《10》
「増えた!!?」
試験官「……はい、次」
(ティオ、雑すぎる)
■ ミーナの挑戦
ミーナ「が、がんばる……!」
水晶にそっと触れ……
《4.99》
試験官「ほぼ誤差ゼロ! 優秀!」
ミーナ「っ……!!」
(すごい!やっぱり才能あるんだな)
■ ルカの挑戦
ルカ「えーい!」
《199》
ティオ「どんだけ流したんだよ!!?」
ミーナ「ルカちゃん、全力すぎ……」
ルカ「だ、だって強くしたくて……」
試験官「……はい次」
(予想通りのパワー系)
■ シオンの挑戦
シオンは黙って球に触れた。
《5.02》
試験官「非常に安定している」
シオン「……やった」
(暴走率高いのに、やっぱりコントロールうまいな)
■ そして――俺の番
試験官「F-118、ユウト・ミナト」
(よし……落ち着け。
魔力を少しだけ……ほんの少しだけ流し……)
水晶球に触れた瞬間。
キィィィィィン……!!
球が震え、光が内部で渦を巻いた。
試験官「え……?」
ティオ「また光ってるんだけど!!」
ミーナ「ひ、光量が変……!」
ルカ「ユウト、がんばれー!」
シオン「ユウト……止めて……!」
(や、やばい……!もっと弱く……!)
《500》
試験官「は、はひっ!?」
俺「えっ!!? ちょっ、待って、減らす減らす!!」
《1》
(ええええ減りすぎ!?)
《50》
(いや増えすぎ!!)
《5000》
(なんで!?!?)
バチィィッ!!!
水晶球が突然、
安全装置の結界とともに“緊急停止”した。
試験官「緊急停止!! 特異反応!!!」
会場がざわつく。
受験生A「なんだあれ……?」
受験生B「魔力量5000!?そんな数値見たことないぞ!?」
受験生C「いや測定器の限界だろ……!」
(うそだろ……俺、ただちょっと魔力流しただけなんだが……!?)
試験官は震える声でメモを取る。
「記録……《制御不能特記事項/欠片反応強》……」
俺「ち、違うんです!
いつもはもっと普通にできるんです!」
試験官「いや普通のレベルがすでに普通じゃない!!」
(たしかに……“普通”の基準が俺だけ違うのかも……)
■ 会場の片隅で、光る金髪
「ユウト……」
リリアだ。
彼女は測定結果を見て、
小さく、でも嬉しそうに口元を緩めた。
「……やっぱり、あなたは特別なんだね」
(頼むからハードル上げないで……!!)
彼女の水晶もすぐに結果が出た。
《5.0000》
(いや精度お化けかよ!!!)
試験官「……アークライト嬢、完璧」
受験生たち「すげえ……」「天才って本当にいるんだ……」
リリアは軽く微笑んで俺を見る。
「ね、ユウト。一緒に頑張ろう?」
(かわいいけど!!!横の反応がしんどい!!!)
ティオ「完全に惚れとるやん……」
ミーナ「リリアちゃん……強すぎ……」
ルカ「ユウトの彼女?」
シオン「試験より恋愛の方が難易度高そう……」
(なんでそっちの話題ばかり増えるんだよ!!)
■ そして試験会場の上段――黒衣の少女が見ていた
黒衣の少女(小声)
「……思ったより“目覚め”が早いわね」
隣にいる謎の男性「欠片反応が暴走する可能性は?」
黒衣の少女「まだ……大丈夫。
でも、あの子が“鍵”なのは間違いない」
男「アークライト家の光も動き始めた。
――世界が揺れるぞ」
黒衣の少女は静かに微笑んだ。
「ユウト、あなたの物語はまだ始まったばかりよ」




