第26話 学園都市アステル――光の都、そして再会前夜
翌朝。
中継小屋を出てさらに数時間。
視界の先に――それは現れた。
ティオ「……あれ……まさか……」
ミーナ「光ってる……街が……!」
ルカ「わぁぁぁぁぁ!!」
シオン「す、すごい……魔力が……整いすぎてる……!」
(うん……これは“ただの都市”じゃない)
山の稜線の向こうにそびえる巨大な塔。
複雑に組まれた魔導回路で光る道路。
巨大水晶のような建物。
空中を漂う緩やかな魔力の風。
――学園都市アステル。
魔法を学ぶために世界中から天才が集まる都市。
そして、この世界で“魔術師”として生きるための中心地。
(圧倒される……これが、学園都市か)
■ アステルの門前の光景
都市に近づくと、門前は受験生でごった返していた。
学園志願者、家族付きの子ども、冒険者崩れの青年、
商隊の馬車、魔導書を抱えた学者風の男までいる。
ティオ「こ、こんなに受験生いるの!?」
ミーナ「みんな……強そう……」
ルカ「ライバルいっぱいってことだね!」
シオン「ぼく……落ちたらどうしよう……」
(いやお前は絶対受かる)
■ 門前の掲示板で、驚愕の情報が貼られる
押し合いへし合いの前で、
職員が新しい紙を貼った。
《今年の受験特記事項》
・受験者数:1,732名(過去最高)
・“特異魔力者”の増加に伴い、魔力量判定を厳格化
・A級受験者の中に“光属性の怪物”あり
・氏名:リリア・アークライト
(……ッ!!!)
ティオ「ア、アークライト……昨日の噂の子!?」
ミーナ「すごい……やっぱり貴族なんだ……」
ルカ「ユウト、どうしたの……?」
シオン「ユウトの……知り合い……?」
(ああ……知り合いどころじゃない。
俺の“最初の友達”で、“約束”した相手だ)
胸の奥が熱くなる。
俺(リリア……この街に……来てるんだな)
■ アステルの門の前で“声”が届く
ざわめく受験生の群れの中。
都市を囲む巨大な魔導壁の近くで――
ふいに、
胸の奥に響く、あの声。
《――ユウト……》
(……まただ)
《近づいてきている……
“欠片”の呼応が始まっている……》
(欠片……いったいなんなんだ?
俺の魔力と関係があるのか……?)
そのときだった。
■ 人混みの向こうから――
「どいて!少し、通して!」
高い、透明感のある声。
それは――
(!?)
ティオ「きれいな声……」
ミーナ「なんか……耳に澄みきる感じ……」
ルカ「誰だろ……?」
人混みをかき分けて、
門へ進む小柄な少女が見えた。
陽光を受けて、
淡い銀色に近い金髪がきらめく。
(……リリア?)
胸が大きく鳴る。
その瞬間――
少女は、こちらを見た。
まっすぐに。
まるで探していたものを見つけたように。
リリア(小さく口が動く)
「……ユウト……?」
(間違いない。
リリアだ。
あのときの……あの旅商隊の……
俺に“学園でまた会おう”と言った少女だ)
距離はまだある。
声は届かない。
でも、その瞳が“確かに俺を見た”。
ミーナ「ユ、ユウト、顔赤い……?」
ティオ「知り合い……なんだよな?」
ルカ「かわいい……けど強そう!」
シオン「……あれが……アークライト家の天才……」
俺は息を飲んだ。
(ついに……会えるのか)
しかしその時――
■ 横から“別の気配”が割り込む
黒衣の少女「――まだ近づかない方がいいわ」
(黒衣!?
また現れた!?)
黒衣の少女は俺の袖を軽く引いた。
「リリア・アークライトは……“純粋すぎる光”。
あなたの“未分類の欠片”に反応しすぎる」
(反応……?)
「今は……タイミングじゃない」
(なんでお前がタイミング決めるの!?)
黒衣の少女は笑わずに続けた。
「けれど――
再会はすぐそこよ。
あなたが“門”をくぐれば、運命は動く」
(運命って……どこまで大げさなんだよ)
しかし、目の前の光景。
リリアの存在感。
黒衣の少女の警告。
全部が“ただの偶然じゃない”と感じさせた。
■ リリアは門へ消え、黒衣の少女も霧のように消えた
俺たちは立ち尽くすしかなかった。
ティオ「……あの子……ユウトのこと見てたよな?」
ミーナ「きっと……再会、できるよ……」
ルカ「ユウトがんばれー!!」
(なんの応援!?)
シオン「リリア嬢……たぶん……ユウトに興味あるんだ」
(おい、なんでそんな分析が正確なんだ)
俺は深呼吸をし、門へ向き直った。
(ここからだ。
本当にここから、物語が始まる)
拳を握る。
(リリアとの再会。
黒衣の少女の謎。
“欠片”。
異常に膨張する魔力量。
俺の“中心性”。
全部、学園で明らかになる)
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