第25話 クレイス出発――学園都市アステルの影、そして“リリア”の噂
翌朝。
俺たちは宿「白梟亭」を出て、
学園都市アステルへ続く街道に立っていた。
ティオ「ついに……アステルかぁ!!」
ミーナ「ど、どんな街なんだろう……」
ルカ「楽しみ〜!」
シオン「学園……ぼ、ぼく受かるかな……」
(不安と期待が混じった空気……悪くない)
クレイスの街門を出ると、
そこには一直線の大きな道が続いていた。
“アステル街道”
――学園都市へ向かうための、国中で最も人が行き交う道。
大商隊、旅人、冒険者、学生……
人の流れがまるで“川”みたいだ。
(確かに……ここを通るだけで世界の層が見えるな)
■ アステルまでの距離
街道の案内板にはこう書かれていた。
《アステル都市まで 92キロ》
《徒歩:3〜4日》
《魔導馬車:1日半》
《魔術学園受験者は街道沿いの“中継小屋”で登録可能》
(徒歩でもギリギリ間に合うな……
でも注意書きがある)
《※アステル街道では“中級魔獣”の徘徊が報告されています》
(うん……そうなると思ってた)
ルカ「中級魔獣って……倒せるの?」
シオン「大牙熊より弱いけど……油断したら危ない……」
ティオ「よし!鍛えながら進もうぜ!」
(いや軽く言うな!!)
■ 街道の茶屋で、思わぬ“噂”を聞く
半日ほど歩いたところで、
小さな茶屋を見つけた。
《旅茶屋スフィラ亭》
店主「受験生かい?ここで少し休んでいきな!」
俺たちは果物水を注文してひと休み。
店主「今年のアステルは大変だよ〜、なんたって……」
客A「“あの子”が受験するらしいからな」
(あの子?)
客B「年齢はまだ9歳だが……あの魔力は異常だと噂だ」
(9歳……!?
強い……年齢も近い……
誰だ……?)
客A「名前は確か――」
俺
客A「リリア・アークライト」
(……っ!?)
心臓がドクンと跳ねた。
ミーナ「ア、アークライトって……有名な家の……?」
シオン「まさか……“アークライト家”の光属性天才……!?」
ティオ「ユウトの知り合いか?」
ルカ「どうしたのユウト?」
(……やっぱり……リリアはただの旅の少女じゃなかった)
胸の奥が熱くなる。
“再会”がぐっと近づいた気がした。
■ そして、続く噂
客B「そのリリア嬢だけじゃない。
今年は“黒衣の予兆師”も現れるという話だ」
(黒衣……!)
ミーナ「昨日の……あの子……?」
シオン「やっぱり……学園の上位者……」
ティオ「ユウトに用があるとか言ってたやつだよな」
店主「なんでも、未来の魔力の流れを見るとか……
それが“中心の少年”と結びついてるらしいよ」
(中心の少年……
黒衣の少女は俺をそう呼んだ……
つまり、噂の対象……俺なのか……?)
背中にぞわっと鳥肌が立つ。
(嫌な意味じゃない……
でも、絶対普通じゃない……)
■ 茶屋を出て再び歩き出す
道はどこまでも伸び、
アステルまでの距離が刻一刻と縮まっていく。
シオン「……ユウト」
「ぼく、あの黒衣の子……怖いと思ったけど……
でも、あの子が“あなたを中心に”って言った意味……
なんとなくわかる気がする」
「ユウトの魔力は、ぼくが見た中で一番特殊なんだ」
(シオン……お前、見る目あるよな)
ティオ「よし!じゃあユウトを中心に、学園でも無双しようぜ!」
ルカ「強くなるぞ〜!!」
ミーナ「ユウト……頼りにしてるね……」
(いやプレッシャー!!)
でも――悪くない。
この仲間たちと一緒なら。
どんな強敵にも、どんな異常事態にも立ち向かえる気がする。
■ 夕暮れ、街道沿いの中継小屋にたどり着く
《アステル街道 中継小屋:第二拠点》
ここで受験生の簡易登録ができるらしい。
受付の女性「名前をどうぞ〜」
俺「ユウト・ミナトです」
受付「はい、確認しました。
貴方たち5名は“受験特別通過証”で
アステル都市までの街道税が免除されます」
(ほう、そういう制度あるのか……)
受付の女性がにこっと笑った。
「それと……学園からのお知らせです。
今年は“特異魔力者”が複数確認されていますので――
街道では十分にご注意ください」
(特異魔力者……
俺も含まれてそうで怖い)
■ その夜、再び“声”が聞こえる
中継小屋の簡易ベッドで横になった時だった。
しん……
しん……
ひゅう……(風の音)
(……ん?)
耳じゃない。
胸の奥に直接響くような声。
《――ユウト……》
(……誰だ?)
《間もなく、会う……
“欠片”の持ち主よ……》
(欠片……?
なんだそれ、俺の魔力と関係あるのか!?)
《アステルで、選ばれる》
(選ばれる……?
何のために……?)
声はそこで途切れた。
鼓動が早くなる。
(黒衣の少女……?
それとも別の何か……?
“欠片”ってなんだ……?)
俺は静かに息を吸い、
眠れないまま夜を過ごした。
(明日……アステルに入る。
そこで全てが動き出す気がする……)
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