第21話 通貨の価値と、フェルナード の夜(宿イベント)
ギルドで24シルを受け取り、俺たちは街のメイン通りへ出た。
(さて、まずは宿探し……その前に、通貨価値をちゃんと確認しておくか)
■ この世界の通貨価値(ユウトの脳内まとめ)
この国の通貨は“シル貨幣”と呼ばれている。基本レートはこんな感じだ。
・1シル(銀貨)=子どもの軽食1回分 / パン2〜3個 / 風呂なしの最低宿1泊
・10シル(小金貨)=大人の1日の生活費 / 風呂つき宿1泊 / 街道馬車の片道料金
・100シル(金貨)=村の家族4人の1か月分の生活費
・1,000シル(大金貨)=家1軒が買えるレベル
・10,000シル(特金貨)=小貴族の年収規模
(パフィラ魔石5シル、スラッグ魔石14シルは、子ども旅の小遣いにはかなり助かる額だ。つまり今日稼いだ24シルは、“子ども5人で宿泊+夕食+朝食”に十分な額、というわけだな)
「ユウト、宿はどこにしよう!? かっこいいとこ!!」とティオ。
「お、おふろ……あるかなぁ……」とミーナ。
「ご飯いっぱい出るところがいい!」とルカ。
「静かで、光魔法の練習できる……場所……」とシオン。
(お前ら要求がバラバラすぎるだろ!!)
■ 宿を決める
ちょうど通りの角に、木の看板が揺れていた。《旅人宿イルミナ》――清潔で、食堂付き、子ども割引あり。
(よし、ここだな)
■ 宿に入る
「まあまあ、かわいい子たちね! 5人で泊まりかい?」と宿主のおばちゃん。
「はい。夕食と朝食つきで、1泊お願いしたいです」
「子どもなら1人3シル、5人で15シルでいいよ」
(やすっ!)
これで24シルのうち、15シルが宿泊費。残り9シルは翌日の旅費になる。
「ゆ、ユウト……本当に泊まれるんだね……」とミーナ。
「ごはんー!!」とルカ。
「おれ、絶対大盛り!」とティオ。
「ぼく……静かな机……あるかな……」とシオン。
(なんか旅行の引率みたいだな俺)
■ 部屋は2室
女子部屋がミーナとルカ、男子部屋がユウト・ティオ・シオン。シオンは布団を見ながら驚いたように言った。
「本物の宿って……こんなに広いんだ……」
(あれ、シオンって意外と箱入り?)
ティオはベッドにダイブ。
「うおおお!! ふかふかだ!!」
(壊すなよ!?)
■ 夕食:旅の宿の名物シチュー
ダイニングで、湯気をたっぷり上げたシチューが出てきた。
「お、おいしそう……!」とミーナ。
「わぁぁぁ!! 肉いっぱい!!」とルカ。
「パンもちょうだい!」とティオ。
「……こんなに食べていいの?」とシオン。
(シオン、今までどう生きてきたんだ……)
「みんな、今日はよく頑張ったからね。たくさん食べて」
「しっかり食べて大きくなるんだよ〜」と宿主。
ほんわかした空気。こんな旅、悪くない。
■ 夜、眠りにつく前に
部屋に戻ると、シオンが少し不安そうに布団を握っていた。
「ユウト……」
「ん?」
「今日……ぼく、みんなの役に……立てたかな……?」
(おお……そんなこと気にしてたのか)
俺は笑って言った。
「もちろん。シオンがいなかったら、スラッグは倒せなかったよ。“ライトビーム”、すごかった」
シオンはポッと頬を赤くする。
「ユウト……ありがとう……」
(……なんかモテ始めてない?俺)
ティオは寝転びながら叫んだ。
「よっしゃ! 明日も魔石いっぱい稼ぐぞ!!」
(いや金稼ぎの旅じゃないからな)
■ そして深夜……
事件は起きた。しん……しん……俺がふと目を覚ますと――ぱちっ……ぱち……!
(部屋が……光ってる!?)
見れば、シオンが寝たまま光っている。
(おいおい!! 魔力暴走してるじゃん!!)
次の瞬間――
「……むにゃ……ライト……ショット……」
バシュッ!! 天井に向けて光弾を発射。
(あぶねぇええええ!!!)
「うおおお!? ま、まぶしっ!」とティオ。
(シオン、寝ながら魔法撃つな!!)
■ 俺はシオンに手を置き、魔力調整を試みた
「大丈夫……落ち着け……」
触れた瞬間、光属性の暴走が伝わってくる。
(これが“調整”か……)
俺は魔力を細く、細く、シオンの魔力の流れに合わせながら流し込む。ぽわ……ぽわぁ……
「……すぅ……すぅ……」
光が静まり、シオンは安らかに眠り始めた。
「ユウト……今の……すげぇ……!」とティオ。
(いや俺もびっくりしてるよ)
■ 夜明け前の静けさ
シオンの寝息が安定し、光が完全に消えたあと。
(……この“調整魔術”、たぶんまだまだ伸びるな。学園に行ったら、もっと必要になる気がする……)
窓の外から、朝の光が少しだけ差し込んできた。
(明日はフェルナードの街を出て、いよいよ“学園都市アステル”方面へ向かう……!)
胸が高鳴る。
(リリア……俺、ちゃんと強くなってるから……)
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