第13話 幼児、空中制御の練習を始める(父さんの心が折れそう)
翌朝。
俺はまた庭に立っていた。
(……いや正確には“立たされて”いる。
空中制御とか幼児の習い事じゃねぇからな?)
そして今日も、例の老人バルドが
テンションMAX で登場した。
「ユウトよ!! 今日は空中じゃ!!」
父さん「空中……?」
母さん「かわいく飛ぶのかしら」
(母さん、軽いノリで言わないでくれ!)
■ 師匠、指導内容を説明する
「よいかユウト。昨日は“跳ね起き”で物理的に少し浮いた。
今日は――魔力で浮くぞ!!」
(ついに来たか……空中制御……!!!)
バルドは大きくうなずいた。
「もちろん“高く”は飛ばん。危険じゃからな!」
(あ、珍しく安全考えてる……?)
「せいぜい20センチじゃ!!」
(いや高いわ!!!!
幼児の首どんだけ繊細だと思ってんだバカ!!!)
父さんも青ざめる。
「バルド様……20センチは……その……死亡事故が……」
母さん「ユウトちゃん、帽子かぶせよっと」
(母さん、帽子で安全確保できる問題じゃない)
■ まずは“魔力踏み台”
バルド「ではユウト、魔力を足の裏に集めろ!」
(足の裏!?)
「魔術の基礎は“接地点”。
魔力踏み台を作り、一瞬だけ体を浮かせるんじゃ!」
(魔力で踏み台!?
俺、まだ歩行歴半年なんだけど!?)
しかしやるしかない。
深呼吸して、足元に意識を向ける。
(魔力……下へ……じんわりと……)
足の裏があったかくなっていく――
「今じゃ!!」
「えっ……?」
ピョンッ!!!
(うわあああああああ!!)
俺は10センチほど浮いた。
そして――
ふわ。
(……あれ? 落ちない?)
なんと、魔力が微妙に“支えて”いた。
■ 父さんの反応
父さん「ユ……ユウト……空中に……!!」
声が震えている。
(父さんの心が折れる音が聞こえる……!)
母さん「うわぁ〜、かわいい〜。宙に浮いてる〜」
(かわいいじゃなくて危ないの母さん!!)
バルドは大爆笑した。
「こいつぁやべぇ!!
1歳半で“空中静止”できとる!!」
(できてない!!
ただなんか魔力が勝手に耐えてるだけ!!)
■ しかし安定しない
(やばい……魔力が……勝手に上がってきた!!)
昨日の増幅癖がまた出たらしい。
魔力が“支える”から“押し上げる”に変わろうとしている。
(あ、まずい……!!)
と思った瞬間――
ピョンッ!!!
俺はグッと20センチ浮いた。
父さん「ぎゃああああああああ!!!?
ユウトが天へ召される!!?」
(召されない、力学だ父さん!)
母さん「すご〜い、20センチ行ったわ〜」
(いやだから危ないの!!
俺の命の危機レベルってそこなの!!)
■ 落下する幼児
魔力が切れかけ、俺の体が――
(落ちるーーー!!)
どさ。
着地。
(……あれ? そんなに痛くない)
見ると、バルドが足元に魔力クッションを作ってくれていた。
「ふん。安全対策くらいするわい」
(さっきの“20センチ行くぞ!”の勢いどこ行った?)
父さんが泣きそうな顔で駆け寄ってくる。
「ユウトぉぉぉぉぉぉ……!!」
(大丈夫だって……!)
母さんは平然として、
「はい、ほこり取るね〜」
(母さんのメンタルが最強すぎる)
■ 成長ログが案の定……
◆ スキルログ ◆
《空中制御 Lv1 解放》
《魔力踏み台 成功率 +10%》
《未分類魔力:反射系の適性が上昇》
(反射系!?
また新しいジャンルが……!)
■ 村人、また騒ぐ
「ユウトが飛んだらしいぞ!!!」
(話盛られてる!!)
「1歳半で空中魔術とかありえる!??」
(ありえてしまったんだよ!!)
「未分類魔力、やっぱり危険だ……」
(だから危険じゃないって!!)
■ バルドの総評
老人は杖を地面に突きながら満足げに言う。
「ふっ……ユウトよ。
お前は“空中戦タイプ”の素質もある」
(戦わん!!
俺まだおむつ履いてる!!!)
父さん「ユウト……俺たちより先に……空を……」
(父さん落ち着け。飛んでないから。浮いただけ)
母さん「空中にいるユウトちゃんかわいかったわ〜」
(かわいくてごめんな)
■ 最後のログが危険すぎた
◆ 重要ログ ◆
《多重魔術:空間展開 × 空中制御 の複合を検出》
《次のステップ:空中“移動”が可能になります》
※ 幼児には危険です。
※ 本当に危険です。
※ ですが可能です。
(いや押すなそこは!!
“危険ですが可能です”じゃねぇよ!!!)
本当にこの世界、幼児に優しくない。
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