第12話 起き上がり魔術ってなんだ!?(幼児、意味不明スキルを得る)
翌朝。
俺は、また庭の真ん中に座らされていた。
(昨日は“転がり魔術”。今日は“起き上がり魔術”。
……なぜ俺の魔術体系だけ物理寄りなんだ?)
気づくと、例の魔術師バルドが仁王立ちしていた。
「よしユウト! 本日は“起き上がり魔術”じゃ!」
父さん「ま……また物理っぽい……」
母さん「普通に、立つだけじゃダメなんですか?」
バルド「ダメじゃ。魔術とは“身体と魔力の融合”!
転がった後、瞬時に立ち上がることで“魔力筋”が鍛えられる!」
(魔力筋ってなに?
俺の世界の理論はすでに破綻している気がする)
■ まずは普通に立ち上がる
「ユウト、まずは“普通に”起き上がるんじゃ」
俺は仰向けに寝かされる。
(え、俺また寝かされる側……?)
「ほれ、立て!」
(いや……そんな急に言われても……)
ぐっ……。
俺は腹筋に力を込め、よちよちと起き上がる。
父さん「す……すごい!!」
母さん「ユウトちゃん起きたわ〜」
(いや普通に起きただけです……!)
バルドは鼻を鳴らした。
「ふむ。赤ん坊としては上出来じゃ」
(どこに基準があるんだ)
■ 次は“魔力で起き上がる”
バルド「では――魔力を使って立ち上がれ!」
(なにそのジャンル!?)
老人が説明を始める。
「腹筋と同時に“魔力を下から押し上げる”イメージじゃ!」
(魔力で腹筋サポート!?)
「赤ん坊は筋肉が弱い分、魔力感覚を開きやすい!
つまり、赤ん坊のうちにやるのが最適!!」
母さん「いやそんな理由ある!?」
父さん「なにを言ってるのかわからん……」
(俺もだよ父さん。俺もだ)
■ 実践する幼児
俺は仰向けに寝て、深呼吸する。
(魔力を……下に……?)
胸の奥がポワァと温まり、背中に魔力が回り込む感覚がする。
(……いけるか?)
「ふっ……!」
俺は魔力をほんの少しだけ“下へ押す”意識をして――
ぴょこっ。
自分でも驚くほどスムーズに起き上がった。
(え、軽い!?)
■ 家族のリアクション
父さん「なんじゃあああああああ!!!?」
母さん「ぁら〜……すごい……」
バルド「ほっほっほ! 見たかこれが“魔力起き上がり”じゃ!!」
(“魔力起き上がり”って名称が嫌なんだが!?)
■ しかし事件は起きた
バルドが調子に乗って言う。
「よしユウト! “魔力起き上がり・強”じゃ!!
今度は魔力を多めに!!」
(いやいやいやいや! 昨日の転がりで俺は学んだんだ。
魔力を“多め”にすると村の地形が変わるって!!)
止めようとしたが――
バルド「いけええええ!!」
(ちょっ!?)
魔力が勝手にピュッと跳ね上がり――
ドンッ!!!
「えっ」
俺の身体が“跳ね起き”どころか、
10センチくらい浮いた。
父さん「浮いたああああああああ!!!?」
母さん「ユ、ユウトちゃん……?」
バルド「ぬおおお!? ジャンプしおった!!」
(俺だって驚いてるよ!!!)
そしてその勢いで俺は――
コテンッ!
(落ちた!!)
軽く尻もちをついた。
(痛っ……いや幼児だから衝撃少ないけど!)
■ 成長ログが嬉々として動く
◆ スキルログ ◆
《起き上がり魔術 Lv1》
《魔力起動反射 +12%》
《身体能力:微上昇》
《魔力の瞬間放出が“癖”として登録されました》
(癖!?
俺の魔力に“癖”がつくの!?
制御難しくなりそうなんだけど!!!)
■ 村人、またもや集まる
「ユウトが宙に浮いたって本当か!?」
(まただよ……!)
「地面じゃなくて今度はユウトが飛んだのか!?」
(飛んでない、浮いただけ!!)
「未分類魔力、こわ……」
(こわがらないで!?)
■ バルドの総評
バルドは髭をさすりながら言う。
「……ユウトよ。
お前は“跳躍系の魔術”に向いておる」
(跳躍系!?)
父さん「それって強いんですか!?」
バルド「空中で体勢を立て直し、そのまま魔術を撃てる!
戦闘の幅が一気に広がるんじゃ!」
(いや俺まだ戦闘しない!!!!)
母さん「ユウトちゃん、空飛ぶの?」
(飛ばないでいいから!!)
バルドは勝手に結論を出す。
「よし! 明日は“空中制御の基礎”じゃ!」
(ちょっと待て!!
俺まだ1歳半!!!)
本話もお読みいただき、ありがとうございました!
少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、
ブックマーク や 評価 をいただけると励みになります。
これからもどうぞよろしくお願いします!




