第11話 幼児、転がり魔術をやらされる(師匠が全力で転がす)
翌朝。
俺は庭の真ん中に寝かされていた。
(なぜ俺は“寝かされている側”なんだ……?)
そしてその前に仁王立ちしているのは、
伝説の魔術師バルド。
ローブの裾をひるがえし、老人は杖を掲げた。
「よしユウト!! まずは――転がれ!!」
(雑!!)
■ 転がり魔術とは?
「バルド様……あの、“転がる”って……」
父さんが恐る恐る聞く。
「赤ん坊は自然と“ねんね→寝返り→ハイハイ”へ成長するじゃろ?
あれは“身体と魔力が同期を始める最初の過程”なんじゃ!」
(初耳だよ!?)
「つまり、赤ん坊の転がりは初歩の魔術じゃ!
魔力でそれを強化すれば、成長速度も跳ね上がる!!」
(なんその発想……!)
母さんは眉をひそめる。
「バルド様、危なくありません?」
「危ないからこそ効果が高い!!」
(危ないならやらせるなよ!!)
■ とりあえず転がされる幼児
「ユウト、準備じゃ!」
言うが早いか――
バルドは俺の肩と腰を同時にポンッと押した。
(ちょっ……!?)
コロロロロロッ!!
「ぎゃあっ!?(※声は出てない)」
見事に地面を転がされる。
父さん「大丈夫かユウトーー!!?」
母さん「草がついたわよ〜、ほら取るからね〜」
(温度差なんなの!?)
■ しかし転がった瞬間、ログが動く
◆ スキルログ ◆
《身体操作:転がり Lv1 解放》
《魔力流動性 +8%》
《原初魔術:流動型にシナジーが発生》
(ほんとに魔術に関係してるーーー!?)
転がった瞬間、体の中の魔力が“流れやすく”なった感覚があった。
(赤ん坊の動き……魔力の回路を開くのか……?)
ちょっと感動していたら――
■ バルド、さらにスパルタになる
「よし次!! 魔力を乗せて転がれ!!」
(いや無理無理無理!!)
「行けユウト!! 魔力ッ!! 転がりッ!!」
(呪文みたいに言うな!!)
バルドは俺の背中に手をかざす。
すると、魔力がほんのり流れ込んできた。
(え、注ぎ込まないで!?)
「さあ、行け!!」
また押された。
コロロロロロロロロッ!!
(うわああああああああ!!)
しかも魔力が乗ったせいで速度が爆上がりしている。
■ 村人の視点
村人A「ユウトが高速で転がっとる!!」
村人B「なんだあれ!? 魔力転がり技か!?」
村人C「すでに特技持ってるのかあの子……!」
(やめて、俺の評価がどんどん妙な方向に……!!)
■ バルド、満足げ
「うむ!! いい転がりじゃ!!」
父さん「どこを評価してるんですか!?」
母さん「この子絶対、普通の育ち方しないわね……」
(母さん正しい……)
■ そして極めつけの一言
転がされ続けて疲れた俺を見ながら、
バルドは杖をポンと地面に突いた。
「ユウトよ……」
(なんだ師匠……)
「お前、将来――“回転魔術”も習得できるかもしれんぞ」
(回転魔術って何!?)
父さん「バルド様! それ強いんですか!?」
「高速回転しながら飛んでいく魔術じゃ」
(完全に危険物じゃねぇか!!!)
母さん「それ……必要かしら……?」
「もちろんじゃ。未分類の才能は“運動と魔力の融合”が得意なんじゃ!!」
(いや俺、別に回りたいわけじゃ……!!)
■ そして、ログがまた反応する
◆ 成長ログ ◆
《転がり魔術:基礎ルート登録》
→ 条件を満たすと新魔術が派生します
《魔力操作 Lv6 → Lv7》
(おい……ほんとに派生する気じゃん……!!)
■ バルドの宣言
「よし、今日から毎朝“転がり稽古”じゃ!」
父さん「ユウト……がんばれ……!」
(いや応援じゃなくて止めてくれ……!)
母さん「草でかぶれないように、敷物買ってこようね」
(母さんのサポート力が異常に高い)
バルド「明日は“起き上がり魔術”じゃ!!」
(なんだその聞いたこともない魔術!!)
■ 幼児の今日のまとめ
・転がされる
・高速で転がる
・村の地形がさらに微妙に変わる
・魔力流動性が上がる
・回転魔術のフラグが立つ
・師匠のテンションがバグってる
・父さんの胃が死にかけてる
(これはもう……学園行く前に主人公補正つきすぎでは?)
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