第10話 伝説の魔術師バルド、村へ(開口一番「なんじゃこりゃ」)
数日後。
村の外れにある一本道の向こうから、
“杖をついた老人” がのっそり歩いてくるのが見えた。
灰色のローブ。
長い髭。
背中に妙にでかい荷物。
そして片手には――巨大な杖。
(……絶対ただの老人じゃないだろ)
その圧だけで分かる。
この世界じゃ“魔術師”は物理でも威圧してくるらしい。
父さんが叫んだ。
「バルドさーーん!!」
老人が杖を地面に「ガン」と突き立てた。
「誰がバルド“さん”じゃ、ワシは“様”でええ!!」
(一言目から強キャラすぎる)
距離が近づくにつれ、
俺も“魔力の濃さ”みたいなものを感じ始めた。
(うわ……この人、魔力の塊だ……)
成長ログも反応してくる。
◆ 特別ログ ◆
《高魔力個体を検知》
→ 魔力安定値に影響があります
→ 近づきすぎると勝手に魔力が上がるかも
(勝手に!? やめろそれ!!)
■ バルド、幼児を見て固まる
父さんが俺を抱えて近づく。
「バルド様! この子です! うちのユウトが……!」
バルドは俺の顔を見るなり、
「…………なんじゃこりゃ?」
(なんじゃこりゃ言うな!!)
俺はまだ1歳半。
泣かないだけで、完全に普通の幼児である。
「ほんまに1歳半か?」
父さん「はい!」
バルド「……魔力の量が、ワシの若い頃より多いんじゃが?」
(なぁぁんで!?)
母さんが苦笑いして言う。
「バルド様、この子……ちょっと特別みたいで……」
バルドは俺を指差した。
「特別どころか“未分類”じゃろ?」
(え、師匠クラスになると見ただけで分かるの?)
老人は鼻を鳴らし、杖を突き立てる。
「未分類の魔力はな……“扱いが難しい才能”じゃ。ほっといたら村が吹っ飛ぶぞ」
(やめて、村吹っ飛ぶとか言わないで)
父さん「で、ですよねぇ……!」
母さん「昨日も地面がえぐれました」
バルド「おいおい、既に地形変えてんのかこの赤ん坊は!!」
(ほんのちょっとです!!)
■ バルド、即スキャンする
バルドは俺の頭に手を乗せた。
(乗せるな。髪まだ柔らかいから)
「むっ……」
目を閉じ、魔力を流し込む。
(うわぁぁぁ! 頭の中がポカポカする!!)
そして開口一番――
「……おい。こいつ“魔力操作Lv6”じゃぞ」
父さん「えっ、すごいんですか?」
バルド「すごいどころの話じゃないわ!! 生まれて一年半でLv6とか聞いたことない!!」
母さん「そうなの?」
バルド「普通は学園入学前にLv1がやっとじゃ!!」
(なのに俺は6!? そりゃ暴走するわ!!)
老人はさらに付け加える。
「しかも……フォーム4種全部扱える……」
父さん「4種……?」
バルド「放出、集束、展開、流動! 全部“基礎の才能”がある!!」
(それシステムが勝手にやらせたんです)
バルドが叫ぶ。
「こんなん化け物じゃ!!」
(だから言葉選んで!!)
■ そしてバルドの結論
老人は深くため息をついた。
「…………よし。ワシが鍛えたる」
父さん「本当ですか!!?」
母さん「ありがとうございます!!」
バルドは俺の目をジッと見て言った。
「ユウトよ」
(名前呼ばれた……!)
「お前はな……このまま自己流の修行を続けたら……」
(続けたら?)
「“大陸規模の迷惑” になりかねん」
(スケール急にデカい!!!)
「じゃからワシがちゃんと教える。
安心せい。ワシほど“幼児に教えるのが上手い”魔術師はおらん」
(なんその謎ジャンル!?)
■ 成長ログが嬉しそうに動く
◆ 特別ログ ◆
《外部教師:バルドとのリンクが成立》
《経験値補正 ×1.5》
《魔力暴走率 −20%》
(おお!!? 暴走率下がるのか!!)
これはデカい。
俺の魔力は“勝手に増える体質”だから、
暴走率が下がるのは助かりすぎる。
■ そして師匠の第一声が意味不明
バルド「まずは……“赤ん坊にしかできん魔術”を教える」
(赤ん坊限定!?)
父さん「どんな魔術ですか?」
バルド「“転がり魔術”じゃ」
(なんそれ!?)
バルド「赤ん坊はよく転がるじゃろ?
その自然な運動を“魔力で強化”するんじゃ」
(危険すぎでは!?)
母さん「え、ユウト危なくないですか?」
バルド「大丈夫じゃ。転がるのは得意じゃろ?」
(いや得意とかそういう問題じゃない)
バルドは杖を振り上げて言う。
「よしユウト、転がれ!!」
(雑すぎる指導ぉぉぉ!!!)
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