間話 レインの勉強ノート(これまでの情報整理)
レインは、作戦会議の後、宿舎へと戻り、自由帳を取り出した。
これまでに学んだ掟や王国議会の情報を、ひとつひとつ書き込んでいく。
頭の中で散らかっていた数々の情報を、改めて整理しておきたかったのだ。
(……というわけで、今回は、これまでの既出情報を整理するための“間話”です。新しい展開はありませんので、ご安心を。もちろん、読み飛ばしても問題ありませんし、このノートの内容を覚えておく必要もありません。気になることがあったとき、ふと戻ってこられるよう、レインの勉強ノートをここに共有しておきます。)
目次
(1)金科七条
(2)議会玉条
(3)『イスリナ神教を国教とする掟案』の問題箇所
(4)王国議会の構成と、国教化案に対する賛否予想
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(1)金科七条
其の一
国王は、アルベルト・アステニアの血統を継ぐ者から選ばれ、掟および王国議会の民主制の原理の下に、アステニア王国を統治する。
其の二
すべての臣民は、個人として尊重される。生命の安全、個人の自由および幸福を追求する臣民の権利は、王国の政において最大限尊重されなければならない。
其の三
すべての臣民は、掟の下に平等であって、人種、信条、性別、地位、出身地により、差別されてはならない。
其の四
何人に対しても信教の自由を保障し、一切の宗教的迫害を禁ずる。
其の五
王国議会は、掟の制定を担う唯一の機関とする。その具体的な権能及び構成員の選定方法は、別の掟によって定める。
其の六
金科七条の改正には、王国議会の構成員の三分の二以上の賛成を要する。
其の七
金科七条は、王国の最上位の掟であり、これに反する一切の掟、王命、及び政治的行為は、その効力を有しない。
*「其の五」の“別の掟”は、議会玉条のことを指す。
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(2)議会玉条
第一条【議員定数および資格】
王国議会の議員定数は30名とする。内訳は、王族(国王を除く)および中央貴族から10名、聖職者代表1名、地方領主3名、大臣職(魔法師団長・騎士団長・医局長・文書館長)4名、公選議員12名で構成される。
第二条【特別職】
議員30名とは別に、特別職として、議長および書記官を1名ずつ置く。原則、議長は国王が務める。書記官は、王宮文書館の史官より選任する。なお、議長および書記官の2名は、議案に対する投票権を有しない。
第三条【議員任期】
公選議員の任期は五年とする。それ以外の議員は終身とする。
第四条【議会の召集】
国王は、月に一度、定例議会を召集する。また、議員の過半数の要請があった場合、臨時会をただちに召集しなければならない。
第五条【採決】
金科七条の改正を除くすべての議案は、議員投票の過半数で決する。可否同数となった場合に限り、議長が裁決を下す。また、同一議案の再投票は、同日中には一度だけ認められる。
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(3)『イスリナ神教を国教とする掟案』の問題箇所
イスリナ神教を国教と位置付けつつも、万人に対する信教の自由は絶えず保障する。王国は、イスリナ神教徒以外の者に対する迫害、又はイスリナ神教への信仰を強制する行為をしてはならない。
(注釈)上記の二文を付すことにより、金科七条の其の四と矛盾せず両立する。
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(4)王国議会の構成と、国教化案に対する賛否予想
◎......国教化案に賛成
●......国教化案に反対
◯......不明
(前回投票行動を加味した、マシューによる票読み)
王族・中央貴族 ◎◎◎◎◎◎◎◎◯●
聖職者 ◎
地方領主 ◎◯●
大臣 ●●●
公選議員 ◎◎◎◯◯◯◯◯●●●●
*投票権者は上記29名。15名以上が反対(●)ならば否決される。
*議長(=カール陛下)と、書記官(=マシュー館長)は、投票権を持たない。




