はじめに
ジョナサン・M・ハウス『諸兵科連合の歴史』(作品社)が2024年8月に刊行されました。この本はアメリカ陸軍指揮幕僚大学(CGSC)で陸軍大尉当時に戦略修士号を取った時の学位論文(1984年)がもとになっていて、今回邦訳されたのは2001年改訂版です。
諸兵科が連合していればそれは諸兵科連合です。三兵戦術という古い言葉があるように、大砲が軽量化されて野戦に現れたときも、歩兵や騎兵との協力関係が問われる一方、三兵科を統一指揮する師団という作戦単位が誕生することになりました。もちろん戦後アメリカを生きた若きハウス大尉にとって、コンバインド・アームスとは戦車と他兵科を融合させた部隊のことなのですが、その編成・作戦・機材のありかたに関する問題の中には、戦車登場以前の軍隊に問われていたものもあるのです。
この続き物では、稀有の体系性と総合性を持ったこの著作について、その少し外側でマイソフが知る限りのことをご紹介しながら、この絶好の肴を楽しみたいと思います。できる限り、この本に書いてあることをタダでここで繰り返し「ご紹介」するのは避けたいと思いますので、この本をお持ちでない方には多少読みづらいものになるはずです。あらかじめお詫び申し上げます。