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異世界のしおり  作者: 叡智V
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一週間経ちました:8月1日

 



 一週間後。

 前世の記憶が戻った後にひどい高熱が出てしまい、数日間寝込むことになってしまった。

 それも今はもう回復して、お店の手伝いをしている最中。


「えーと、はい。ぜんぶでにまんごせんペルですね」

「はいどうぞ。いつもお疲れ様ねえ」


 お客さんからお金を受け取る。前世の価値観で言えば一ペルは大体十円くらいの価値なので、この品の良いマダムが買った数個の食器と時計は合わせて二五万円程度となる。

 うちは、三階建てのお家の一階が雑貨屋になっている。

 雑貨屋と言っても富裕層向けの商品が多めだ。貴族街に近い立地だからね。


 マダムは付き人に商品を持たせて、馬車に乗って去っていった。この世界に自動車はあまり普及していない。

 普及してないだけで、あるにはあるらしい。


「本当に具合は大丈夫なのか? 後遺症とかないか?」

「もー、おとうさん心配しすぎ。だいじょぶだって」


 熱を出してから、父はウザイくらいに平気かと声をかけてくる。

 熱は割と早い段階に治まったし、寝込んでたのは頭痛のせい。多分、前世の記憶が戻った影響だろう。知恵熱……みたいな?

 だから風邪の類いとは違うと私は思ってるけど……父はそんなこと知らないから、突然高熱を出して倒れた娘のことが心配で堪らないらしい。


「わたしおかねの計算してるだけだし」

「それはそうだが、うーん……商品の陳列とかはやめとけよ? 病み上がりだろうから、安静にしておくんだぞ?」

「わかってるって」

「ホントに?」

「うん」


 私がそう返事すると、父は商品の整理をしに店の奥へと入っていった。


「心配性ねえ」


 父の背中を見ながら、困ったように母が呟いた。


 母は結構のほほんとした人だ。私が三歳の時に初めて火の魔法を使った時も、父が腰を抜かして驚いたのに対して、母は『あらあら、火事にならないように気をつけるのよ』といった反応だった。


 今更だと思うけど、この世界には魔法がある。前世でいうファンタジー世界的な感じで、魔力だとかドラゴンだとかがいるみたい。

 私はそういった異世界系の作品に造詣が深かった訳じゃないけど、知らない訳でもないわけで。


……実の所、前世の記憶が戻ってから悲しくもなったけど、ワクワクも結構ある。


 この世界は、前世の世界に比べたらあまり技術が進歩してないかもしれないけど、その分魔法が色々な所で使われている。大雑把に言えば、電力が魔力とかいう超便利な謎パワーに置き換わった感じ。おかげで生活の不便さは微塵も感じてない。


 娯楽も結構あって、魔法陣が仕込まれたガチで飛び出す絵本とか、小さな駒で魔法を撃ち合うボードゲームとか、浮くバランスボールとか色々。

 でも、私はボールに閉じ込めたモンスターを育成したり、銃で〇し合うゲームがしたいなぁ。

 やっぱり前世が恋しいです。


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