第五十六章 富士山へ
エリスくんたちが出張します。
地球に滞在中のエリスとダイアナとケイシーに仕事の話が来た。すなわち、エイリアン案件。
密入星してきたエイリアンが犯罪組織と取引をするとの情報を掴んだのである。犯罪組織は出来るだけ、生きたまま確保、エイリアンは生死は問わない。
取引場所は富士の青木ヶ原樹海。
丁度、他のエージェントが別件で動いて手が足りず、エリスたちに仕事が回ってきたのである。
早速、富永の運転するワンボックスカーで山梨県へ向かう。
今回も助手席には炭田、後部座席にはエリスとダイアナとケイシーが並んで座る。
ワンボックスカーで高速道路を走り、途中でサービスエリアでの休憩を挟んて山梨県入り。
高速道路を降り、腹ごしらえをするためにほうとうのお店へ。
「五人ですが開いているでしょうか」
炭田が丁寧に女性店員に聞くと、
「はい、開いております、こちらへどうぞ」
女性店員も丁寧に席に案内してくれた。外国人に見えるエリスとダイアナとケイシーにも変わらない接客態度。
店の中には外国人の姿がチラホラ見える。富士山目当ての海外からの観光客も多く、接客に慣れている。
やがて運ばれてきたほうとう。味噌仕立ての汁で平打ち麺と野菜が煮込まれている。
麺類は熱々が美味しい。みんなで手を合わせていただきます。
「かぼちゃが物凄く美味しい」
ダイアナの表情がぱあっと明るくなる。
「麺の食感と汁が合っているじゃないか」
飲むがごとく、ほうとうを食べるケイシー。
エリスは前世でほうとうを食べたことがある。あの時に食べた懐かしい味と変わらない美味しさ。
『また、ほうとうが食べられるなんて』
心の中で呟きながら、涙が出そうになるのを堪える。
静岡県に入って富士山へ。
ワンボックスカーを駐車場に止めて外に出た途端、ダイアナとケイシーは富士山を仰ぎ見た。
しばし、二人とも見とれて何も言葉が出てこなくなる。
前世でエリスは富士山を見たことがあるが、何度見ても見とれてしまう。
富永も炭田も気を利かせて、声をかけないでいてくれた。
「大きいというより、神秘的」
「僕も同じこと思ったよ」
ダイアナと同じ思い。今回だけではない、以前に見た時も神秘性を感じた。
「てっぺんまで登ってみたいな」
見とれただけではなく、登ってみたいと思いをケイシーは持った。神秘性を感じなかったわけではなく、感じたからこそ登ってみたいと思った。
「まずは任務を優先してくださいね」
炭田は遭難の心配はしていない、何せ三人はスペリオル。生身で宇宙空間に出ても平気なのだ。迷ったところで確実に生還する。
ケイシーはタイタンと融合しており、流石に富士山程大きくはなれないが、巨人化できるのは遭難時には有利に働く。遠くまで見渡せることができ、障害物を乗り越えることができる。
その分、目立つからMIBの仕事が大変になるけど。
「解っている、そのためにここに来たんだ。登るとしても任務の後でだ」
まかりなりにもプロ、自分勝手な行動はしない。
山梨県から入ったのはほうとうを出したかったから。
ほうとうは美味しかった、特にかぼちゃ。
本当に富士山は奇麗で見とれてしまいます。




