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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第五十五章 観光星 ミラア

 今回はエリスくんたちがメインではない話。

 エリスとダイアナとケイシーはしばらく地球に滞在することになった。

 次の仕事があると、地球を旅立っていったジョナサン。

 滞在中、ゴロゴロしているわけではない、富永と炭田たちの仕事、すなわち、エイリアンの案件を手伝う。

 日本で起こるエイリアン事件を秘密裏に解決していく。

 例えば密入星してきたエイリアンの逮捕、地球の文明レベルを越える品の密売の取り締まりなど。

 前世では知りえなかった世界。平凡な日常の裏側で平和のために頑張っている人たちがいた。今生ではその裏側に回って、エリスは地球の平和のために頑張っている。



     ☆



 観光星の一つ、ミラア。本来なら、一年を通して各星から訪れた観光客で賑わっているのに、街は閑散としていた。

 街には観光客は一人もいないし住人の姿も無い、いるのは武装した荒くれ者のような戦士たちのみ。

 街は封鎖され、入っていいのは軍関係者だけ。

「奴らの様子はどうだ」

「へい、姐さん。街から一匹も出さないよう閉じ込めてから、一か所に集めています」

「デリングビッドの一件が合って、ラッキーだったぜ」

 牙をチラ見させてジェイニーは微笑む。

 ジェイニーは正方形の携帯食を取り出して齧りつく。栄養は満点、味は食べられるレベル。手軽に必要な栄養が補給ができるのが利点、欠点は食事をしているという感覚が薄いこと。

 携帯食を食べながら荒くれ者のような部下たちにも見えるように、空中に今回の指令内容を投影。

 今や全宇宙に手配されたフィリップの姿がミラアで確認された。デリングビッドの時と同じように黒い霧を発生させヒューマンだけを“置き土産”に変えて姿を消す。

 デリングビッドと同じ“置き土産”退治の依頼がジェイニーに来た。断るつもりはなく、二つ返事で受けた。

「フィリップがエルフ優越主義者って資料にあるが、胸くそ悪いことばかりやりやがって」

 弟のゴードンも死に追いやらている。

「エリスたちがいれば心強かったんですが……」

 “置き土産”の倒し方を気が付いたのはエリス。

「しゃねぇだろう、あいつらも任務中なんだからよ」

 エリスとダイアナとケイシーに助っ人を頼もうとしたが、三人は別任務で地球にいる。しかも、イヴィル案件となれば諦めるしかない。

「あたしたちだけでやればいいんだよ」

 パンパンと手を払って指に着いた粉を払い飛ばす。

 フィリップがいればジェイニーの部隊だけではやばいが、ミラアでは姿が確認されてはいない。既に別の星へ移動したものと思われる。

「あたしたちだけで“置き土産”ごとき、ぶっ飛ばすことができないような軟弱もんじゃねぇだろ、お前ら」

 荒くれ者のような部下たちはその通りだと声を上げていく。見るからに軟弱もんとは程遠い人たちだけど。

「飯を食っとけよ、戦闘中は腹減っても食えねぇんだから」

「了解」

 荒くれ者のような部下たちは姿勢を正して返答。彼らが食べるのもボスと一緒の携帯食。


 全員が携帯食を食べ終えると、

「行くぜ、野郎ども」

 スーツのステルス機能をONにする。これにより視覚だけでなく、匂いも消して足音も聞こえなくして嗅覚と聴覚からも隠してしまう。

 ジェイニーに続き、荒くれ者のような部下たちもスーツのステルス機能をONした。


 ビル建設予定地、雑草の生えた地面があるだけの一角。

 中心に集められた“置き土産”がヒューマンそっくりに造られたロボットに群がり、噛みつき引っ掻いている。

 このロボットは見た目だけではなく匂いや体温までヒューマンそっくり造られていて、“置き土産”にはもってこいの囮。

 まんまと、囮に引っかかった“置き土産”は建設予定地におびき寄せられた。

 ここなら、周囲に建物も無く、視界を遮るものも無い。

 ロボットだとも気が付かず、貪り食う“置き土産”たちをジェイニーと荒くれ者のような部下たちは取り囲む、文字通りに音もなく。

 いくらロボットと言っても見た目はヒューマンそっくり、見ていて気持ちのいいものではない。早々と始末するべき。

 完全に包囲を終えたところでジェイニーはステルス機能をOFFにして、荒くれ者のような部下たちもステルス機能をOFFにする。

 ジェイニーと荒くれ者のような部下たちに気が付き、“置き土産”たちが襲い掛かってきた。

 ステルス機能をONにしたまま攻撃すれば、より安全に敵を倒せるのにそれはジェイニーたちのポリシーが許さない、気付かれない敵を倒すなど。

「ガオオォォォォォォォォォォォォォォォォォン」

 咆哮と共にジェイニーがビーストモード発動させ、“置き土産”に飛び掛かって頭を叩き潰す。

 それを合図に荒くれ者のような部下たちが発砲、正確に頭を撃ち抜いていく。

 荒くれ者のような部下たちは“置き土産”に接近させないように一定の距離を維持しつつ、攻撃。ジェイニーは接近して“置き土産”の頭を潰していく。

 “置き土産”の噛みつきや引っ掻きをジェイニーは高速移動で躱し、確実に仕留めていく。

 荒くれ者のような部下たちの銃撃を当たらないように攻撃を繰り返すジェイニー。荒くれ者のような部下たちもジェイニーに弾が当たらないように撃つ。

 見事なまでのチームワーク。ただ、がむしゃらに襲い掛かって来るしかない“置き土産”など、いくら数が勝っていようとも相手にはならない。

 姿が見えても、“置き土産”は一体としてジェイニーと荒くれ者のような部下たちに指先一つとして触れることは出来ず。

 荒くれ者のような部下たちの一人が一息つく頃には“置き土産”は全滅していた。


 ホラー映画ならば敵を倒して安心したタイミングで更なる強敵が現れて絶望させるのが定番だが、更なる強敵も現れることなく“置き土産”たちを殲滅後、火葬にした。

 動く屍、放置しておけばねずみ算式に“置き土産”を増やしていく危険な相手とは言え、元はヒューマン。ジェイニーも荒くれ者のような部下たちも何も感じないわけがない。

 火葬を終えた後、

「フィリップの野郎、何がしたいんだ!」

 我慢できずに荒くれ者のような部下たちの一人の口から言葉が飛び出す。

「考えなんかあるものか、あいつはもうエイリアンと同じだ。エイリアンがいちいち考えて攻撃するか? 精々、ヒューマン嫌いの名残で動いているぐらいさ」

 ジェイニーは一人だけではない、部下全員に向けて言った。

 フィリップが現れたのはミラアだけではない、他の惑星にも現れてヒューマンを“置き土産”に変えている。

 その都度、軍人が派遣されて処理してきた。デリングビッドのデータがあるのでしっかりと対応出来てはいるが気持ちのいい仕事ではないのは皆同じ。

 こうして、人類軍は種族関係なくにフィリップが許せないとの思いが強くなっていく。







 ジェイニーの姐さんを出したかったので。

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