第五十三章 散歩
今回は一日休みの話。
これで倒されたイヴィルは三体、フィリップと取り巻きが変異したものならば残るは二体となる。
イヴィルを倒した翌日は一日休み。エリスとダイアナとケイシーはしっかりと睡眠をとり、昼間は散歩することにした。人間に擬態し直したジョナサンとは別行動。
海外からの観光客に紛れ、さほど目立たないのでゆっくりと見て回れる。
海辺の町だけに風に潮の匂いが混じり、建ち並ぶ土産物屋には海産物の乾物が売られている。
町を行き来する地元住民や観光客は普段と変わらない。まるで昨日のことが無かったように。実際に無かったのだろう、少なくとも記憶の中では。それだけ、記憶消去がうまく行っていると言うこと。
事実を知っている者たちにしてみれば複雑な気分。
「亡くなった人たち、事故死で処理されるんだってね」
「ああ、海に落ちてなく亡くなったとな」
前を歩くダイアナとケイシー。犠牲者たちは好感の持てる奴らではなかったが、犠牲者には変わらない。
目の前で食われたのだ、エイリアンと戦う戦士として何も思わないわけはない。
現場となった釣り場は事故の調査中と言う事で立ち入り禁止にして、エイリアンとの戦闘の後始末をしている。今日中には完了する予定。
「それでも多くの人は護れた」
一歩後ろを歩くエリス。
「うん、そうだよね。私たちは出来ることはやった」
エイリアンと戦い倒し、それによって護れた命はある。
エイリアンの脅威から人々を護るためにエリスとダイアナとケイシーは戦士になる道を選んだ。選んだからには進み続ける。
お昼に入ったのはラーメン屋。わりと並んでいて十二分ほどで店内へ。
エリスとダイアナとケイシーは仲良く店の一押しラーメンとライスを注文。ケイシーは大盛りで。
暑い夏の日にクーラーの効いた店内で食べる熱いラーメンも中々乙なもの。
「美味しい」
「うめーっ」
ダイアナとケイシーには初めての味、エリスには懐かしい味。
「修学旅行の時もそうだったが、地球には美味しいものがまだまだ沢山あるんだな」
前世の故郷を褒められて悪い気はしない。
昼食後は付近を散策。神社の前を通りかかると、一人の神主が箒を持って掃除をしていた。
エリスとダイアナとケイシーに気が付くと、神主はギョッした顔になる。
「何だアイツ、失礼な奴だな」
一言言おうとしたケイシーをエリスが制す。
「あの人、神職なんだよ。だから、僕たちのことを何か感じたんじゃないかな」
ダイアナはセイレーンと融合、ケイシーはタイタンと融合、エリスに至っては宇宙の女神と融合しているのだ。本当に感じているのなら、驚くのも無理はない。
「そう言われたら、聖地にいた神官たちにどことなく雰囲気が似ているわね」
ダイアナが軽く会釈すると、神官は何度もお辞儀をする。どうやら、本当に感じていたようだ。
夕食はホテルではなく、昨日釣った魚。料理してくれたのはMIBのエージェントたち。
イワシとサバとアジの刺身、イワシは梅煮とつみれ汁、サバは塩焼き、アジはフライ。
いただきますとエリスとダイアナとケイシーは料理を食べ始める。
「僕はアジフライにはウスターソースをかけるんだ。人それぞれに好みがあるけど」
エリスがアジフライにウスターソースをかけるのを見て、ダイアナもアジフライにはウスターソースをかけてみた。
「何これ、美味しい」
ちょっと、大目にかけてしまったけれど、それでも好みの味。
「じゃ、俺はこっちを付けてみるか」
ケイシーが付けたのはタルタルソース。ガブリっと一口。
「うめーっ」
自分で釣った魚だから、尚更、美味い。また釣ってみようかなと思うケイシー。
釣った食べれる魚は食べるのが好き。
アジフライにはウスターソースをかけるのが好き。




