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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第五十二章 釣り

 今回は釣りの話。


 宿泊はホテル。他の客と比較的、接触しないようにスイートルームを富永と炭田が用意してくれた。

 エリスとダイアナが同室、ケイシーが一人。部屋は別だが隣同士なので就寝まではケイシーが遊びに来ていた。


 二日目は釣り。近くに釣り場があり、そこでもエイリアンの目撃例がある。

 竿に糸に浮子にサビキにオキアミにバケツに網にクーラーボックス、道具は富永と炭田が持ってきてくれた。

「釣りは初めて」

「そんなことないよ」

 尋ねてきたジョナサンにそう答えた。ラースでも釣りはあるが、エリスはあまりやったことは無い。正し、前世では何回かはやったことがある、海でも川でも。


 前もってサビキ釣りのやり方は富永と炭田から教わっている。エリスはサビキ釣りのやり方を知ってはいたが、ここは黙っておく。

 釣り場には釣り目的の人以外にもUMA狙いのYouTubeたちの姿もあった。

 先客への会釈を済まして、釣りの準備。

 糸の先のカゴにコマセスプーンを使ってオキアミを入れてから、サビキを海の中へ。

 竿を上げ下げしてオキアミを散らし、しばし待つ。

 ダイアナの竿にヒット。

「来たっ」

 リールを巻いて竿を上げる。日光に反射して鱗が輝く細身の小さい魚が三匹がかかっていた、うち一匹は針が外れて海へドボン。

 釣れた魚はイワシ。魚に弱いと書いて鰯だが、美味しい魚。

「俺も来た」

 ケイシーがリールを巻き、竿を上げるとそこそこの大きさのサバが四匹釣れた。

 狙ったかのようにエリスもヒット。リールを巻いて釣れた魚は丁度いいサイズのアジが三匹。

 サビキてよく釣れるイワシ、サバ、アジが釣れた。

 釣れた魚はバケツへ。

 どの世界でもどの星でも釣りで魚が釣れれば楽しい気分になる。

「この魚、食べられるんだよな」

「うん、食べられる魚だよ、とても美味しいよ」

 未だヒットしないが、イライラした様子を見せないジョナサン。

 イワシとサバとアジが食べられることはエリスは既に知ってること、美味しいこと前世で食べてから知っている。

 空になったカゴにオキアミを詰めようとしたところ、

「いつになったらも、UMAが出てくるんだよ!」

 UMA狙いのYouTubeが喚き出す。

「三日前から待ってんだぞ!」

 別のUMA狙いのYouTubeが呼応。

「とっとと、出て来いよ、UMA!」

 騒ぎ始めるUMA狙いのYouTubeたち、DQN以外の何者でも無し。ついには足元にあった空き缶や空き瓶やペットボトル、お菓子の袋を海に投げ捨て始めた。

「いい加減にしないか」

 見るに見かねた釣り人の一人が立ち上がりDQNたちの前に行って注意。

「何だよ、おっさん」

 DQNが釣り人を突き飛ばす。それを見た他のUMA狙いのYouTubeはゲラゲラ笑いながら、突き飛ばした釣り人をスマホで撮影。

「ちよっと、竿を持っていてくれ」

 エリスに竿を渡し、ケイシーがUMA狙いのYouTubeたちの前へ行き、無言で睨みつける。

 ケイシーは見た目は良い体格をした外国人、タイタンと融合したことでさらに体格が良くなっている。

 一瞬、怯んだものの相手は粋がったDQNたち、

「外人なんて怖くはねぇだよっ!」

 ケイシーの腹を殴りつけたが、

「がぁっ」

 呻いて蹲ったのはDQNの方。

 タイタンと融合した対エイリアン用の体。生半可なエイリアンの攻撃を弾き返してしまう頑丈さ。粋がっているだけのDQNのパンチなど蚊に刺された程度以下。

「テメー、何しやがった!」

 沸点の低いDQNたちが折り畳みナイフを取り出した瞬間、現れた。

 爬虫類と魚類を混ぜ合わせたような姿でありながら、どことなくエルフの面影を残しているのが異様さを際立たらている。間違いない、イヴィルだ。

 DQNたちに驚く間は無かった、まとまっていたこともあり、まとめて一瞬で食べられてしまったのだから。恐怖を感じる時間が無かったのは幸いか。

 助かったのはケイシーを殴った一人だけ。

 たちまち、パニックになる釣り場。釣り人たちは逃げ出す。生き残ったDQNも這いずるように逃げる。

 一台のマイクロバスが停車、ドアが開く。

「みなさん、乗ってください。安全な所へ避難させますので」

 釣り人たちもDQNも急いでマイクロバスに乗り込む。

 運転席の富永がエリスたちに一礼して、マイクロバスを発車。

「出ましたか」

 ジョナサンはクーラーボックスの底を開けた。このクーラーボックスは二重底になっていてそこに折り畳み式の対エイリアン用ライフルを隠している。

 折りたたまれていた対エイリアン用ライフルを真っすぐ伸ばし、イヴィルに乱射するものの、海に潜られてしまう。これでは的確にダメージを与えられない。

「危ねぇ」

 ケイシーがジョナサンの肩を掴んで引き寄せる。次の瞬間、海面から水流が飛び出し、ジョナサンの背後にあった石のベンチを真っ二つにした。

 超高圧で発射された水流、ウォータカッター。石どころか金属さえも切断する威力。

 イヴィルは海水を吸い込み、超高圧で発射している。

「ありがとう、助かったよ」

 引き寄せられた拍子に本来のヒトデ型の姿に戻っている。周囲にいた釣り人などの一般人たちは避難しているのでライパ星人の姿は見られることは無い。

 再び放たれるウォータカッター、狙われるケイシーとジョナサン。体制が邪魔をしてい避けきれない。

 ダイアナが飛び出し、叫ぶ。サイレントの力が込められた叫び。

 音と水がぶつかり、双方弾け飛ぶ。

 海中から何発も発射されるウォータカッターをダイアナの叫びで全て打ち消していく。

 防御一辺倒のダイアナ。スペリオルなのでいつまでも叫びを発することが出来るが、海水も無尽蔵にある。

 こちらから攻撃しようとしても海に潜っていては攻撃が当たらない。

「俺が海から叩き出してやる」

 巨大化して海に飛び込もうとしたケイシーをエリスは止めた。

「ここは僕に任せて」

 海に向かって両手を左右に広げた。実はこんな仕草は必要ないのだがパフォーマンスで、言ってしまえばかっこつけ。

 スペリオルの重力操作で海を二つに割る。まるで『十戒』の紅海の様に。

 海底に投げ出された魚と爬虫類を足したような姿のエイリアンが蠢いている。水中に特化した体のため、水かなくなれば真面に動けない。

 YouTubeとは違い肉眼で見たイヴィル。海水が取り除かれたことで顔がはっきり見えた、尖った耳からエルフの特徴を有している。

「今度こそ、俺の番だな」

 巨大化したケイシーが海底に飛び降り、力任せにイヴィルの頭を踏み潰す。

 完全に息絶えたことを確認してから、イヴィルを担ぎ上げて上がってくる。

 海を元に戻す。短時間なので海の生き物さんたちも無事。

「ケイシー、服どうするの」

 ダイアナに指摘されて気が付く、今日着ているのは普通の服で伸縮自在の服ではないので破けてしまっている。

 いつもの感覚で巨大化してしまったケイシー、人間サイズに戻れば全裸状態。

「何か着れるものを探してくる」

 エリスは服の調達に急ぐ。


 調査のため、イヴィルの遺体は回収。大型冷凍車で運ぶ。見た目は普通の大型冷凍車と同じだが、エイリアンも運べる特別な車両。

「事後処理は任せてください」

 それが富永たちの主な仕事。後ろでは炭田が指揮を執り、エージェントが走り回って作業をしている。

「あの、目撃した人たちは」

 マイクロバスで避難した人たちのことをダイアナは尋ねる。

「気害は加えません。ただ、記憶は消しますが」

 地球は一部を除いて地球外知的生命体と交流していない。まだ、その時ではないと、判断されているから。

 もし、今の段階で地球外知的生命体の存在を公表したら、世界中でパニックを起こすだろう。

 だから、記憶を消すのは致し方がない。身体に悪影響が出ないことだし。







 サビキ釣りはやったことあるけど、オキアミを入れる道具がコマセスプーンとと言うのは知らなかった。

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