第四十七章 未知の成分
“置き土産”との戦闘後。
亀のような宇宙船がラースの宇宙港に帰港した。
今回の敵はエイリアンではない、動く死体の“置き土産”。
敵を倒すという行為そのものはいつもと変わらないものの、対エイリアンのプロでも精神的に疲れるのも仕方なし。“置き土産”の中には同業者いるのだから。
ある兵士は気晴らしに飲みに行き、ある兵士は疲れを癒すために帰宅して寝ることにした。
エリスとダイアナとケイシーは寄り道せずに帰って寝ることにした。
☆
各星の代表者たちがラースの星連会議場に集まる、遠方の星の代表はモニター参加。
デリングビッドで発生した“置き土産”の解決。ジェイニーの率いた部隊は犠牲者を一人も出さなかった。
エリスとダイアナとケイシーを部隊に加えた判断は正解と言えるだろう。
“置き土産”はエイリアンとは違い、元は人間である。“置き土産”は動く死体、エイリアンのような身体能力は無くとも油断は出来ない。“置き土産”に噛まれたら“置き土産”になってしまう。ねずみ算式に増える危険な敵。
だから、火葬にすることにした。一応、血液と細胞のサンプルは回収して。
「サンプルを解析したズェル・ウロです」
壇上に立ったリトルグレイが挨拶。
「サンプルを解析した結果、一般のヒューマンの元の変わりありませんでしたが、ただ一点、未知の成分の痕跡が確認出来ました」
ズェルの発言に全員が注目。
「完全に未知の成分は消失しており、痕跡しか確認できませんでしたが、この成分が死者を動かはていたものと考えて間違いないでしょう。噛むことによって未知の成分を感染させ、“置き土産”に変える」
死者を動かし、生者を襲わせる成分。恐ろしい成分としか言えない。
「イヴィルがもたらした成分――と考えてよさそうだな」
レプティリアンの代表の意見に反論は出ず。誰もが同じ考えと言うよりかは、それ以外の考えが存在しないと行った方が的確。
イヴィルが何かの成分を使って、死者を“置き土産”に変えた。生存者の証言に羽虫型ドローンの映像に採取したサンプルなど、集められた情報がイヴィルの関与をほのめかしている。
「冬の星のサンプルと共に解析を続けます。ですが、前例にないものなので解析には時間がかかります」
解析はリトルグレイの得意分野。長年、いろんな星で実績を積んできているので。
「イヴィルの事件は続くのだろうな」
とドワーフの代表。これまで確認されたイヴィルは砂漠の惑星、冬の星、デリングビッドでの三体。全員がエルフでフィリップとその取り巻きたち。
イヴィルになった可能性の高い者は、まだ存在している。
「フィリップは死んだの?」
犬の容姿を持つ代表。彼女はビーストでなく、犬型の宇宙人の代表。
ゴードンが小型爆弾を使ってフィリップを道連れに自爆した。
死んでいた方が望ましい、誰もがそう思うのも仕方がない。
「おそらくは生きているだろう、イヴィルはそんな生やしい相手ではない」
エルフの議長が語るように言った。
イヴィルとなつたフィリップが生きている、それは全代表が頭の片隅にあった。それでも拒絶したかった。
認めるしかない、フィリップが生きていると。
認めたらなやることはやる。
「ならば探索はすぐにでも行わなくては」
「デリングビッドにまだいるのか、それとも別の星に移動したのか」
「取り巻きたちも含め、見つけ出さなくてはな」
口だけではない、各星の代表者たちすぐに行動を開始。
エイリアンとの戦争で被害者を0にすることは出来ない。だが、0に近づけることは出来る。イヴィル相手だって同じ。
希望を持つ。そして、希望は捨ててはならない。
研究者の宇宙人と言ったら、リトルグレイが思い浮かびました。




