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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第四十六章 “置き土産”との戦闘

 ホラー映画のゾンビもの、特にジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』はお気に入り。

 ラストで流れる曲が明るいんだよね。


 デリングビッドに到着した部隊。メンバーはエリスとダイアナとケイシーにジェイニーが率いる荒くれ者みたいな部下たち。

 バニックを避けるため、公式発表ではルーマトゥ地区は毒ガスを発生させるエイリアンが現れたので閉鎖したことになっている。


 ルーマトゥ地区の隣、チチオフルル地区にある工場の倉庫を拠点にした。

 着々と準備を進める部隊に来客が来た。ルーマトゥ地区の区長のジョージ・アクトンである。

「今のルーマトゥ地区は危険な状況です」

 ジョージと一緒に避難してきた住民たちもジョージと共にルーマトゥ地区の状況を知っている、どけだけ危険なのかを。

 ルーマトゥ地区がどうなってしまうのかとの不安と、ジェイニーの部隊への心配。この二つが混ざった心境。

「アタシたちは専門家だ、ドンと任しといてくれ」

 ニカッと笑って見せた。

 不安を和らげてくれる笑顔のお陰でジョージの心境も穏やかな風が吹いた。


 工場の従業員たちが使っていた部屋が隊員たちに与えられ、“置き土産”駆除の準備を進めていく。

 エリスとダイアナとケイシーには同じ部屋が与えられた。宇宙船の時と同じくいつも一緒の仲良しだから、ジェイニーは気を利かせたつもりなのだろうが、性別のことを考慮していない。

 ジェイニー自身は男女の違いのことを気になどしないのだが、それは彼女の感性であって万人の感性ではない。

 部屋の隅で着替えるケイシー、覗きたいという欲求はある。あることはあるが、欲求に従った瞬間、二人の鉄拳制裁を食らうのは明白。

 何より、そんなことしてしまったら、嫌われてしまう。エリスには嫌われたくない。

 人間は欲求を押さえることの出来る生き物だ。着替えに全神経を集中させる。

 着替え終わったタイミングで三人のカード型スマホが同時に振動した。


 自分専用に使っている部屋の片隅に座ったジェイニーはカード型スマホに保存しておいた写真を浮かび上がらせる。写っているのは弟のゴードン。

 お姉ちゃん子の弟でよく後ろをに着いて回った。ついには軍隊にまで着いてきた。

 デリングビッドで未知のエイリアンに遭遇し、戦死。

 部下は“置き土産”にされ、襲われて住民も仲間入りしているだろう。

「けじめはアタシが着けてやるよ」

 浮かび上がった弟の写真を消した。


 集結するジェイニーの部隊とエリスとダイアナとケイシー。着ているスーツはエイリアンとの白兵戦用てあり、特殊素材で表面は生半可な打撃も斬撃を防ぎ、内側はダメージの80%を吸収する。高い防御力を持ちながらも大した重さは無く、兵士たちの動きに邪魔にはならない。

 これでヘルメットを被れば“置き土産”の原始的な攻撃を防ぐことがことが出来る。

 だからと言って、なめてかからないのがプロ。

 ジェイニーが部隊の前に立つ。

「準備できたか、野郎ども」

 おおーっと声を上げる兵士たち。ジェイニーを除けば野郎じゃないのが一人、元野郎が一人いるが部隊の誰もが気にしていない。

「アタシたちのやるべきことは常識を忘れた“置き土産”どもに常識を思い出させることだ。屍のいるべき場所は墓の下だってな」

 またも声を上げる兵士たち、付き合うエリスとダイアナとケイシー。これはこれでやっているとテンションが上がる。

「さぁ、出発だ!」

 ジェイニーの掛け声共に対エイリアン用のライフルを持ち兵士たちとエリスとダイアナとケイシーは二台の大型装甲車に乗り込む。

 エリスとダイアナとケイシーは並んで座っている。三人同時にかかってきた電話、伝えられた機密情報。

 闇の精霊と融合してエイリアンとなったイヴィルの存在。デリングビッドでイヴィルになったフィリップの姿が確認されたこと。

 エリスとダイアナとケイシーに伝えられたのはフィリップと因縁があるから。遭遇したとして、知っているのと知らないのとでは行動がとりやすく、生存率が変わる。

 無論、口外することは厳禁されてはいるが。

 フィリップには全くと言っていい程いい印象がない、かといってエイリアンになってざまあみろなんて言う気持ちも持っていない。

 エリスとダイアナとケイシーは複雑な気分を抱く。


 ルーマトゥ地区が近づいてきた。これから戦う敵はこれまで戦ってきたエイリアンとは違い、動く死体なのだ。誰もが経験したことのない相手、中には深呼吸をして気持ちを整えている兵士もいる。

 大型装甲車のステルス機能をONにする。レーダーなどの電子機器だけではなく、視覚聴覚嗅覚からも隠してしまう。

 衛星や羽虫型のドローンの情報で“置き土産”の位置は把握している。

 生きているヒューマンを襲い掛かる習性を利用して、見た目も体温も匂いも足音もヒューマンそっくりに偽装したロボットを放ち、“置き土産”を一か所に集める。

 集団でロボットに襲い掛かる“置き土産”、ステルス機能をONにしている大型装甲車は全く認識していない。

 人間そっくりに造っていてもロボットはロボット。いくら、噛まれようが引っかかれようが傷つくことなく血が出ことも無い、“置き土産”の仲間入りすることも無い。

 機能停止したロボットに群がる“置き土産”たち。そこに人間らしい知性は一切、見受けられない。

「あれが、人間のなれの果てか。死んでもああはなりたくはないもんだ」

 無精ひげを生やした兵士が大型装甲車から飛び出し、対エイリアン用ライフルを“置き土産”たちにぶっ放す。

 無精ひげに続き、兵士たちは大型装甲車から降り、“置き土産”を撃っていく。

 エリスとダイアナとケイシーも続く。

 兵士たちに気が付いた“置き土産”は群れとなって襲い掛かってきた。

「なんだ、こいつら! 何発撃っても死なねぇぞ」

 “置き土産”は何発撃っても腕や足が吹っ飛んでも下半身がちぎれても、這いずりながらも迫って来る。ちぎれた足は蠢き、ちぎれた手は指を足代わりに動かして近づいてくる。不気味でまるっきりホラー映画。

「一度、死んだ相手を殺すことは出来ないのか!」

 兵士たちは対エイリアン用ライフルを撃ちながら、距離を取る。幸い“置き土産”の動きは鈍いので追いつかれることは無い。

 追いつかれることは無いが、何発撃っても動き続ける“置き土産”相手では埒が明かず、このままでは撤退もありうる。

 だが、撤退すれば“置き土産”を放置することになり、被害を拡大させてしまう。そうなれば“置き土産”の数も増えることに。

「頭を撃ってみて」

 兵士たち全員に聞こえるようにエリスが言った。

 突然の提案。混乱から出た妄言と一笑に付すことは兵士たちには無かった。やれることは何でもやってやる。

 一人の兵士が“置き土産”の額を撃ったところ、あれだけ撃っても動くことを止めなかった“置き土産”が倒れ、全く動かなくなった。

 別の“置き土産”の額を撃っても倒れて動かなくなる。

 “置き土産”を倒すには頭を撃てばいい。

「野郎ども、“置き土産”のド頭ぶっ飛ばせ!」

 ヘルメット越しにも関わらず、ジェイニーの号令は兵士たち全員に届き渡った。

 対処法が解れば後は早い、兵士たちは連射は使用せず的確に頭を撃ち抜いていく。

 ヘルメットを外して投げ捨てたジェイニー。

「ガオオォォォォォォォォォォォォォォォォォン」

 吠えた。顔に毛が生え、耳が尖り、牙が伸びる。ビーストモード発動。

 人間を越える、ビーストのスピードで“置き土産”に接近。いつの間にかに持ち替えた対エイリアン用ハンドガンの銃口を額に押し付け、引き金を引く。

 倒れる“置き土産”。背後から襲い掛かってきた“置き土産”の顔を体を反転させ、左手の爪をこめかみに突きたてる。

 ジェイニーに噛みつく“置き土産”。それが残像だと気が付かないままに、頭をエイリアン用ハンドガンでふっ飛ばされた。

 何体の“置き土産”が襲い掛かってこようとも、文字通りの目にも止まらぬ動きで翻弄。近距離遠距離中距離の“置き土産”はエイリアン用ハンドガンで頭を撃ち抜き、近距離の“置き土産”は左手の爪と握力で頭を攻撃。

 ジェイニーが“置き土産”を引き付けてくれるお陰で、兵士たちは“置き土産”を狙いやすい。

 数は多くとも動きが鈍い“置き土産”を殲滅させるのに、多くの時間は必要なかった。


 全滅させた“置き土産”。全滅させたからと言って油断は出来ない、“置き土産”は死んでいるのに動き、生者に襲い掛かったのだ。

 兵士たちは一定の距離を保ち、いつでも攻撃できる体制で待機。羽虫型のドローンが確認に向かう。

 死亡は確認できたが、元から死んでるので意味はない。羽虫型のドローンか接触しても動かない。

 ジェイニーが進み出てて、“置き土産”を指先でつついてみる。反応なし。

「こいつらは常識を取り戻したようだ」

 ホラー映画なら、ホッとしたところで“置き土産”が飛び起きて襲い掛かって来るのが定番だが、それも無い。

 “置き土産”は本来の死体に戻った。今回の戦闘は終了。

 ビーストモードを解除する、ジェイニー。

「エリス、よく頭が弱点て解ったな」

 スキンシップ交えてケイシーが褒める。

「凄いよ、エリス」

 負けじとダイアナもスキンシップ交えて褒める。

「でも、どうして頭が弱点ってわかったの」

 そんなことを聞かれても、前世でホラー映画で見たからだよと答えることは出来ない。そもそも、何でゾンビの頭を撃てば倒せるのかはお約束としか言いようがない。もしかしたら、ジョージ・ロメロ監督ならば答えれるかも。

「勘だよ」

 いつもと同じ、誤魔化すしか選択肢はなし。

「ふ~ん、そうなんだ。まぁ、いいか」

 多少、疑いの目で見ていたが。最後は納得してくれたダイアナ。誰にも言いたくないことはあることはある。ダイアナは空気の読める子。

「勝ったんだから、ここは良しとしようぜ」

 ケイシーは細かなことは気にしない男の子。

 兵士たちも未知の敵であった“置き土産”との戦いの勝利の実感が広がっていく。いつも、勝てば嬉しい、犠牲者が出ることなく勝てば尚嬉しい。

 喜んでいる兵士たちに中、複雑な表情のジェイニー。“置き土産”は一部は弟、ゴードンの部下だった。

『これで、やっと安らかに眠れるな』


 遺体は火葬にした。各星、各種族にはそれぞれの送り出しの作法がある。今回は特殊状態になっていたので火葬にするようにとの指示があった。正しサンプルは回収後で。

 火葬にすれば、もう起き上がることは無い。

 ジェイニーも兵士たちもエリスとダイアナとケイシーも静かに黙祷で送る。

 デリングビッドの任務は完了した。後片付けが残っているけど。







 ゾンビは倒せる、お約束だけど理由が解らない。

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