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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第二十七章 精霊殿

 全班の生徒の“儀式”が終わりました。

「ずっと、気になってたんだがエリス、何かスタイル良くなっていないか?」

「……気のせいだよ」

 ケイシーから聞かれたエリスは、とても女性用の下着を着けているからなんて恥ずかしくて言えなかったので誤魔化す。

 ダイアナはエリスの幼馴染であり、尚且つ女性でもある。したがって一目で女性用の下着を着けていることを見抜く。

 どうやら、気が付いているのは自分だけのよう。このことと幼馴染と言う立場でイニシアチブを握っていると感じたダイアナはほくそ笑む。


 後発班の生徒たちの儀式も終了。

 今年は二千人の生徒が儀式を受け、スペリオルになれたのは十二人。これでも多い方である。


 精霊に選ばれなかった生徒たちは山を下りる。

 再度儀式を受けさせろと喚き散らしていたフィリップは神官に当て身を食らわされ失神、そのままローズモンドに担がれて下山。

 山を下りた後、スチールやビーストの“処置”を受ける生徒も。



「皆様はこちらへ」

 スペリオルになった十二人は神官に案内されて神殿の裏手ににある建物、精霊殿へ向かう。

 生徒は精霊殿で体のチェックを受け、力の使い方を教わりスペリオルとしての生き方を学ぶことになっている。

 いきなり強い力を得て、様々な能力が使えるようになっているスペリオル。間違った使い方をすれば破滅が待っている。最悪、周囲を巻き込むことも。

 そうならないように、手にした“力”の正しい使い方を覚えなくてはならない。

 左右を木々に囲まれた石畳を進んでいていると、見えてきた精霊殿。神殿を一回り小さくしたような外観ながら、漂わせる神聖さは勝るとも劣らない。

 エリスは精霊殿に入るなり、

「何か空気が変わった?」

 精霊殿内を見回す。エリスだけではなく、ダイアナやケイシー、スペリオルになった生徒たち全員が空気の変化に気が付いて周囲を見回していた。

「ここは外と時間の流れが違う空間なります」

 振り返ることも無く、神官は歩きながら話す。慣れているところを見ると、毎回スペリオルたちに話しているのだろう。

「ここでの数日を過ごしても外で経つのは数時間」

 聴きながらエリスは、何かそんな設定の空間が出てくる漫画があったなと思い出す。

「ですが心配することはありません、スペリオルになったあなたたちの加齢も常人とは違うものになっています。外へ出る時に年を取っていることはほぼありません」

 ここにいても年を余計に取ることは無い。さり気なく神官はスペリオルになった生徒たちの不安を払拭してくれた。


 精霊殿の入ったところは広間で奥に大きな扉が一つある。それ以外は何もない。

 大きな扉を神官が開き、

「どうぞ」

 中へ入るように促す。扉の向こうに何があるかは解らないが、十二人は中へ入ることにした。

 途端、強い光が差し込み、一瞬視界が奪われる。


 ケイシーの視界が回復した時、何処までも広い草原にいた。一緒にいた生徒たちがおらず、周りには何の建物も無い、遠くに見えるのは地平線。あるのは出てきた扉一つ。

「お待ちしておりましたケイシー・エイムズ様。私があなたを担当する者です」

 いつの間にか立っていた神官が挨拶。精霊殿に案内してくれた神官と同一人物なのか見た目も声も似てはいるが判断できない。

「あっ、どうも」

 つられてケイシーも挨拶。

「ここでケイシー様には巨大化してもらいます」

「巨大化?」

 思わず聞き返す。

「タイタンと融合なった身ならば、何処までも巨大化でき、それに見合う力を振るうことができます」

 と言われてもピンとこない、巨大化するにはどうやればいいのか?

「まずはケイシー様の中にある“力”を感じ取ってください。感じ取ることができれば“力”全身に行き渡らせるようしながら、巨大化した自身をイメージするのです」

 ケイシーの心を見透かした神官からのアドバイス。

 まずは言われた通りにやってみる。

 体内にある力を感じ取り、全身に回す。そして自分がでかくなるのをイメージ。

 すると、どうだろう。本当に体がどんどん大きくなっていく。

「おお、すげー」

 思わず巨大化した自身の姿に見とれる。大きくなった上、筋肉も膨れ上がっいる。

「六メートル、初めてにしては中々です」

 ケイシーは六メートルの大きさになっていた。神官の口ぶりから、まだまだ大きくなれるらしい、

「着替えは用意してありますので気にする必要は張りません」

 ハッとなるケイシー、巨大化したことで服が引き裂かれて無くなっていた。服は伸縮自在ではあるが、流石に六メートル巨大化には耐えれず。どんなサイズにも耐えれる服があることはあるが、今支給されている服はそうではない。

 思わず前をケイシーは隠す。そんな仕草でも六メートル巨大化している分、迫力はある。



 ダイアナの視界が回復した時、大きな石造りの建物の中にいた。正面には石像が並び、それぞれバイオリン、チェロ、フルート、ホルン、タンバリン、ティンパニ、ピアノを今にも演奏しそうな状態で佇んでいた。

「エリスはどこ?」

 傍にいたはずのエリスを探す。他の生徒もいなくなっているのだが、真っ先にエリスのことを気になる。

「お待ちしておりましたダイアナ・キブソン様。私があなたを担当する者です」

 声が聞こえてきた方を見れば、いつからそこにいたのか神官が一人立っていた。

「あなたが私に“力”の使い方を教えてくれるの」

 ハイと神官は頷く。

「私は何をすればいいいの?」

 “力”の使い方を教わるといってもちんぷんかんぷん。

 神官が手を叩いた。すると、石像がまるで生きているように動き出して演奏を始めたではないか。

「なんなのこれっ!」

 凄まじい大音響、耐えきれなくなったダイアナは耳を塞ぐ。

 こんな状況なのに、平然としている神官。本当に音が聞こえているのだろうか、ついダイアナは疑ってしまう。

「これをどうしろと!」

 いつまでも耐えられるものではない、どうすればいいのか聞くしか選択肢が思い浮かばない。

「あなたの中にある“力”の声を聞くのです」

 耳を塞いでいるのに、何故か神官の声ははっきりと聞こえた。

 何となく目を閉じてみる。すると不思議なことにあれだけ大音響の中、静かさを感じることが出来た。確かに聞こえた自分の中にある“力”の声が。

 目を開くと、少し青みがかった髪がうねり、濃い青色になる。

 声が出た。叫びとも受け取れる大きな声が響き渡り、石像たちが奏でる大音響を打ち消す。

 大音響が打ち消されると、演奏していた石像は動きを止めた。

 微動だもしない、まるでただの石像そのもの。今、ここに来る人がいれば石像が動いて演奏したと言ったところで冗談としか受け取らないであろう。

「よく出来ました」

 褒められ、ほっとダイアナは肩の力を抜く。

 でも、まだスタートラインを走り出したばかり。“力”を完璧に使いこなせるようになるまで、まだまだ走り続けなくてはならない。



 エリスが気が付くと、真っ暗な明かり一つない空間に立っていた。一緒にいたダイアナとケイシー、スペリオルになった生徒たちの姿が見えない。

 自分がこの空間に来たように、他のみんなは別の空間に言ったのだろうと、エリスは推察。

 これだけ暗いと、東西南北どころかどこからが上で下かも怪しい。全くなんにもないが過言ではない空間。

「エリスー・リーン様、あなたには私が教えます」

 御子がそこに立っていた。どうやら、御子自らが教えてくれる様子。宇宙の女神と融合したエリスを教えるのは御子が相応しいのかも。

「こんな全くなんにもないところで、僕は何をすればいいの?」

 当然の疑問。

「この空間に光を造ってもらいます」

「えっ」

 疑問に答えてくれたが、思わず聞き返してしまう。

「この空間に光を造るのがあなた様の特訓です」

 聴き間違えではなかった。本当にこのなんにもない空間に光を造るのが特訓なのだ。

 とりあえず光れと念じてみるが、何も起こらない。今度は強く念じてみても、暗い空間は暗いまま。

「あなたの中にある“力”宇宙を感じ取ってください」

 言われた通りに自分の中にある“力”宇宙を感じ取ろうとしたが、これも感じ取ることができない。

 精神を集中させようと、目を閉じても感じることができない。宇宙の女神と融合した時は宇宙そのものになるような、宇宙と一体化ような感じがしたのに。

「エリス殿は性別が変わったことで自分の体に違和感を持ってしまっていのではないでしょうか。自分の体を受け入れるのです、自分自身として」

 言われて納得する。女の子になってしまった体をどこか自分の体ではないと思っていた。

 御子の言う通り、受け入れる。ダイアナが言ったように性別が変わっても自分自身の体であることは変わらないのだから。

 吹っ切れた途端、気持ちが楽になった。再び自分の中にある“力”宇宙を感じ取ろうと精神を集中させる。

 すると、どうだろう。先ほどは感じなかった“力”を宇宙を感じることができた。

『これが僕の体、僕の“力”なんだ』

 今はそう思うことができる。

『光を』

 心の中で念じる。

 すると、何にも無かった真っ暗な空間に光が灯った。一か所だけではない、全体に。

 真っ暗のはどこへやら、今や隅々まで光り輝いている。それも暖かな心地いい明るさ。

「成功なさいましたね、おめでとうございます」

 褒められることは前世の年齢を加算しても嬉しいことではあるが、

「でも、第一歩なんだよね」

 まだ“力”の使い方のきっかけを掴んだに過ぎない。

「その通りですが、その一歩をすぐに踏み出せない者もいるのですよ」

 第一歩でも、強い第一歩。






 スペリオルになった生徒たちの特訓。

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