第二十六章 融合
儀式後の話。
神殿の出口へ向かうエリス。二人の神官は跪いていた理由を教えてくれず、御子様に聞いてくれと言っただけ。
女の子になった姿を見たら、ダイアナとケイシーはどんな反応をするのだろうか? かといって、いつまでも神殿の中に居座ることは出来ない。神殿に入る時以上に不安を抱えながら外へ出る。
エリスの姿を見て、騒然となる生徒たち。スペリオルになることで体に変化が起こることがあるのは学校で学んで知ってはいたが、性別が変わるなんて前代未聞の出来事。
でもエリスは元から可愛い容姿をしていたので、女の子になったことでとびっきりの美少女になっていた。
騒然となる生徒たちは、これはこれでいいかと受け入れてしまう。
ダイアナとケイシーの姿が見えない、どこにいるか見回してみると、ローズモンドと御子の前で二人が倒れていた。
「何があったんですか!」
慌てて駆け寄る。
「心配する必要はありません。神気に充てられて気を失っただけです」
と教えてくれた御子もほんの少し興奮している様子。
御子の様子も神気と言う言葉にも気になったが、ダイアナとケイシーは心配ないということがエリスには一番嬉しかった。
何でもエリスの中に“何か”が入ってきた途端、神殿の方を見て気を失ったとのこと。
二人が無事だと解ると、
「あの、僕は“何”と融合したんでしょうか、神官も教えてくれなくて。それにどうして僕は女の子になってしまったんですか」
本来ならスペリオルになれば神官が儀式後に何と融合したか教えてくれるのに、何も言わすに膝まづくだけ。
神官に言われた通り、御子に尋ねる。この人なら教えてくれるはず。
「エリス・リーン、あなたと融合なさったのは宇宙の女神様です」
御子がエリスの前に膝まづく。
「今、ここに宇宙の女神様が降臨なされた」
一瞬、あまりのことに言葉が出てこなかった。女神と融合したから、女の子になったのかとのん気なことも考えたりもした。でも、すぐにそんな事態ではないことを悟り。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
思わず声を上げてしまう。
精霊と融合することでスペリオルとなる。エリスは精霊を超える宇宙の女神と融合した。ぶっちゃけスペリオルの上位存在。
どうりで神官が膝まづくわけである。
「そんなバカなことがありえるものか! 私がスペリオルになれないはずがない、ヒューマンがスペリオルになれるわけがない! ましてや貴様ごときが宇宙の女神に選ばれることなど、起こりえるはずはない!」
目を血走らせてフィリップは今にもエリスに掴みかかりそうな勢い、いや本当に掴みかかろうとした。
いつの間にか背後に立っていた神官にフィリップは拘束され、どこかへ連れて行かれる。
考えてみれば宇宙の女神は神官たちの信仰対象。フィリップの行いは信仰対象の侮辱行為に当たる、連行されるのも無理はなし。
神官が神聖な場所を汚すようなことはしないだろうから、物騒なことにはならないとみんなは判断した。
意識を取り戻したダイアナとケイシーは女の子になったエリスを見て仰天、再び気絶することはなかったものの、しばらくは金縛り状態。
やっと金縛りが解けたダイアナとケイシーは本当にエリスが女の子になったのか、改めて確認。
「ほ、本当に女の子になっちゃってる!」
「胸が膨らんでいる、元からぷりぷりだったお尻がさらにぷりぷりに~」
エリスの胸や尻を触りまくる。どうやらケイシーは錯乱しているようだ。
「何触っているの!」
錯乱するケイシーをダイアナは鉄拳でぶっ飛ばす、エリスが動くより早くに。
「……ごめん」
起き上がり、正気を取り戻し謝る。見せかけではなく、心からの謝罪。
落ち着きを見せたダイアナとケイシーに、宇宙の女神と融合したことを話す。
「エリス、宇宙の女神と融合したの」
「本当に、本気で」
案の定、びっくりするダイアナとケイシー。でも二人ともエリスがこんな嘘を吐かないのは重々承知。
宇宙の女神と融合したこと、エリスが女の子になったことも現実。何せ、目の前で現実が突きつけられているのだから。なら方法は一つ、受け入れるしかない。
「ちよっと変わちまったが、気にすることじゃないな。まぁ、ますます可愛く色っぽくなっただけだし」
そう言ってケイシーは気軽な仕草でエリスの肩を叩く。タイタンと融合して力が強くなっているがエリスも宇宙の女神と融合しているので何ともなし。
「あのね、ケイシー。何かよこしまなこと考えていないでしょうね」
「別に考えてないよ」
ダイアナに詰め寄られたケイシーの目が泳いでいるように見えるのは気のせい?
「エリス・リーン様、ダイアナ・キブソン様、ケイシー・エイムズ様。御三方はこちらへ」
神官に案内され、エリスとダイアナとケイシーは神殿の奥へ。
奥に来た三人は別々の部屋へ、そこで体のチェックを受ける。チェックを受けるのはスペリオルになった生徒全員。
個室に通されたエリスは着替えるようにと、服を渡される。
「えっ?」
どっからどう見ても女性用。
「下着も女性ものだよね、まさかこれを着るの……」
恐る恐る聞いてみる。
「当然です、体は女の子なのですから。男物のまの下着では形が崩れてしまいます。エリス様は宇宙の女神様と融合なされた身。そのような御方の形が崩れてはならないのです」
有無言わせない押し、断るに断れない圧力。
「……解りました」
宇宙の女神は神官たちの信仰の対象、彼女の言い分は理解できる。それにこれからの生活を考えれば女性用の服を着るのも必要。
とは言え、体は女の子になったとはいえ心は男の子のまま。女性用の下着を着けるのは気恥ずかしい。
ここにダイアナとケイシーが居なくて本当に良かったと思う。あの二人には着替えるところを見られるのは嫌。
TSは最初から考えていたのですが、転生直後にTSするのではなく、しばらくたってからTSするのが良いかなと思い、儀式後にTSすることになりました。




