第二十四章 儀式星ヴァルミネ
軍学校卒業まじか。
卒業が近づいてくると、意識せざる得ないのは“処置”のこと。
多くの生徒は期待半分不安半分な気持ちで待っている。
そして、ついにやってくるその日が。
“処置”の前に行われる儀式、すなわち精霊に認められるためには特定の惑星に行かなくてはならない。
その惑星こそ、儀式星と呼ばれるヴァルミネ。
聖地と呼ばれる山の頂上に神殿があり、スペリオルを望む者はそこへ向かう。
神殿で精霊に認めてもらったものだけが、スペリオルになれるのだ。
ヴァルミネに宇宙船が着陸。空港の近くにはちゃんと宿泊施設もある。
宇宙船から、ゾロゾロ降りるエリスとダイアナとケイシーを始めとする生徒たち。
全員が儀式の希望者。最初から“処置”を望まない生徒やスチールやビーストを選ぶ生徒もいるが、やはりスペリオルになれるのなってみたいと思う生徒が一番多い。
従って一度に全員が聖地へ向かうことは出来ないので、班分けされる。
順番はくじ引きで決められ、聖地へ向かう以外の生徒はホテルで待機。
順番待ちの間は自由行動なので観光を楽しむ生徒も。
本人たちの希望が通り、エリスとダイアナとケイシーは同じ班。聖地へ向かう班分けは生徒たちの希望が通ることが多い。
精霊に選ばれるにしろ選ばれないにしろ、仲のいい者たちならサポートしあえる。
自分たちの番は明日。今日は街を散策することに。
「儀式を行うための星だって聞いていたから神聖なイメージを持っていたんだが、結構開けているんだな」
街の中をケイシーは見回す。
ヴァルミネには儀式に訪れる生徒だけではなく、巡礼や観光に来る人もいる。そんな人たち目当ての宿泊施設や土産物屋と娯楽施設などがある。
「ここは繁華街みたいなところだからね。でも山の方は聖地と呼ばれているだけあり、本当に神聖な場所みたいだよ」
ガード型スマホでヴァルミネを検索したエリス。ヴァルミネに行く前にも教師たちからも神聖な場所だから不謹慎な行動は取らないようにと注意を受けていた。
三人で街を散策。ラースにも繁華街があるがヴァルミネなりの特色もあり、それを楽しむことが出来る。
街の中にはエリスと同じ順番待ちの学生や観光客が散策していて、顔見知りの学生がいれば軽く挨拶。
「そうだ、伯父さんにお土産買わないと」
ポンとダイアナは手を叩く。
ダイアナの家族はエイリアンの襲撃で失われ、伯父に引き取られた。
エリスもケイシーも気を使ってお土産のことは言わないでおいたが、それを察してダイアナ自らお土産ことを持ち出す。
「うん、そうだね。お土産を買いに行こう」
「俺も一緒に行くぞ」
ダイアナの思いを受け入れ、エリスとケイシーは共にお土産を買いに行く。
お土産を買いにお店を回っていると、幾人もの生徒たちの姿が見受けられた。
楽しそうに雑談しながら、お土産を見て回っている。一見、地球の修学旅行生と変わらない。
しかし、楽しそうな表情の中にあるのは“処置”に対する期待と不安。
あえて楽しそうにすることで、“処置”に対する不安を払拭しようとしている。
それはエリスとダイアナとケイシーも同じ。
街を散策は楽しくて儀式に対する緊張感を和らげてくれた。
ホテルに戻りエリスとケイシーはダイアナと別れる。いくら幼馴染で仲が良くとも男の子と女の子。ホテルの部屋は別々。
名残惜しそうにダイアナはエリスの背中を見ている。儀式に参加する生徒の人数の関係でダイアナは二人部屋を一人で使っていた。つまり、あと一人泊まれる余裕がある。
たが学生の身では男女の同室は許されない。
泣く泣くあきらめ、自分の部屋へ向かう。
エレベーターで八階へ。
エリスとケイシーは同じ部屋。それぞれシャワーを浴びた後は夕食を済ます。
夕食後はベットに腰掛け就寝の時間まで何気ない雑談を交わし、十時ごろには就寝。
明日の儀式のことを考えると、中々ケイシーは眠れない。
ふと、横を見ればエリスはすやすやと寝息を立てていた。
『よく眠れるよな』
と最初こそそんな風に見ていたのだが……。
寝息を立てるエリスの寝顔があんまりにも可愛くてドキドキとしてくる。
『エリスは男なんだ!』
布団を頭から被り、
「皆様に宇宙の女神のご加護があらんことを皆様に宇宙の女神のご加護があらんことを皆様に宇宙の女神のご加護があらんことを皆様に宇宙の女神のご加護があらんことを皆様に宇宙の女神のご加護があらんことを』
必死に宇宙の女神への祈りの言葉を唱え続ける。
次回は聖地に向かいます。




