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宇宙(そら)の女神~転生先は異世界ではなく 異星でした~  作者: 三毛猫乃観魂


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第二十二章 最終試験

 文字通りの最終試験の話になります。

 実戦参加が終了、戦場に赴いた生徒たちが帰ってきた。

 誰一人として亡くなった生徒はおらず。いくら戦場とはいえ、生徒たちの生命を危険にすることは出来ない。

 戦闘に参加させても、それだけは守られていてた、多少の怪我をした生徒はいるが。

 プロの戦士もそれを第一に考えている。そして生徒たちがプロの戦士になった時、その役目を自分たちが果たす。

「本物の実戦? そんな物、天才の私にしてみれば大したものではないよ。この程度で怪我をするなど、恥を知るといい」

 戦士の気遣いを理解していないフィリップは無事に帰還したことを威張り散らし、怪我をした生徒を馬鹿にしていた。

 一方、エリスとダイアナとケイシーは理解していたので、そんな愚かな真似はしない。


 実戦参加において戦場に振れたことにより、恐怖を覚えしまい離脱する生徒が何人か出た。

 これは毎年のこと。ここまで来て辞めてしまうのはもったいないかもしれないが、恐怖に飲み込まれた状態で戦士になれば確実に戦場で死に至る。

 だが、それ以上にエイリアンに負けてなるものか、エイリアンからみんなを守るんだと意思を強くした生徒もいた。その中にエリスとダイアナとケイシーもいる。



 後日何気ない雑談の中、自慢するつもりはなかったがケイシーは話の流れでスペリオルに出会ったことを口にした。

「えっ、お前らスペリオルの戦闘を見たのかよ」

「いいな、俺も見たかったよ」

「さぞかし、かっこよかったんだろうな」

 話してしまったケイシーだけではなく、一緒に見たエリスとダイアナも羨望の眼差しを向けられる。

「それは良かったじゃないか、君たちには一生縁のないものだからね」

 呼ばれもしないのに、やってきたのは取り巻きを連れたフィリップ。

 露骨に嫌な奴が来たなといった顔になるケイシー。話を聞いていた生徒たちも同じような顔をしている、楽しく話を聞いていたのに水を差すなよと。

 エリスとダイアナも顔には出さなかったが、いい気分ではない。

「スペリオルを見たことが羨ましいのか」

 気分が悪いのでケイシーは言い返す。

「羨ましいだって? 馬鹿言っちゃいけないな、もうじき私はスペリオルになるのだから」

 取り巻きと共に笑い出す。ネタやジョークで言っているのではない、いつも通り本気で言っている。本気でフィリップは自分がスペリオルになると信じ切っていた、それも決定事項のように。

「エルフである私は全ておいて成功が約束されているのだよ、君たちのような劣等種ヒューマンと違ってね。せいぜい、地べたで這いつくばって見ているがいいさ、スペリオルになった私を」

 高笑いしながら、取り巻きと一緒に去っていく。

 去っていくフィリップと取り巻きの姿をエリスとダイアナとケイシーと雑談していた生徒たちも、不愉快溢れる視線を向けていた。


 最後の試練と言うべき、実地訓練を終えても軍学校の授業までもが終わるわけではない。最終試験の直前まで授業は続く。

 最後の試練を乗り越えたからといって、殆どの生徒は気を抜くことはない、そう殆どの生徒は。


「余った授業なんて無駄でしかないことは止めて、早く“処置”を受けさせてもらいものだ」

 授業中だろうが教師がエルフで無いと、フィリップは平気でこんなことを言う。それでいて成績がいいのだから、始末に悪い。

 教師の中には成績を理由に何も言わないのもいれば、注意する者もいる。もっともエルフ以外が何を言ったところで効果がないのだが。

 一方、エリスは気を抜くどころかより一層に授業を頑張る。あと僅かといえ、やれることやっておく。

 ダイアナもケイシーも気を抜かず授業に頑張を見せる。エリスに置いていかれるものかと。

 三人に触発された生徒たちも、思いっきり授業に勤しむ。フィリップを相手することよりも自分を磨くことを優先。


 こうして軍学校生活を過ごしていき、そして最終試験の日が訪れる。



 これまで通り、前半は筆記試験で後半は実技試験。

 最終試験だけあり出題される問題は最上級の難問ばかり、これまで頑張ったエリスは次々と問題を解いていく。


「ふん、最後の実技試験が疑似空間のバトルとは、私には簡単すぎますね」

 後半の実技試験に挑むフィリップ。対エイリアンライフルを手に持ち、疑似森の中を進む。疑似と言っても見た目は本物と変わらず、匂いも温度も疑似とは思えない。

 試験内容はこの森に潜む中型のエイリアンを倒すこと。エイリアンのタイプは不明。

 ガサッと木々が動く音がする。フィリップの動きは早い、木々の間から飛び出してきたのは見たことも無い毛むくじゃらの生物。

 動きを止めた毛むくじゃらの生物に、容赦なくフィリップは引き金を引く。

 正確に急所に撃ち込み、毛むくじゃらの生物を仕留める。

「こんなものが最終試験とは、いや私が天才すぎるだけなのか」

 トップ合格を確信して笑っているフィリップ。

「……」

 疑似空間の外でローズモンドは一言も話さずに、一部始終を見ていた。



 エリスも最後の実技試験に臨む。試験の内容はフィリップと同じ。

 対エイリアンライフルを持ち、周囲を警戒しながら木々の生い茂るフィールドを歩く。

 木々の揺れる音共に森の中から飛び出してきたのは毛むくじゃらの生物。

 すぐに対エイリアンライフルの銃口を向ける。しかし、何か様子がおかしい。

 これまで戦ってきたエイリアンは問答無用で襲い掛かて来たが、この毛むくじゃらの生物はこちらを見ている、確認するかのように。

「殺気どころか、敵意さえ感じない」

 こいつは敵じゃないエリスはそう判断、向けていた対エイリアンライフルを降ろす。

 途端、目の前の景色が歪んだと思うと消えて白いただ広い部屋に変わった。

「おめでとうエリス・リーン、最後の実技試験は合格だ。よく気が付いたな」

 いつの間にかローズモンドが部屋に入ってきていた。いや、最初からいたのだろう。

「本当の最後の実技試験の内容はエイリアンを倒すことでない、敵かどうか見極めることだ。戦場で出会う相手の全てが敵とは限らない、時には味方の可能性だってある」

 そう言いローズモンドはエリスの肩に手を置く。

「見事だ、エリス・リーン」

 これまでの厳しさとは違う、楽し気な笑顔を見せる。

 そんなローズモンドの笑顔見ていると、エリスも嬉しくなる。

「さぁ、行こうか」

 部屋を出ることを促される。まだ試験を受ける生徒はいるのだ。

 部屋を出ようとした時、

《良かった、私が教える必要が無かったね》

 いつもの“あの声”が聞こえてきた。思わず振り向いてみたが、やっぱり白いただ広い部屋に誰の姿も無い。

《もうすぐ、会えるからね》


 軍学校にて、エリスと共にやってきたダイアナとケイシー。2人の成長は伊達ではない。

 最後の実技試験の真意を見抜き、立派に合格を果たす。

 ここまで残った生徒たちだけあり、筆記試験では全員が合格ラインを突破。

 最後の実技試験において真意を読み取り合格した生徒もいれば、読み取れず毛むくじゃらの生物を撃ってしまい、合格できなかった生徒もいた。

 合格できなかったからと言って失格になることはないが、評価は大きく下がる。最終試験で評価が下がるのはかなり痛いが。



「何で私がこんな低い順位なんだ!」

 脳天を大爆発させるフィリップ。ここで髪の毛が逆立てば怒髪天を衝く体現状態。

 激怒超MAXのフィリップに、取り巻きたちも近づけないでいた。

 カード型スマホに配信された最終順位。本人は低いと言っているが、フィリップの順位は決して低いわけではない。上位ランクには入つてはいる、これまでの成績が良かった恩恵。

 ただ自分が一位でないことが許せない、ヒューマンに負けたことが許せない。

「私はただ敵を抹殺しただけだ、それのどこが悪い。ケダモノの分際でエルフである、この私の目の前に出たのが悪いのだ! 何故、教師共は理解しない! 理解できない!」

 最後の実技試験の真意を見抜けなかったことが評価を下げた原因なのだが、フィリップはそのことを理解していない、理解しようとしていない。

 激高のあまり、持っていたカード型スマホを壁に叩きつけるフィリップ。

 そんなフィリップを気にすることなく。

「ダイアナもケイシーもAクラス入りだよ」

 ただ単にエリスは二人を褒めた心算。

「何言ってんだよ、最終順位一位が」

 愛想よくケイシーはエリスの背中を叩く。

「おめでとう、エリス」

 我がことのように嬉しいダイアナ。

 最終順位はエリスは堂々の一位。ダイアナもケイシーもAクラス入りを果たす。

 これまで積み重ねてきた努力の結果。殆どの生徒はそのことが解っているので妬んだり嫉妬することはない、殆どの生徒は……。

「一体、どんな手を使って私から一位の座を奪った。答えろ、ヒューマン!」

 いきなりやって来るなり、激昂状態のフィリップは指を突きつけてくる。

「僕はやれることをやっただけだ」

 その通りのことをその通りにエリスは答える。無意識にダイアナを守る格好を取る、流石は男の子。

「そんなわけあるものか、あらゆる点で優れているエルフが劣等種のヒューマンなどに負けるわけがない! 私がお前風情に負けるわけがない、私が最終順位一位にならないはずはないんだ!」

 下手をすればエリスに襲い掛かりそうな様子。

 すっとケイシーがエリスを守るように前に出る。こちらも男の子。

「みっともない真似は止めて置けよ。お前、はっきり言って無様だよ」

 思いっきり言葉をぶつける。

 何かを言い返そうとしたところでフィリップは周りの視線に気が付く。まるでおかしなものを見るような視線。ヒューマンとドワーフたちだけではない、エルフの視線まである。

 その視線に耐えきれなくなったフィリップ。

「よく覚えておけ、私は必ずスペリオルになって見せる。最後に笑うのは、この私なんだ」

 捨て台詞を残し教室を飛びだす。

 取り巻きたちはどうしていいか解らずにおろおろしていたが、教室の生徒たちの視線に耐えきれなくなり、結局は後を追って教室から出て行った。

「ありがとう、ケイシー」

 追い払ってくれたことに純真な気持ちでお礼を言う。

「俺たち友達だからな」

 純真な瞳に見つめられ、ついケイシーは照れてしまう。







 最後の実技試験の内容はこのようなものになりました。

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