第二十章 宇宙戦艦
宇宙戦艦登場、エリスたちが搭乗します。
最初、エリスは前世のSFで見た宇宙戦艦のような内部を想像していたが、オーギュストの案内してくれた宇宙戦艦の内部は至って快適そうな構造をしていた。
「随分、快適そうな造りなんですね」
エリスの思ったことをダイアナが聞いてくれた。
「機械的な造りだと、乗組員たちを威圧しかねない。少しでも過ごしやすくしたいのでね」
確かに機械的な造りより、今の造りの方が過ごしやすそう。こんな造りにしたのもクルーたちのことを思ってからこそ。
時折すれ違う乗組員たちは艦長であるオーギュストだけではなく、エリカたち生徒にも挨拶してくれる。
戦艦の乗組員なのだから軍人なのに、気さくな感じがして親しみやすい。
この艦長にして、この乗組員。宇宙戦艦に入って間もないのにそのことがよく解った。
戦艦内を案内とはいっても、危険な場所や気密性の高い場所には流石に連れては入れない。それ以外の場所ならオーギュストは案内してくれたけれど。
「ここが艦橋だ」
案内の最後に連れてきてくれた艦橋。生徒たち一同は声を上げた。
アニメではよく見た宇宙戦艦の艦橋。アニメとは完全に一致ではないが、それでもいかにも宇宙戦艦と言った艦橋に、エリスはまたも中二心を疼かされる。
エリス以外の生徒たちも艦橋はそそられる場所。
艦橋では乗組員たちが出航前のチェック中。
エリスとダイアナとケイシー、ここに来ている生徒たちは軍学校の猛訓練をこの時期まで残った実力者。いくら興味を惹かれても艦橋に入り込んで動き回ったり触ったりして業務を妨害するような真似はしない。
そんな生徒たちを見て、オーギュストは満足そう。
「では君たちの部屋に案内しよう」
オーギュストは生徒たちが宿泊する部屋へ案内。
仲がいいと言う事で、ここでもエリスとケイシーは同室。ベットは二段ベッドになっている。
「俺が二段目でいいよな」
「いいよ」
一段目でも二段目でも、どちらでもかまわないので了承。
梯子を上るケイシー。
一段目のベットに荷物を置き、腰を下ろしてエリスは一息つく。
「いい部屋だな」
ベットに腰を掛けたケイシーは足をぶらぶらさせながら、部屋の中を見回す。
宇宙戦艦の船室と言っても、思いのほか住みやすい造り。地球で言うところの豪華客船に当たる豪華宇宙船程ても無いが本当にいい部屋で、これなら何日も泊まっても不満は出ないだろう。
ベットに寝っ転がるケイシー。
「戦艦のベットだから、堅いと思っていたのにふかふかだ」
ニコニコしていた顔が収まり、急に表情が引き締まる。
「俺たち、これから戦場に行くんだよな」
ケイシーの不安に気持ちが伝わってくる。
実地訓練の時、昆虫のタイプに遭遇したがあれは想定外の出来事。しかし、これからはエイリアンが生息していると解っている場所へ赴く。
「僕は無事に帰って来るよ、みんなと一緒に」
これは誓い、絶対に成し遂げるという誓い。
「そうだな、必ず帰って来ようぜ」
ケイシーも身を乗り出して手を伸ばし、エリスと握手を交わす。
その後、ダイアナもやってきて三人でカードゲームで遊んでいる。やっているのは地球で言うところの大富豪。
「おいおい、またエリスの勝ちかよ」
これで三連勝。
「まさか、あのカードを持っていたなんて」
「切り札として残しておいたんだよよ」
勝ち負けに関係なく、和気あいあいと楽しんでいると、
『これより、ノンオバ星系へ向けて出発する』
放送があり、宇宙戦艦が動き始める。
スムーズな動きで殆ど振動を感じさせていなくとも、飛び立っていることを全身で体感。
無意識のうち、カードゲームで楽しんでいた手が止まる、三人同時に。
これから向かう先は戦場、日常の倫理観の通用しない世界。
それが解っていてもここまで来た以上、エリスもダイアナもケイシーも引き返すつもりはない。
少し宇宙空間を進み。
『これから、ワープ航法に入ります』
ワープと言っても宇宙戦艦の性能が良いため、艦内では窓から星が見えなくなったぐらいで大した変化は無し。
いよいよ、戦場へ。




