第十四章 春休み
今回は軍学校の春休みの話になります。
競技祭の借りを返した後は春休み。
2年生最後の試験で一位になったからと言って驕ってはいけない、軍学校は後一年残っているのだ。エリスは勉強と特訓を欠かさない。
今日も空間に画面を浮かべ、知識を高め中。
ダイアナは家に尋ねに来たものの、頑張っているエリスの邪魔はしてはいけないと何も言わずに帰ろうとした。その背中は寂しさ物語っている。
そんな二人を見ていたアランはため息一つ、
「エリス、春休みなのだから今日ぐらいは遊びに行くといい。ダイアナも来ているからな」
ここで初めてダイアナが来ていることに気が付く。
「ダイアナ、来ていたんだね」
空間に浮かんだ画面を閉じる。
「たまには息抜きに、二人で町へ行くといい」
そう言ってアランはエリスにお小遣いを渡す。
父親の言うことも最もだなと思い、お小遣いを受け取り、
「それじゃ行こうか、ダイアナ」
エリスはダイアナの前へ。
アランの気遣いが嬉しい。ふとダイアナがアランの後ろを見ると、シャーロットが立っていた。笑顔のシャーロット、その笑顔がしっかりやるのよと主張している。
「どうしたの、ダイアナ」
赤くなってしまったら自分の気持ちを悟られてしまい、ますます赤くなってしまうので堪えて見せる。
ダイアナも日々成長しているのだ。
完全自動操縦の車の後部座席に乗ったエリスとダイアナ。
エリスの隣に座っていることでダイアナは幸せ気分を満喫中。
車はレジャーランドの駐車場で止まる。エリスとダイアナが降りると自動で鍵がかかった。解除するにはエリスの親指の指紋を認識させればいい。ちなみに指紋認識出来るのはアランとシャーロットと使用人の一部。
「今日は目一杯遊びましょうね、エリス」
「うん、そうだね、ダイアナ」
もうウキウキでダイアナは空も飛べそうな勢い。
寄り添ってレジャーランドに向かうエリスとダイアナを車の中から怪しい男たち六人が様子を伺っていた。
エリスとダイアナを確認した怪しい男たちは車から降り、跡を着ける。
「わぁー」
レジャーランドに入るなり、ダイアナは声を上げた。
見渡す限り、見ているだけでも楽しくなるアトラクションが立ち並ぶ。
よく見なくても多くの人が楽しんでいる。春休みシーズンなので親子連れやカップルの姿が見受けられた。
カップルの姿を見たダイアナのハートがトクンと鳴る。このレジャーランドでエリスとの仲が進めばいいなと思いが芽生える。
絶叫マシンやお化け屋敷のような地球にもあるような施設や無重力状態を体験できる地球にはない施設がある。
「どこから行こうか」
こんなにあるなら迷う。
「あれがいい」
ダイアナが指さしたのはお化け屋敷、地球でも定番中の定番のデートスポット。ダイアナがお化け屋敷が指定したのは計画があるから。
時期が時期なので結構並んでおり、しばし待たされる。
ただダイアナにとってエリスと一緒なら、待ち時間も楽しい。
小一時間程並んでお化け屋敷の中へ。薄暗く、おどろおどろしい雰囲気は地球のお化け屋敷と一緒。
微かな明かりを頼りにエリスとダイアナは道を進む。時々、女性の悲鳴が聞こえてくる。耳を澄ましてみれば男性の声も。
突然、天井や壁からグロテクな怪物が出てくる。不意打ちにドキリとさせられたが本物のエイリアンと戦って勝利を収めたことのあるエリス、驚きは持続せず。
グロテクな怪物は精巧に作られたロボット。来客に反応、心拍数や呼吸数を察知して計算して脅かし方を変えるので素人にしてみればリアルで怖い。
今がチャンス!
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ」
悲鳴を上げ、ダイアナはエリスの体に抱き付く。
えっこんなので驚くと思いながらも、ダイアナも女の子なんだなとしっかりと支えてあげるエリス。
エリスに支えてもらいながら、うまく行ったと内心にんまり。
いろんなアトラクションを回っていく中、エリスとの仲が深まる気がしてダイアナは絶頂な幸せを感じていた。
「そろそろ、お昼にしようか」
エリスもダイアナが楽しそうにしているのが嬉しい。
誰でも無料で乗れる自動操縦のカート乗り、エリスとダイアナは屋台の立ち並ぶエリアへ。
美味しい料理を味わい中のエリスとダイアナ。
「なんか、めんどくさいのがいるみたいね、エリス」
「そうみたいだね」
物陰に隠れていても嫌な気配までは隠していない。一般人なら気が付かないかもしけないが、
軍学校で鍛えてきたエリスとダイアナにはバレバレ。
紙ナプキンで口を拭いて立ち上がるダイアナ、エリスも立ち上がる。
ここでは他の客に迷惑がかかる、エリスとダイアナはさり気なさを装い歩き出す。
思った通り、物陰に隠れていた怪しい男たち六人が跡を着けてくる。
食べ終えた容器は、ちゃんとゴミ箱に捨てていく。
人気の無いエリアに来たところで、
「態々、人のいないところに来るなんて俺たちラッキーだな」
「二人っきりでしけこむつもりだったのか」
「こんなガキ二人、痛めつけるだけで大金が貰えるなんて、楽な仕事だぜ」
「女の方は痛めつけた後で楽しんでもいいんだよな」
「男の方もこれだけ可愛いなら、楽しめるぜ」
誘い込まれたなんて露程も気が付かず、下品な笑い声を上げる六人。
「本当にこんなガキどうか試してみなよ」
あえてエリスは挑発。
「生意気なガキがぁ」
顔を真っ赤にして襲い掛かってきた怪しい男の懐に飛び込み、掌打を食らわせる。
倒れる怪しい男を見た同類、
「何しやがった!」
怒鳴ながら殴り掛かってきた腕を躱し、顎に掌打を叩き込み気絶させる。
「テメー!」
テンプレ丸出しで一斉に向かってくる怪しい男たちをことごとくノックアウト。
どんなにガタイが良くても所詮はゴロツキ、今まで弱い相手としか喧嘩したことがない程度の輩。
それに対してエリスはまだ少年でも軍学校の過酷すぎる訓練を潜り抜けてきた猛者中の猛者、おまけに前世で培った拳法もある。
ゴロツキなど雑魚以外の何者でもない。
残った一人は鞘から抜くと刃が過熱して焼き切ることの出来るナイフを取り出し、これもテンプレ通りにダイアナを人質に取ろうとした。
だがダイアナも軍学校で優秀な成績を出している生徒、ヒョイと加熱ナイフを躱して手首を掴み投げ飛ばし、
『よくもデートを邪魔してくれたわね』
デートを邪魔された恨みごとをゴロツキに地面に叩きつける。
事態を察し、まずは警備ロボが駆けつけてきて後に警備員も来た。
エリスとダイアナに叩きのめされた怪しい男たち六人は警備員に連行され、事情聴取。
一人がそっぽを向いて黙秘しようとしたら、警備ロボに電撃を浴びせられ悶絶。目の当たりした残りの怪しい男たちは、
「俺は雇われただけで」
「簡単に稼げると」
「暴力事は得意だったから
「サイトで募集していたんだ」
あっさりと話す。
警備員はカード型スマホを受け取り、調べてみればエリスとダイアナを痛めつければ大金を払うと募集していた。
連行されていく怪しい男たち六人。情報の載ったカード型スマホも押収。この後はサイトを辿り、依頼主を探りだす。
エリスとダイアナも聴取を受けたが、一応被害者側なので軽くで済む。
エリスがリーン家のご子息と言う事が影響した可能性も。
メインはエリスとダイアナのデートの話になるのかな。




