始まり1 〜屋上〜
一話から〜♪話がつっかめ〜ない♪
私の居場所はあなたの居場所。
ここは私たちの居場所。
もういやだ。
そう思うと涙が出てきそうになってどうしようもなかった。
何も考えないで、ただひたすら階段を駆け上がる。
授業中に抜け出して、教室を避けるように廊下を進むと必ずこの階段にたどり着く。
屋上へと続く階段。
私がここに来たのは、中学1年の後半のときだった。
クラスにも学校にも教師にも嫌気がさしたとき、
なんとなく授業をさぼって廊下を歩いていて見つけた場所。
それから3年のいままでに、何回ここに来たんだろう。
うちの学校は、屋上禁止になっていた。
でもここはあいている。
他の生徒は来ないけど、私の居場所。
大好きな場所だった。
階段を上がり終えると私は乱れた息を整えて、
階段を見る。
誰も追いかけてくる気配はない。
そっと扉を上げた。
屋上へでると、心地よい風が髪に当たる。
そこをすすんで裏へ回っていくと、私しか知らない穴場がある。
日陰だし、風のちょうどいい。
私はここでタバコを吸うんだ。
いつも、こうやって。
箱から一本取り出すと可愛いライターで火をつける。
そうすると自然とココロがおちついた。
これが私の場所。
今日はそこに、先客がいた。
可愛い顔を真っ赤にしてタオルで顔を隠してる同じ学年の女の子。
私のこの子を知っている。
「金作・・・・?」
「天宮さん?」
「あっやっぱ。どうしたの?うちら同じ体育じゃね?」
「・・・・・・それが・・・」
「あ〜・・・ブッチ?」
「ブッチ?」
「ばっくれたって事」
「ああ・・・そう・・・うん。」
私はそこ場から出て行こうとした。
泣いてたみたいだし、1人にした方がいいかなって・・
でもそうすると私は行く場所がない。
っていうか、私の場所だし(学校のだけど)
私が退く意味なくね?
そうおもってその場にとどまった。
「ぐす・・今何時?」
「さぼるんだったら時計ぐらい用意しろよ〜。」
「・・・今日初めてだったから・・」
「あ〜・・・20分。」
授業終了は40分、あと20分ある。
私は、ポケットから携帯を取り出してイヤホンをはめると操作を始めた。
曲をつける。
「私は曲聴いてるからかまわないで続けて。」
かまわないで泣いてて良いよ。そんなことを遠まわしに言う。
でも人が来ちゃったら堂々と泣けないよね〜・・・・
なんて思ってたらその子、金作由紀は静かに泣き出した。
なくんかい!なんて思ってると、なんとなくその子の泣いている理由が気になった。
イヤホンをとめて金作の方を向く。
「2組だよね?なんかあったの?」
「え?」
「まぁ言いたくないんだったらいいんだけど。」
「いや・・ただ・・・」
「うん。」
「岩崎がうざいだけ。」
岩崎っていうのは背の小さい女の子。
初めてぶりっ子の部類にいたんだけどその後学校で嫌われて
不良みたいになってる、
でも背も小さいし顔にも迫力がなくて(私もないけどね)
どうしても粋がってるようにしか見えない。
昔そんな岩崎がうざくて
「お前あんまり調子こいてると、殺すよ?」
ってカッター向けたことがあった。
岩崎はすごい怖がってた。
ほらやっぱり粋がってるだけじゃん。
そう思った。
でもこの子、金作は、岩崎に負けちゃうぐらい弱い子なんだな〜・・・
そんなことを話していたら授業終了5分前。
そろそろ下に下りないとやばいと、金作をつれて階段を下りた。
クラスは隣なんだけど。
怪しまれないようにお互いに逆方向にすすんでいく。
別れ際に彼女が私に手を振ったのが見えた。
この20分間が、私にとって大切な時間の序章だったことをこのときの私は知らなくて、
きっと彼女も全然予想はしてなくて、
でも私たちはこのとき確実に、近づいていた。
それを知るのはずっとずっとあとの事。
大切で、悲しくて、暖かい。
そうして僕らの時間が始まって。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
2話もお楽しみにしないでください!