4.幼馴染との試合 1
次の日、俺の家のドアをドンドンと叩く音で目が覚めた
「はーい、今行くから、ドンドン叩くなぁ!」
しつこく、ドアを叩かれ
大好きな睡眠を邪魔された、俺は少し怒り気味でドアを開けた
「遅い!もうお昼前よ?何してたの?」
ドアを開けたら、睨みをきかせたノエルが足をパタパタさせながら、聴いてきた
「え、寝てた?てか、今日なにかある日だっけか?」
「忘れてんじゃないわよ!あのスキルを授かる前の日に、アンタが決めたことじゃない!」
「あの前の日にかぁ?何だっけ…」
やばい、なにも思い出せない…あの時はスキル1個しか受け取れないというショックで全てを忘れてしまったようだ…
「模擬戦よ!模擬戦!ほら、早く用意しなさい、ロイスはもう待ってるわよ」
思い出した、新しいスキルを試そうって模擬戦の約束をしていたんだった
「悪ぃ、すぐ用意するから先に言っててくれ」
「分かればいいのよ、じゃ先に行くから早めに来るのよ?」
笑いかけてくるのだが、ものすごく優しさを感じない笑顔だった
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あれから、数分で用意したアークは、村の外側にある
平原で2人を見かけた
(エメは無視してきたが…まぁ、大丈夫だろう。
どのみち、勝手に来そうだし…)
「悪ぃ!すっかり忘れちまってた、ははは」
笑って許されるかと思ったが、ノエルの凄まじい睨みで、背筋が凍ってしまった。
「まぁまぁ、忘れてたとはいえ、来たんだから、結果オーライだよ?ノエル許してあげなよ、アークは頭がおじいちゃんなんだから」
「おい」
失礼な…俺はまだボケてねぇぞ、ただあの…バカ鳥とスキルのせいだ
「そうね、仕方ないわね、じゃぁ模擬戦を始めるけど、遅れてきたアークはシードね」
「わかった、俺はだまって2人の試合をみとくよ」
「よろしい、じゃ、ロイスやるわよ」
「OK」
正直、俺がシードにされても、今のスキル持ちの2人にはかなわないと思うんだが、事前に2人の行動が見れるってのはいいと思うし…まぁ頑張るか…。
「それでは、ノエル対ロイスの試合を始めます」
ロイスは右手に剣を左手に盾を持ち、ノエルは剣を構え、睨み合っていた
「始め!」
「はぁ!」
俺が初めといった直後、ノエルはダッシュをして、ロイスに迫っていった
ロイスはノエルの攻撃を分かっていたのか、右から迫ってくる剣を払い落とし、左手の盾で殴りかかった
ノエルも深追いをせず後方に下がる
「ねぇ、ロイス?盾なんか捨てて切り合わない?」
「やだなぁ、ノエル、僕は盾を持たないとスキルが発動しないんだよ?」
そう言って、ノエルは盾を持っている方の手を必要に狙っているようだ
元々、ノエルはスピードタイプで、あの時のスキルをもらってから、パワーよりも手数って感じの戦いをしている
ロイスは、スキルを貰う前までは、片刃の剣で相手の攻撃をいなしたりしていたが『剣盾術』を貰ってから、盾を装備したようだ、中々様になってる…このイケメンが!
試合は平行線のようだ、ノエルは手数で押しているが、ロイスも盾と剣で上手く躱したり、払い除けたりしている
「ねぇ、ホントに!盾なんか捨ててかかってきなさいよ!」
「嫌だね、負けるのが目に見えてるからね」
「ホントにいいのね?後悔しても遅いんだから」
と、ノエルはロイスに向かって、初めにしたようにダッシュを仕掛けていた
「その攻撃は読めている、ノエル?」
「じゃぁ、これはどうかしら」
そう言って、ノエルはあろうことか、剣をロイス目掛けてぶん投げた
「まじかよ…」
ロイスは慌てて左手の盾で顔を守り、視界を遮った瞬間、もう勝ちは決まっていた
いつの間にかロイスの後ろに迫っており腰に忍ばせていた短剣をロイスの首元にあてがっていた
「私の勝ちね、ロイス?チェックメイトって奴よ」
「降参だ…」
「勝負あり!勝者ノエル!」
「なぁ、ノエル?なんで剣を投げたんだ?」
「えぇ、それはね」
どうやら、ノエルはまともにやり合っても、堅いロイスは崩せないと、じゃぁ初見殺しの技でどうにかしようとして、剣をぶん投げて、スキルの『神速』を使ったらしい…こいつパワータイプの方が性に合ってるだろう
「まぁ、次は使えない手ね、多分次やり合うと負けるわね
それに、ロイスのスキルもまだ見てないしね」
「ノエル、僕はスキルを使っていたよ、左手にね?」
「あー、なるほどね、いつまでも盾を落とさないのはそのせいね」
ロイスもスキルの『硬化』を自分の左手にかけて、盾を落とさないようにしてたらしい…なるほど、そんな使い方もあるのか…。
「さ、次はアークね!かかってきなさい?」
そう、ノエルは蠱惑的な笑みで、戦いに誘ってくるのだった
脳筋