第31話 日直、お疲れ様でした
(『えー、二人もとそっちの方向なのー!? じゃあ、ここでさよならか~。ばいばーい!』……って、学校出たらすぐに笠井さん去っていった……。まるで、嵐のような人だな……)
「高嶺さん、僕が日直に当たっちゃったせいで……ごめんなさい。手伝ってくれてありがとうございました」
「い、いえ……私が一緒に帰りたかっただけで……な、何でもありません!
そ、それよりも、一日、お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「と、ところで、私、何か変なところはなかったですか!?」
「変なところ……?」
「はい……その、思井くんが笠井さんと楽しそうに話していた時とか、笠井さんが思井くんに馴れ馴れしく触れていた時とか……」
「あ、あー――」
(確かに、あの時の高嶺さんはなんだか怒っていたような? 気がする……。
……え、何々、あれもヤキモチ!? ヤキモチだって言うんですか!?)
「……う、うん、全然大丈夫でしたよ?」
「なんですか、今の間は? やっぱり、変だと思ったんですね!? 笠井さんの前だから出来るだけ、いつものようにしてようと思ったんです。……でも、笠井さんが思井くんと楽しそうに話しているのを見て……わ、私も話したいって思ったんです!
……でも、笠井さんの前だからとか、気にするようなことじゃないのに……結局、私は会話を中断させる邪魔しか出来ませんでした……」
(まぁ、確かに……彼氏が目の前で彼女じゃない女の子と楽しそうに話してるのなんか見たくないよな……少なくとも、僕は高嶺さんが他の男と楽しげに話してるのを見たら泣く……というか、自殺にはしるかもしれない……。
……僕みたいなデブボッチが何調子こいてんだって話だけど……)
「ごめんなさい、高嶺さん。僕、高嶺さんの気持ちも考えないで……でも、僕は笠井さんより高嶺さんとのこういう時間の方が楽しくて好きです」
「~~~っ、ほ、本当ですか……?」
「本当です!」
「……私も思井くんとこうしている時間が好き、です……!」
(た、高嶺さん……! ありがとうございます!)
「あ、でも、ひとつだけ気になっていることがあって……高嶺さん、共同作業って……」
「……っ、あ、あれは、忘れてください! せっかく、思井くんと一緒に作業してるのに、思井くんに触る笠井さんが邪魔だ……とか、そういうんじゃないんです! 決して、そう思った訳じゃないんです!」
(……高嶺さん、全部口にしちゃってます……。高嶺さん、やっぱり、盛大に恥ずかしがってるけど、僕も耳が熱いです……!)
「ぅぅぅ、なんで、あんなこと口走っちゃったんでしょう……? あの場は、冷静さを保つため全神経を顔に集中させてました。けど、本当は逃げ出したいほど恥ずかしかったんです。とりあえず、笠井さんの記憶をどうにかしないとってことしか頭にありませんでした……」
(その言い方は少し怖いですよ! でも、冷たい表情で笠井さんを脅すだけっていうやり方が高嶺さんらしくて良いと思います!)
「あれだけ、頑張ってお願いしたんですから笠井さんは忘れてくれますよね? というか、彼女、推測ですけど、お馬鹿っぽいので明日には忘れていますよね?」
(あれは脅しじゃなくてお願いだったのか……)
「だ、大丈夫ですよ!」
「で、ですよね。だから、思井くんも忘れてください、ね?」
(……高嶺さん、それは、脅しですか? でも、ごめんなさい。可愛すぎる高嶺さんがいけないので僕、忘れません)




