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懐かしいだけで書いた

かみたまとの日記(日記形式)

作者: うたの

懐かしーなーとか、何これ?とか興味を引いたものをなんとなく書いてます。四コマ漫画イメージでわかる人向けのネタなので、そうでなければ回れ右で、どうぞ。


それはまだ私が神様の存在を信じなかった頃、駅へ向かうバス停で黒くて丸い何かが、停留所の名前を示すプレートの上に立っているのを見つけた。

薄汚れたそれは、いつもいつもバスが来るのを眺めている。

私はそれが気になったが、ずっと気づかないふりをしていた。

他の人には見えていない。それが面倒毎に巻き込まれるということとイコールだからである。

おそらく普通の人の目にはその丸は黒いストラップにでも見えていると思う。

そんな玉を最初に見たのが、15の時である。


終わりというのは唐突に訪れるもので、ある時、その黒い玉が振り向いた。目が合う、事はない。そもそも彼?に顔は無かったのだ。じっとこちらを見つめて、ふいとまたバスが来る方を目をやる。

そうした日々が続いた。


何度も何度も彼?を眺めるうちに、私は一つの疑問を覚える。

いつからそれは待っているのだろう。

彼は何を待っているのだろう、と。

その疑問はだんだん私の中で大きくなり、遂には彼に聞いてしまう。

「あなたは誰を待っているのですか?」

話しかけられるとは思わなかったのだろう。ぴょん、と跳ねて、くるっと、こちらを向いた。

「私に話しかけてくるとは思わなかった」

「初めに見たときから、いつもいつもバスの来る方を眺めていてもうかなりの時が経ちました」

私が大人になるほどに。彼女も年を取り、もう24である。今年から都内の企業で働いている。

「誰がではなく、何かを待っていたのです。ここは昔から人の往来が激しいところ、そこで起こるかもしれない何かを」

(あ、地雷踏んだ)

「そうですか。捜し物が見つかるといいですね」

話を切り上げて、帰ろうとした私の前方に回り込んで、

「ここまで聞いたんだ、話を聞け、同士よ」

彼ではなく彼女だったらしい。

話を聞く選択肢しか残されてなかった。


愚痴を言ったりしているうちに何はともなく親近感が湧いてくる。二人とも外面のガワを脱いで本来の口調に戻って話をし始めた。なかなかかわいい黒玉である。お得なことに、この丸は妙に触り心地がいい。パンチングマシンの代わりに殴っても特に問題ないようだ。クッションの代わりにでもと不遜な考えをしたが、本人は全く意に介していない。

「良ければうちに来る?」

人間ならば問題あるが、クッションなら特に問題ない、と思う。

本人は通いでバス停に行ければいいらしい。

こうして黒玉と私の同居が始まるのだった。


「うーん。名前がないのは呼びにくいね」

「もうちょっと敬え、私は神なのだから」

黒玉が抗議する。まぁ、クッションとして連れてきたのだから、モノ扱いされても仕方ないとも言えた。

「神様なの!?じゃ「かみたま」で」

「三秒も考えてないな」

「クッション丸とかでもいいのよ?」

「かみたまでいい。そう読んでくれ」

「あと、顔がないと不便。どっち向いてるか分からない」

「目なら出せるぞ」

「じゃ、それで」

むんずと捕まえ、横抱きにして、私は風呂場にかみたまを運ぶ。薄汚れた彼女を洗うつもりだ。

「そもそも神様なんだから汚れないものじゃないの?」

「日本神話の神は穢れは自動的に落ちないぞ」

「そうなの。じゃ、洗い甲斐があるね」

キラリと光る彼女の目は捕食者のそれだった。


洗濯されたかみたまの、本来の色は茶色であった。杉玉に目玉がくっついているようなもので、なかなか愛らしい。機嫌が良いと、毛並みが柔らかくなりモフモフに。悪いと、刺さるくらいに固くなるらしい。

ドライヤーで体を乾かしていると、フワフワである。

調子に乗ってバレーのようにポンポン打ち上げてみたら、腕に刺さって涙目になった。おのれ毛玉の分際で。



ある日のこと001

羽箒のようにもつかえる!とか考えていたら、彼女が良いものを見せてやると背中を指し示す。乗れということか。

お尻に刺さったら嫌だなぁ、と思いつつも私の体重を柔らかく受け止める。安定感抜群で、気分はファンタジー世界の龍に乗ったよう。無重力がと思うくらいになめらかな垂直移動をすると、夜の空に向かって飛び出していく。

「キレイだねー」

上に広がる星座輝く空、星星がよく見える。遠くに見えるは都会の強い光。

スピードを速め、彼女はまっすぐ雲へと突っ込んでいく。

「ちょっw」

もくもくと大きな雲を突っ切りながら、右へ左へ雷が激しく降る中を猛スピードで進んでいく。

ひとしきり飛んだ後で、家に帰ってきた二人は風呂に入る。

「かみたま、何であんなところに行ったの?」

「お約束かと思って……」

風呂から出ると彼女は私のアニメDVDを指し示し、満足げに言った。

「スリルとサスペンス」

「○の巣かいっ」



002

空を飛べるならば、低空飛行もお手の物。

そう考えた私は、彼女にそれを頼んでみたら、出来るとのこと。なんというか未来に出来ると考えた。タイヤがない車のようである。公道を走りたかったが、流石にまずい。

「どうにかならないの?」

彼女がニヤリと笑うとモコモコの中からナンバープレートを取り出した。パトライトも一緒にである。

なんか、埼○県警とかいうタスキまで持ち出してくる。

宮○アニメの影響を受け過ぎである。

ちなみに、本物らしい。

方法を尋ねると、世の中コネだよ。という身も蓋もない答えが帰ってきた。

いつか、ル○バ代わりに使ってぎゃふんと言わせてやる。

ぐぬぬぬぬ。



003

金曜日になると、空を飛びたくなるかみたまにも困ったものであるが、揚げ物をする私も大概である。父の影響を受けすぎたか。

いつもどおり夜の空を飛んでると、ある場所でぽん、と空に放り出された。

「おーちーるー」

と叫ぶ私の横で彼女は風呂敷状に変形する。

「ドッキング微調整」

なんのノリだこれ、と思いながら、かみたまの手?をつかむ。

ばさり、と風を孕んだ毛玉がゆっくりと空を滑空してゆく。

即席のパラシュートである。

「なにこれ、面白ーい」

語彙が貧弱ではあるが、そこは置いとこう。

くるくる回ったりしているうちに地上へと近づいた。

そこではた、と気付いた。

「かみたま、着地は?」

そのまま滑空してゆく。

321ぶつかると思った時、かみたまは垂直に上昇した。

かみたまは浮く事ができるのである。

ヘナヘナと崩れ落ちる私に彼女は言った。

「いいフライトだったぜ」



004

リアルスーパー○リオをしたくなったので考えてみたが、どうしても想像ができなかった。

沈む前に次の足を伸ばす、理屈は単純だが、身体はついていかない。子供の頃はできたのになぁ。と思ったが、どうもうちの環境が特殊だったっぽい。普通は出来ないらしい。田舎はできるんだ!と言ったら可愛そうな目で見られた。

本題から逸れたので、元に戻そう。

かみたまに相談したら、出来るらしい。私が水を出して、彼女が凍らせる。その上を歩くと良いそうだ。

やってみることにした。

つぃーっ、と滑るように進んでいく。調子に乗って大ジャンプしたら、後ろが見えてしまった。

渡るそばから、氷の床が落ちていってる!慌てて滑る私は最後まで走りきり、止まらずに壁に激突して倒れた。

かみたまが花火を鳴らしてくれている、意識が切れる瞬間に私は思ったのだ。

2のル○ージだったのかと。



005

風呂釜が壊れたので、自分で炊くことにした。

自分の手でお湯をピューっと出すだけの簡単作業。

風呂釜なんていらなかったんだ。

そう思った私が馬鹿でした。

最近のは温度調整も出来るけれど、そんな細かい作業が出来るはずもなく。

かみたまを風呂に入れて、耐えられなくなったら、入り頃。

でも、最近、我慢強くなったようで、ドボンと入ったら、熱くてギャー!

積年の恨みを思い知るがいい。

冷たい目をした彼女の目に水を掛けてやった。

ある意味似たもの同士。


お風呂用の温度計を買うことにした。



006

VRMMORPGというゲームがあるらしい。

田舎からの荷物にそれが入っていた。よく分からないのでほっぽっておいたら、かみたまが気に入ったようだ。でもゲームじゃなくてヘッドセット部分。装着感が良いそうな。なんのこっちゃ?

試しに私も付けてみたら、何これすごくフィットする。

なにか思い出しかけたけど、ダメだった。

思い出してはいけない、と本能が警告する。

考えるのをやめた。


その日、夢を見た。

私を中心に五人のかみたまがレーザーを発射している。

うちにあるのはRPGでシューティングではなかったような?

ボムを余らせたままピチュるかと思ったら、かみたまがまさかのパリィング。

無敵だー!と思ったら、前方だけなのと言われた。

そうね。後方からパリィ出来ないね。


朝起きたら、ヘッドセットがゲーム機につながっていた。

「よく分かるシューティング&VRMMO」

入っていたのは、組み合わせが最悪の洗脳DVD。

どこかの父の趣味に似ていたので電話すると、やはりそうだった。そして共犯は……。

ダムダムしてから、インテリアのゴールにダンクシュートした。

さわやかな朝の風景。



最初が長いですね……。

極小エピ版も考えてありますがこのまま行きました。


この形式があってるかなーと思います。

あとは三人称のほうがいろいろと楽。

気が向いたら続きを書きます。

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