表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+-の魔法使い~目標高く信念低く~  作者: こげ肉
第一章 迷宮の猫魔獣
11/18

痕跡と会話

18階層、端的に言ってここは異質だ。

何故ならボスエリア前に焚き火後などが散乱している、つまり人間の暮らしていた若しくは拠点として活動していた痕跡が残っているのだ。


ゴブリンという可能性も考えたが奴等の集落に焚き火は存在していなかった。肉も生で食べているんだろう、俺もそうだし。

そして俺には人間が存在している証拠に安心と不安の2つが募る。


勿論人間が居ることは嬉しい、だが今出会ったところで俺は魔物。

体は兎も角、この翼がある限り100%敵対されるであろう。


…いや待てよ、こんなにキュートな生物を殺すだろうか翼が有るとはいえ、況んや俺は猫さんだ。

そう考えると肩の荷が下りたな。

さて、気を取り直して探索と行きますか!


ーーーーーーーーーーーーーーーー

迷いました。

この階層滅茶苦茶に入り組んでいるんだよ。

人の痕跡を見つける度に爪痕を付けているからループしているってことは無いみたいだ。けれど安心は出来ない。


如何せんここは魔物というか生物が物凄く多い。

特にコウモリと前世での宿敵であるゴキブリ。

この18階層入り組始めてから湿度が高く、生息するにはもってこいなんだろう。


対抗しようにも苦手意識からゴキブリには近付けずスライム任せにしている。

裕に50匹は越えるであろうゴキブリが迫ってくる様子は卒倒ものだった。


対してコウモリは超音波を概して位置を確認したり、仲間との連帯を組む習性。

俺の新スキル《金切り声(ハウルボイス)》を1つ放つだけで方向感覚を失い、壁や床に強打し群れは壊滅する。


こんな連鎖もあってかレベルは3上がり現在レベル5だ。

ついでに魔物は途中で見かけたケイプスパイダーしか倒していない。


ほらまたゴキブリが来たよ…

ゴキブリの対処法はスライムに任せる以外他ない。

経験値効率は悪いようだがスライムはレベル9、もう1レベルで進化ができるな。


器用に触手を操りゴキブリを掴むと触手の中に取り込み窒息死される。

どうやら生物は死んでいないと丸のみにはできないらしい。


空を飛んですこしでもこのゴキブリウェーブから逃れたいが、悲しいかなこの体は翼での飛行に適していない。

鳥などは空気袋を持ち、空を飛ぶことに適した進化をしている。

だが俺の体は猫、それに翼をくっつけただけだ。当然ながら不釣り合い。

多少飛行能力が上がったとて飛び続けるのは不可能。

《攻撃強化》と《敏捷強化》を使ってやっと力業で飛べる位だ。


暇潰しに翼をばたつかせていると奥までゴキブリを追っていたスライムが出せる限りの全力で帰って来た。

全身を震わせ何かを訴えかけてくる。

一体何が言いたいのかは分からないが、怯えていることは伝わった。

戦闘態勢を整え、目を凝らす。


夜目でも見えない暗がりから出てきたのは全長3メートルはあるだろうゴキブリ。

人間時代なら泡吹いて倒れていたかもしれない、しかし今は違う、全身が震える程度だ。

いやこれも、武者震いだ!

《ノーマルスキル〝恐怖耐性Lv1〟を取得しました》

…遂に取得したか耐性スキル。心なしか震えも収まった気がする。

生理的憎悪は拭えないが戦えなくはない!

鑑定!

《格上への鑑定を開始…一部表示します》


ジャイアントコックローチ 階級:D


冷や汗が伝うのを感じる、こいつには勝てない。

見た目ではなかったのだ、本能の部分がこいつとの戦闘を恐れていた。

俺との階級の差はホブゴブリン戦と変わらない、寧ろ縮まったと言える。

だが、恐怖心は倍と言って良い程に違う。

EとDでは根本的な強さの格が違うという訳か。


スライムを掴んで逃げるしかない。

しかしゴキブリは足が速い、逃げ切れないかもしれないけれど今はこれ以外方法が思い付かない。


スライムを掴もうと振り向くと大口を開いて今にも俺を飲み込もうとするスライムの姿が目に写る。


は?まさか…ずっと隙を狙っていたのか?


それはないだろう、隙ならいくらでもあった。


つまりこれは…目を開けるとスライムは壁際で静かに佇むだけでなにもしない。

巨大ゴキブリは此方を暫く見つめたが、興味が失せたのかそのまま素通りしていった。


やはりスライムは自分がゴキブリの餌でないことを知っていた、だから俺を飲み込んでスライムの一部に見せかけたんだ。


全く愛らしいやつめ!

《ノーマルスキル〝念話Lv1〟を取得しました》

え?…っあ!

つ、遂に来た!

念願の念話だ、これでスライムと会話ができる。

「キュイキュー?(スゴイ?)」

分かる、分かるぞこいつの言っていることが。

レベル1だからか4歳だからかは不明だが聞こえる言葉は大雑把で稚拙。

それでも会話が図れるのは素晴らしい。


「ギナァ(すごいぞ)」

俺の言葉がどの程度伝わっているかは検証しようがない。でもヤッター!と喜んでいるので言いたいことは伝わってるようだな。


一息吐いて考え直す、思わぬ成果があって舞い上がってしまったが、この入り組んだ洞窟では何時あの巨大ゴキブリに出くわすか分からない

早く抜け出さなければ、緊張から吐き気も出てくる。

《ノーマルスキル〝恐怖耐性Lv1〟を取得しました》

スキルを手に入れるための熟練度のようなものが溜まってたのかな?


ホブゴブリンとの戦闘やミノタウロスの雄叫びでも《恐怖耐性》が手に入らなかったのを考慮するとこの世界のスキル取得条件は割りとシビアだと思う。



スライムは俺と話せるのが純粋に楽しいようで、後ろから話しかけられるとおじさんポロっときそうだよ。


下らないことをまた考えていると鼻に独特の匂いがかかる。

この匂いは嗅いだことがある、まさか前世との繋がりが!?


匂いの発生源の方向、下へ続く急斜面の道へ行く。


湿気、ではなく湯気が立ち上っていて、もう予想は着いた。


ここは地下温泉湖だ。

独特の匂いの正体は硫黄の匂い、温泉湖の周りには湿気に強い草花が生い茂っている。

温水の底から温泉湖の周りを照らす光が漏れていて、気になって水中を覗くと〝ヒカリサンゴ〟というものが光を発生させていた。

流石ファンタジーというべきか温水の中には魚が優雅に泳いでいる。


珊瑚というので恐る恐る水を舐めたが淡水だった。

これなら休憩にもってこいだ。

スライムに降りるように言い、温泉に浸かる。

生命の泉のように特殊な効能はないが、迷子に強敵にと疲弊していた心には染み渡る。


「クナァ(はぁ、癒される)」

「キュゥ♪(キモチイイ♪)」

作者「障害とは迷路でした。更に念話によってスライムとの密接な関係を構築できるようになりましたね!」


猫「あぁ、スライムと話すことを目標にしていたと言っても過言じゃないからな。素直に嬉しいよ」


作者「何よりです。あ、プチ情報のコーナーを始めます。」


猫「ん?なんだそれ聞いてないぞ?」


作者「今日のプチ情報は魔物以外の生物。彼らはまず階級と魔力を持ちません。」


猫「聞けよ…確かに鑑定しても種族と能力値、いや能力値がないのもいたな。」


作者「そう!弱すぎる生物は能力値も反映されません。それは魔物や人間も該当されます。」


猫「あくまで弱いものの場合って訳か。」


作者「そういうことです。だから猫さんやスライムはギリ弱すぎる認定は回避しています。」


猫「地味に虚しいな」


作者「名残惜しいですが本日はここまで。そこまで重要でない情報を伝えるプチ情報コーナーでした~。」


猫「区切り悪いな…次回、地下温泉湖俺たちは何かを目撃する!?」


猫「(こいつの台本8割がた読むことないな…)」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ