お団子と海と金網
あーあ。やだなぁ、あんなものができて。
あれができたから、私のお気に入りだったお団子屋さんがなくなっちゃったんだ。優しいおばあさん、好きだったのに。みたらし団子、すーごくおいしかったのに。
あっちのお兄ちゃん家もなくなっちゃった。
親友のみぃちゃんちもなくなっちゃったんだ。「もっと遠いところに行っちゃったんだよ」って、お父さんが言っていた。だから、学校でもみぃちゃんには会えなくなっちゃったんだ。つまんないのー。うーん、さみしいっていうのかな?
それからね、あんなに近くにあったスーパーに、ものすごく遠回りしないと行けなくなっちゃったんだ。「目の前に見えるんだからまっすぐ行っちゃえばいいのに」って言ったらお母さんが、「キケンだから、いっちゃダメなのよ」って言ったの。どこが危険なんだろう?金網でできた低い壁が2枚あるだけにしか見えないのに。よじ登れば行けそうなのに。
お気に入りだった海も、もう見えない。
でも、あんなものが、確かに私の邪魔をしているんだ。
あれができて、大人たちは喜んだんだよ?「遠いところが近くなった」って。「これで、この町も便利になった」って。
私にはわからない。お団子屋さんもおばあさんも、みぃちゃんもお兄ちゃんにも会えなくさせたあれが、便利なものだなんて思えない。
そうそう、最近あれがうるさいんだ。昼間お人形さんで遊んでいるときも、絵本を読んでいるときも、おやつを食べているときも。私が寝ようとしているときでもうるさいんだ。
本当、やになっちゃう。ね、早く引っ越そう?あれがいるから私、眠れなくなっちゃうよ。
毛布をかぶっても聞こえてくるんだもの。
ガタンゴトン、ガタンゴトン……って。
ね?あんなもの、なくたっていいよね?




