クリア② 舞踏会
「用事はそれだけ?」
「ええ……」
「なら今日はもう帰るわ。またねクリア」
「ああ、忘れていましたが明日……」
クリアは封書を手渡してくる。
「これは?」
「家で中を確認してください」
なにやら思わせ振りなことを言って、期待を煽るようなことを言う。
「わかったわ」
ほんの少しだけ期待しながら馬車に乗る。中身はいったいなにかしら。
――――
「ただいま」
「お帰り。いつもより少し機嫌がいいね」
シャーレアが帰宅したとき、ヴェスタとペンネス、遊びに来ていたイレーサーがカードゲームをしている最中だった。
「クリアにこれを貰ったの」
「なに、ラヴレター?」
「まさか」
シャーレアは冷やかすイレーサーをつんと、はねのけ封を切る。
「お城のパーティーの招待状だわ」
―――――――
翌日になり、城へやってきた。辺りを見れば貴婦人ばかり。
―――私場違いじゃないかしら。
「あーらごめんなさーい」
「え!?」
通行人が私にぶつかった!倒れそうになる寸前で、誰かが私をささえる。
「大丈夫ですか?」
スーツを着たクリアだった。
「……やはり人間とは醜い」
クリアは向こうを見て何か呟く。
「助けてくれてありがとう」
「どうやら、パートナーは居ないようですね」
「ええ……」
他に招待状を受けた人が周りにいなかった。それに―――
「招待状を貰っていなくても同伴者は入城しても良いんですよ」
「一応知っていたけれど……」
誰を誘うか決まらなかった。
「シャーレア、私のパートナーになっていただけますか?」
「え、でも……」
令嬢や夫人がチラチラこちらをみている。
断ったらきっとクリアは彼女達と踊ったりするのね。
「相手が私では嫌ですか?」
「そんなことないわ」
私はクリアの手をとった。彼女達の視線なんてしったことじゃない。