11/17
route・ティアド① 近づく別れ
――――ドラゴン退治も終わり別の仕事で忙しいパパの代わり、私がティードラァに憑依されていたパパの弟のティアドさんのお見舞いに来た。
「こっこんにちは…」
寝ているのを起こさないように、そうっと入る。
「君が、シャーレアさんだね?」
「……ええ」
彼はすでに目を覚ましていた。ティードラァに取り憑かれていたときとは違って優しそうな人。
「君の母親に似ているな。兄が気に入るのもわかる。私は君のほうが好みだが……」
なんだか彼の顔を見た途端、心臓が強くドクドクしてきたわ。
これが世に聞く恋かしら?
「おそらく私は長くは持たないだろう」
「……え」
邪神ティードラァに取りつかれていたせいか、彼の身体が弱っているようだ。
「よかったらこれからも兄や、ウォルを支えてやってほしい」
私はこくりとうなずいた。
会ったばかりなのに、これから別れるのは寂しい。