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とあるパーティーにて

活動報告より♪

書籍掲載分ですので、活動報告に掲載した時のまま再掲です m(_ _)m

 軽やかなワルツが流れ、たくさんお人々が笑いさざめく楽しい雰囲気の中、私は——不機嫌です。

 表向きはちゃんと営業スマイル貼り付けていますが、内心はモヤモヤしています。


 なぜって? それは。


 旦那様とエレタリア様(第二王女)がお似合いすぎるから……っ!!


 わかってるんです。旦那様がお仕事で二の姫様のエスコートをしてるのはわかってるんです(大事なので二度言いました)。それもイヤイヤだっていうのもわかってるんです。

 でもでもっ! 美男美女、すんごいお似合いすぎて泣けてくる。

 旦那様が超美形なのは言わずもがな。二の姫様も王妃様譲りの華やかな美貌の持ち主だから、もう、ね……。地味子は完敗ナノデス。

 前はこんなの思ったことなかったのになぁ。私ってばいつの間に、旦那様のことがこんなに好きになっちゃってたんだろ……。

 

 いつもの定位置・壁際から、私がちょっぴり(いやかなり)拗ねモードでキラキラ美しい二人のダンスを見ていると、


「今日は踊られないのですか? よろしければ僕と一曲お願いします」


 そう言って若いお貴族様に声をかけられました。

 おお、フツーにイケメンです。(でも旦那様より劣るけどね!)相変わらず独身貴族(名実ともにね!)の名前と顔は覚える気の無い私です。

 旦那様は私が若い男の人とダンスするのをとっても嫌がるので最近は避けてたんですけど、今日はいいよね! 旦那様だって踊ってるんだもん、私だってちょっとくらいはいいよね!!

「よろこんで」

 私はその手を取りました。



 それから二曲ほど踊ったところで、


「ヴィー……」


 後ろから低〜い声が聞こえてきました。

 この声は旦那様ですね。もうお仕事は終わったんでしょうか?

 私が振り返ろうとすると、そのまま背後から腕が伸びてきて旦那様に抱き寄せられてしまいました。

 いきなりどうした!? 私が驚いていると、

「そろそろ妻を返してもらいますね」

「はぁ」

 ただでさえ突然の旦那様出現にお貴族様がキョトンとしているというのに、旦那様はそう言って、私を引き剥がしてしまいました。


「もお〜、サーシス様! ちょっとあれは失礼じゃありません?」

 戻ってきてくれたのは嬉しいけど、さっきのはやりすぎじゃない? って、心配になります。

「…………」

 なのに旦那様ったら私の問いかけには答えず、無言で私の手を引きどこかに連れて行くようです。


 引きずられるようにしてパーティーの会場を出、廊下を少し行ったところで旦那様は立ち止まると。


 ドンっ!


 私の背は廊下の壁におしつけられていました。旦那様の、壁についた両腕の中に囲われる形で。

 真正面には旦那様の麗しい(けどちょっと不機嫌な)ご尊顔。


 ええっ、ちょ、なにこれ! なにこの状況すごいドキドキするんですけど!?


「サ、サーシス様……?」

 急激に頬が赤くなるのを感じながら旦那様の名前を呼んでみると、


「あんまり妬かせないでください。その笑顔が仮面とわかってても理性が焼き切れそうになる」


 そう言って唇を塞がれてしまいました。


 いや、待って! ここ、廊下〜! 誰が通りかかるかわかんな〜いっ!!


 それに、自分だけがヤキモチ焼いてるみたいな言い方、どうなの? 私だって……!

 私は旦那様の顔を力一杯押し返して引き剥がし、

「サーシス様だって! 二の姫様とあんなに素敵に微笑みあってるから……。お似合いすぎて妬けました」

 今度は逆に、私が旦那様を抱きしめてやりました!

「あれは仮面だよ。向こうもそうだし。お互いに内心辟易してますから」

「わ〜かってますけど、妬けるものは妬けるんですっ」

「……じゃあ、今日はおあいこ?」

「そうですね」

 そう言って見つめ合えば……どちらからともなく吹き出す私たち。


「もう今日は帰ろっか」

「あら、『お仕事』はいいんですか?」

「うん、もう大丈夫。閉店」

「くすくす。じゃあ、帰りましょう!」


 私たちは早々にパーティーを抜け出したのでした。


ありがとうございました(*^ー^*)

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