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実家に帰っていいですか?

活動報告、リクエスト企画より♪


いきなり実家に帰りたいと言い出したヴィオラに、旦那様は……?

時間的には本編最新話より随分前、懐妊前のお話です♪

 フィサリス家のサロンで、晩餐を終えたサーシスとヴィオラが食後のお茶を飲んでいるところで、何かを思い出したような顔をしたヴィオラがそっとティーカップを置いてサーシスに向き合った。

「あ、そうだ」

「なに?」

 サーシスに向かってニコッと微笑んだのにつられて、サーシスも微笑み返す。

 上機嫌のヴィオラはかわいいなぁと、サーシスが心の中で愛でていると、


「実家に帰っていいですか?」


 ヴィオラの口から出てきたのは意外な言葉だった。

「え?」

「実家に帰っていいですかってお聞きしたんですけど?」

 公爵家が気に入っているからか、それとも他の理由があるのかないのか、実家に帰るとは滅多に言わないヴィオラが実家に帰りたがる……? すなわち、『何かやらかした・もしくは気に食わないことがあった』と考えたサーシスはにわかに慌てた。

「え? 実家に帰るって? え? どうして? また何かやらかしたとか? 」

「”また”ってなんですか、”また”って。なにもやってませんよもうっ! どうしてって言われても、最近バタバタしていて全然実家に顔出してなかったなぁって思っただけですけど?」

「あ、ああ〜。そうか、うん、そうだね。う〜ん」

 むっと口を尖がらせ答えるヴィオラに、サーシスがホッとしたのもつかの間。実家に帰ればヴィオラの弟妹がヴィオラにまとわりついて、なかなか返してくれないことを思い出す。


 とくにあの弟な!


 サーシスは苦々しい思いでシスルの顔を思い浮かべた。

 ヴィオラには見えない角度で(そしてサーシスにのみ見える角度で)黒い笑みを浮かべてくる義弟。


 どうしたもんかなぁ。


 ヴィオラが実家に帰るのはやぶさかではない。しかしあんまり長居されると、今度は自分がヴィオラ切れを起こすのがわかっている。


 いっそ僕もヴィオラと一緒に行けばいいのか! そして日帰りで帰ってくる。うん、なかなかいいアイディア……あっ、今取り掛かってる急ぎの案件の報告が近々上がってくるんだった……これじゃ、仕事を休んでくっついていくこともできない!


 そんな勝手なジレンマから答えを渋っていると、


「あら、ダメですか?」


 かわいらしく聞いてくるヴィオラ。

 上目遣いにお願いされると弱いサーシス。


「いや、行くのはいいんだけどさ、いつまでいるのかな〜って」

「弟妹次第でしょうか?」

「……それが一番厄介なんだって」

「何か言いました?」

「いや、何も。あ、ほらヴィー、バーベナからお茶会に誘われてなかったっけ、あれ、明後日じゃなかった? それまでに帰ってこなくちゃな−−」


 早く切り上げさせるうまい口実を思いついたとばかりにヴィオラに言えば、


「サーシス様。それはもっと先ですよ」


 サクッと切り返された。瞬殺。

 

「そ、そうか。そうだ、明後日は僕の休みだから、町に散歩に出ようって約束してたじゃないか」

「いや、してないと思いますよ? むしろいつもノープランじゃないですか。今日はやけに渋りますね」

 次なる手を打ったのだが、こちらも撃沈。

 なかなか『いいよ』と言わないサーシスを不思議に思ったヴィオラに突っ込まれた。


「いや……うん、まあ。……早く帰ってきてくれるなら行ってもいいよ」


 バツが悪そうに言うサーシス。

 そんなサーシスの顔を、きょとんと見ていたヴィオラだったが、


「もう、それを心配してたんですか? サーシス様をほったらかして実家に長居なんてしませんよ〜」


 なーんだそんなこと、と、明るくヴィオラが笑い飛ばすと、


「ヴィー!!」

「キャー!」


 感極まったサーシスに抱きつかれたのだった。

ありがとうございました(*^ー^*)

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