いつのまに
書籍発売記念リクエストより♪
ユーフォルビア領民AさんとBさんの会話。
ヴィーパパって、領民からどう見られてる……?
ユーフォルビア伯爵家領内の織物工場にて、労働者(領民)AとBの会話
「そういや、いつのまにか暮らしが楽になってきたねぇ」
「だねぇ」
「いつからだろう?」
「う〜ん、大災害があったのって、もう何年前だっけ? とにかく、それがあって、俺たちの食べ物が危機的状況に陥って……」
う〜んと唸りながら回想する領民B。
「とにかく、あの大災害のあと、俺たちどうなることかと思ったけど」
「このまま餓死しちゃうのかな〜って、ぼんやり思ったよなぁ」
「そうそう」
「でも領主様一家が、心折れそうになってる俺たちを励ましてくれたんだよねぇ。一家総出で、織物やってみよう、とか、染物やってみよう、とか頑張ってくれたんだった」
「領主様ご一家が先頭切ってくれたねぇ」
「領主様はちょっとおっとりしすぎてるけど、奥様やお嬢様がしっかりされてるから領地もなんとか持ち直したよね」
「領主様って、見るからに優しい温厚な紳士だもんなぁ。『辣腕』とか『やり手』って言葉とは真逆っていうか」
「やり手って、どっちかっていうと奥様の方がそれっぽい。でもってお嬢様は二人のハイブリッド?」
領主一家の顔を思い浮かべる二人。ヴィオラがハイブリッド……?
「そうそう、お嬢様といえば、お嬢様がフィサリス公爵家に嫁いでから、俺たちの暮らしも楽になってきたんだよなぁ……」
「……ハッ……! あの頃から……」
領民Aの言葉に思い当たる節がありハッとなるB。
「何も言うな!」
それを慌てて止めるA。
「そ、そうだな!」
「ほ、ほら、フィサリス家の人? 騎士団の人? だかが来て、織物買って行ってくれたりしたこともあったしな」
「あの時は高級品ばかりをごっそり根こそぎ買って行ってくれたなぁ。太っ腹だったなぁ」
結構な金額を落としていったので記憶に残っている。
「買ってもらえるような商品が作れるようになったのも、領主様の頑張りだよな」
「そうそう。領主様がちゃんと領地をこまめに巡回して、励ましたり手伝ったくれたり、手厚く様子を見てくれてるからできたんだよな」
「良い人だよなぁ」
「俺たちのことをそばで励ましてくれるから、俺たちも頑張ろうって思うよね」
「そう、一緒に頑張ろうってな」
「でもさ、あまりにしょっちゅう領地にいるから、王都のご家族に忘れられてないか心配だけど」
「それな。あるな」
Aが真顔で頷いた。
「まあ、亭主元気で留守がいいって言うし?」
「自分に当てはめるとめっちゃ切ない」
「「………………」」
ありがとうございました(*^ー^*)




