ただし○○に限る
活動報告より♪
ある日のユリーさんと騎士団メンツの屯所での様子。会話中心です。
「最近、やたらと女どもが目を合わせてくるんだが……」
特務師団の屯所で、げんなりした顔で愚痴るユリダリス。
「え~、いいじゃないっすか~! めっちゃ羨ましいっすよ、それ」
無邪気に羨ましがる騎士A。
「いや、それがさあ、なんつーの? 目力? とにかく迫力あるっつーか、ギラギラしててこえーんだよ。オレ、いつか掴まって食われそうな気がする……」
顔を青ざめさせて頭を抱えるユリダリス。
そんな上司を見ていて閃き顔になった騎士Bがポンと手を打ち、
「あ、そういやこの間オレ、王宮の女官の誰かに『副団長ってどんなタイプが好きか』って聞かれました!」
嬉々として報告した。
「は?」
ぽかんとなるユリダリス。
「でもオレ、副団長の好みとか判んなかったんで『とりあえず熱心に見つめてみて、副団長が微笑み返してくれたら口説いてもらえるんじゃないですか~』って答えときました!」
固まるユリダリスをよそに、騎士Bはその後を続けた。
「お~ま~え~!! 勝手なことを言ってんじゃねーよ!!! 『目が合ったら口説いてもらえるんじゃないですか?』って? それどんだけ軽い男よ? 人をチャラ男にすんなっつの~~~!!!」
青筋立ててキレるユリダリスがゆらりと立ち上がる。
「きゃー! 副団長がキレた~!」
「すんませーん!」
「待てこら!」
三人がきゃーきゃーと騒いでいるところに、ひょっこり顔を出したのは特務師団長フィサリス公爵サーシス。
「何を騒いでいる?」
秀麗な眉をクイッと上げて事情を聴くサーシス。
「こいつらが、オレを軽薄なチャラ男にしやがったんですよ!」
「オレ、関係ないっす!」
「出来心っす!」
「出来心じゃねえよ!」
ユリダリスがじと目で二人を見ながら説明すると、ブンブンと顔の前で手を振り否定する騎士Aと、ドヤ顔で言い切る騎士B。
サーシスは、しかしそれをサラリと見ただけで、
「そうか。大変だな。で、この資料について聞きたいんだが」
手にしていた資料をユリダリスに見せた。
「大変とか、めっちゃ他人事に言いやがって!! 説明してやんねぇぞ!」
「そうか。それは残念だ。じゃあ後で私の執務室に来てくれ」
「人の話を聞けよ!」
ユリダリスが団長副団長という立場を忘れてガン睨みするも、にやりと笑ってから颯爽とその場を去ったサーシスだった。
数日後。
「……事態が悪化している」
顔色悪くげんなりしおれたユリダリスが、また屯所で愚痴っている。
「はい? 事態って、アノ事態ですか?」
「ああ、そうだ」
そう答えてギンっと騎士Bを睨むユリダリスに、
「オレ、あれから何もしてないっすよ!!」
今回は心当たりがないのか、頭をブンブン振って否定する騎士B。
「女どもならまだよかったんだ……。今度はヤローどもがすっげー熱い視線を送ってくるっ!! ナニコレ拷問? 新手の嫌がらせか?!」
固めた拳でガツンとテーブルを殴るユリダリス。
「「はああああああ?!」」
「女どもよりもっと恐ろしい……! いや、怯むなオレ!! 襲ってきたやつは有無を言わさず返り討ちだ!」
青ざめたまま拳を固めるユリダリス。ガクブルする騎士A・B。
またそこに現れたのはサーシス。
「あれからどうだ?」
「はい? あれからって?」
「チャラ男疑惑は払拭されたか?」
「……どういうことで?」
おそるおそる聞き返すユリダリスに、
「噂を耳にするたび『ただし男に限るらしい』と訂正しておいたぞ」
屯所ではめったに見れない爽やか笑顔でサーシスが答えた。
「お前のせいか~~~っっっ!!!! なんてことしてくれやがった!!!」
この後じっくりと拳で語り合ったサーシスとユリダリス。
ものすごい気迫のユリダリスに、噂話の回収をさせられたサーシスだった。
……噂話がなんとか収束してから。
王宮の回廊で例の気になるあの子に出会ったユリダリスだったが、目は合ったものの、すぐさまスッと逸らされてしまい、
「あの子ならエグイくらいにグイグイ来てくれていいのに! つか逸らされたし!!」
と、凹みまくるのであった。
ありがとうございました(*^-^*)




