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ユリーさんの小さな幸せ

活動報告より♪

旦那様の部下のユリダリスさんのあわい恋♪

※『裏説』からお引越ししてきました

 特務師団副団長のユリダリスさんには、ちょっと前から気になる女の子がいます。


 とっても綺麗な女の子で、ゆるいくせ毛の金髪がその柔らかい雰囲気を引き立てています。仕事中は凛々しく綺麗な人なのですが、たまに王宮の食堂で見かける休憩中の彼女は、同僚と談笑しているところはふにゃんとしていて可愛いのです。ギャップです。

 ユリダリスさんはそのギャップにいちころでやられてしまいました。

 普段から綺麗な人は見慣れているのですが、なにしろ騎士団で揉まれている女性おとめばかり。口を開けば男性と対等な、強めな女性ばかりです。彼女のようなふんわりとした雰囲気をまとう女性は周りにはなく、ずきゅーんと心を射抜かれてしまったのです。


 彼女がどこの誰かは知りません。ただ、王宮の女官のお仕着せを着ていることしか。




 ユリダリスさんの上司は、たまに……いや、ちょくちょく? ……いやいや、しょっちゅう手のかかる人になります。仕事上はキチンとした立派な上司なのですが、プライベートがダメダメなのです。

 以前はもはやお手上げ~な状態でしたが、今は奥様がしっかりしているのでずいぶんと改善されました。しかしその奥様のことになるとまた暴走しがちです。それを止めるのはユリダリスさんの仕事。

 そして、上司だけでなく部下も、たまに暴走します。

 暴走した上司を成敗するために暴走する部下。主に女性部下。それを止めるのも、ユリダリスさんとその他の男性部下の仕事です。


 ――なんか、仕事以外の仕事が多いのは気のせいか?


 なんだよ仕事多いじゃねーか頭いてーよ、はあぁぁぁ~、と若干疲れたため息をつきながら、書類を執政官の元に届けるために王宮の廊下を歩いていると。


「あの、お疲れですか?」


 可愛らしい声が後ろから掛けられました。


 ユリダリスさんも上司ほどではありませんがとても綺麗なお顔立ちをしているので、とても人気があり、よく女性から声をかけられます。でも気になる女の子がいるユリダリスさんにとっては、意中の人ではない女性から声をかけられても、鬱陶しいというか面倒くさいの一言に尽きるのです。ですから、今日も「またか~」と思いながら、めんどくさそうに振り返ると。


 そこには気になるあの子がいました。


「えっ? ええ、と?」


 気になるあの子にいきなり声をかけられて戸惑うユリダリスさん。


 うっそ、あの子じゃねーか! うーわ、オレ今めっちゃ態度悪くなかったか?!


 めんどくさそうにしてしまった先程の自分を殴りたい思いに駆られつつ、しかしかわいいあの子に声をかけてもらいうれし恥ずかしでほんのり頬を朱に染め、いきなり純情青年に成り下がります。

 先程までアンニュイなオーラを振りまいてユリダリスさんが、振り返ると意外に元気だということが分かったからか、そんなユリダリスさんに彼女は微笑みかけると、


「なんだか後姿がお疲れのようにお見受けしたもので。不躾でございましたね。失礼いたしました」


 綺麗なお辞儀をしてその場を立ち去ろうとする彼女でしたが、


「いや、疲れてましたから! ホント、マジで疲れてるんですよ!!」


 元気いっぱいに言い切りました。


「まあ……? ふふふ。では、よろしければこれをどうぞ?」


 元気いっぱいのユリダリスさんの返事に、初めは虚を突かれたようにぱちくりとそのグリーンの瞳を瞬かせましたが、すぐに柔らかい、ユリダリスさんを堕としたあのふにゃりとした笑顔になると、お仕着せのポケットから何やら包みを取り出してユリダリスさんの掌に置きました。

 それは親指の先くらいの大きさの、油紙に包まれたものでした。


「これは?」

「はい。疲れた時には甘いものが一番だと、私の父が作って持たせてくれているキャラメレですの。とっても美味しいんですけど、甘いものは大丈夫ですか?」

「ええ、むしろ好きですよ」


 つーか、君の笑顔を見るだけで元気になれます!! ……って、どこぞの上司ならさらっと言いそうだけどオレには無理!! つーか、いきなりそんなこと言われたら引くよな。うん、絶対引かれるよな!!


 と、ユリダリスさんが心ひそかに葛藤していると、


「ああ、よかった。ぜひ召し上がってくださいませ。優しい味に、きっと疲れも癒されますわ。では」


 ユリダリスさんに名乗ることなく、また見惚れるような綺麗なお辞儀をしてその場を立ち去る彼女。あまりに自然に立ち去ったのと、心の中の葛藤とでぼんやりしていたユリダリスさんは、名前を聞きそびれてしまいました。


「名前……! くそっ、何たる失態!」


 自分の失敗を悔やみながら、彼女に貰ったキャラメレの包みを丁寧に解き、口に放り込むユリダリスさん。

 途端に口の中に広がる優しい甘さ。先程の失敗もなんとなく許せる気分になる不思議。


「ま、また話す機会もあるか。このキャラメレのお礼っていう、大義名分ができたしな」


 そう言って気分を取り直し、執政官たちのいる部屋に向かって歩き出しました。




 彼女の優しさに、小さな幸せを感じているユリダリスさんは知りません。


 彼女が上司の家の侍女長の娘だということを。

 キャラメレが、彼女の父で、上司の家の料理長のお手製だということを。


 上司の家に行った時に彼女と再会するのも、そう遠くない未来だということを。



~近未来?~


リアさん「え? 甘い言葉? そんなのうちの父さんが呼吸するように吐いてますから、少々のことでは動じませんよ」

ユリーさん「マジか!」


ダリア「ちょっと、あなたのせいで娘が枯れたこと言っちゃってるじゃないですか!」

カルタム「う~ん、おかしいなぁ~? ほら、そんな怖い顔しない~。まあ、ハニーは怒った顔もキュートですけどね~」

ダリア・リア「「それ!!」」


最後はべたにwww


ありがとうございました(*^-^*)

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