閑話1 とあるヒロインの実情
おそくなりました。次話というか閑話です。異世界に行ってしまった幼馴染さんのお話になります。ちょっと病んでる感じの表現があるので苦手な方は読まないほうがいいかも?
この小説のジャンルがよく分かんなくなってきたので、その他にしようと思います。
PVが1000いってた。見てくれてありがとうございます。
「やあああっ!」
裂帛の気合いの声とともに豚とブルドックを足して歪めたような醜悪な顔をした魔物、オークと言われるそれは、断末魔の悲鳴を上げることもできず左右へと別れ、その中身を地面へとぶちまけた。
「ぷぎゅるぅああっ!!」
自分たちの仲間がやられたのを見た、他の4匹のオークたちは怒りの咆哮をあげ、今し方オークを切り伏せたばかりの栗色髪のポニーテールにした少女、自らと比べればかなりの小柄であるその少女へと殺到した。
「ふんっ」
「させません」
「炎よ、集まりて我が敵を貫き燃やし尽くせ『ファイヤーランス』ッ!」
『ぎゅあああぁっ!!』
少女は、押し寄せてきたオークの一匹を先程オークを切り伏せ、下に向いていた剣をすぐさま切り替えし逆袈裟切りの形でまたもや両断し、血しぶきをあげさせた。そして、その少女の目に血がとんできたので、一瞬目を閉じた少女の隙をついて背後から棍棒で殴り掛かってきた別のオークの一撃は、銀色に輝く鎧と大きな盾と大剣を装備した短い赤髪をした、凛々しい顔つきをしている大柄な女性がその盾でもって防ぎ、とても片手で使うような剣ではないはずの大剣によってその首をはねた。
そして、少し離れたところにいた黒いローブで身を包んだ、いかにも魔術師ですという格好をした長い金髪の女性は呪文らしきものを詠唱し、炎の槍を2本創り出すと、先ほど襲い掛かってきたオークから少し遅れて向かってきていたオーク2体へと放ち、その槍は見事2体の心臓付近へと突き刺さり、その醜悪な体を一瞬のうちに火達磨へと変えた。オーク達は断末魔の声をあげながら、炎によってその肉体を焼き焦がし、内臓と表面の両方から焼かれ息絶えた。
戦闘後には、数多くのオーク達の流したおびただしい血の跡と強烈な異臭を放つ内臓、そして、肉の焼けたにおいが漂い、そこで立っているのは先ほどオーク達を皆殺しにした三人の人間と白を基調とし、青色と金色で装飾されたゲームなどの僧侶が切るような服を着た肩にかかる程度の銀色の髪をしたショートヘアの少女がいるのみであった。
「皆様お疲れ様です。お怪我等はありませんか?ありましたらすぐさま回復いたしますのでおっしゃってくださいね?」
その僧侶みたいな服を着た少女は、心配そうな顔をしながら先ほどまで戦っていた少女達へと声をかけた。
「ん、ありがとうねアイラ、心配してくれて。でもこれぐらいの敵じゃあ全然相手にならなかったから大丈夫だよ。」
「そうそう、オーク程度じゃあ今のアタイらには全く相手にゃあならないよ。」
「まあ、数だけはいたから少し疲れた程度かしらね?」
そんな軽口を言い合う彼女らは、先程の僧侶っぽいのがクレリックのアイラ、鎧姿のがパラディンのヘルガ、ローブ姿のがマジックマスターのシェーラ、そして、栗色の髪をした少女こそ勇者にして、この世界【レグズガルド】へと召喚された、主人公の幼馴染である月見里美星である。
これは、月見里美星が地球から召喚され、その後主人公へあれを送った後の物語、というか彼女の心情である。
◆◇◆
私は、この世界での仲間と軽口を言い合いながら、逸る気持ちを抑えていた。あの日、私がこの異世界へと召喚された日、私は何時ものように幼馴染であり、私の思い人でもある宗ちゃん――久良岐宗助――を起こすために家から出た。
その時、地面が光ったと思った次の瞬間、私は見知らぬ石造りの部屋の中にいた。
私は何が起こったのかもわからず、呆然としていると、何やら宗ちゃんの部屋で見た漫画や小説、ゲームなどで見たことがあるような、如何にもお姫様ですっていうような恰好をした自分と同じくらいの年の少女と周りを囲む兵士っぽい人達、そして、魔術師っぽい格好の人達が居ることに気付いたとき、そのお姫様っぽい子が私の事を勇者と呼んだ。
ああ、これがテンプレっていうやつなのね――――
宗ちゃんの部屋で、読んだことのある、えーと、確か…ライト、ノベル?だっけかな?によく書いてあった場面そっくりだなーって、私はのん気に考えていた。……今思うと、やっぱりテンパってたんでしょうね。
その後、色々お姫様に説明されたけど、まあ、要するに『魔王から世界を救ってほしい』っていう、よく物語にあるようなものだった。…普通そういうのって男の子が召喚されるんじゃないのかなあ?……まあ、向こうも勇者が女の子でびっくりしていたみたいだけど……
そして、今はあれを宗ちゃんの所に送ることが出来たおかげで、元の世界に戻る算段は付くことが出来たから落ち着いてるけど、最初、王様や勇者を召喚する術式を古代遺跡から発掘された碑文から蘇らせた、天才宮廷魔術師っていう人から『戻す方法は分からない』って言われた時は…まあ、ちょっと暴れて全治1カ月ほどの怪我をさせちゃったけど…仕方ないよねっ!いやあ、勇者補正ってすごいね。人がゴミのようにとんでったし。
あいつら、私と宗ちゃんを引き離した上に、戻す方法がないなんて言うばかりか、魔王討伐後には褒美として王子との結婚を認め王族に加えてやっても良いだの、色々ふざけたことを言ってたからね。うん、思い出したらまたムカついてきちゃった……
…まあ、その後、素直になってくれた宮廷魔術師さんがその遺跡の事を話してくれて、王様も私がちゃんと元の世界に戻れるよう全力で支援してくれるって言ってくれたから許してあげたけどね……一時的にだけど…
その遺跡で、向こうの世界から召喚する術のほかに向こうへ渡る術もあることが知れたのは嬉しいことだった。でも、その術式が記された碑文は魔王場が存在する場所だというのも如何にもテンプレだと思ったものだ。でも、召喚術があった遺跡での調査で、異世界への渡航術には行きたい世界への座標が必要(座標がないとランダムになる)だとわかり、最初は落胆した。
遺跡では、一応渡航術と似た術で送還術と魔法生物創生術いうのもあった。送還術とは、召喚術と本来は対となり、召喚したものを元の世界へ送り返す術だ。初めは、この術で私も帰れるのではないかと考えたけれど、勇者召喚術はちょっと違うようで、異世界の存在を完全に此方の世界の存在へと変換し、安定させる術だという事だった。…ますますもって身勝手で腹立たしい術だと思う。
魔法生物創生術は、二つの異なる細胞を魔法的な繋がりによって融合させ、ピクシーと呼ばれる精霊に近い、物質と非物質の境にある魔法生物を創り出すというものだった。
そこで私は一つ考えた。召喚術で元の世界から、出来れば宗ちゃんの髪の毛とか何かしらの細胞を召喚し、私の細胞を融合させ、送還術で宗ちゃんのもとへ送り、それを座標として私が渡航術によって宗ちゃんのもとに帰ればいいのだ。細胞の融合には相性が必要だとあったが、私と宗ちゃんの相性は抜群なのが当たり前なので(実際、融合は成功した。)、あとはできた魔法生物に私のメッセージを付与し送還すればよいと考え、さっそく実行したのだ。
後は、魔王という邪魔者を排除して宗ちゃんのもとに帰るだけだ。小学生や中学の時は彼の周りにたかろうとしていたうるさいハエ共は上手く追い払っていたけど、私がいなくなってからの宗ちゃんの周りが心配なのだ。まあ、宗ちゃんに限って私以外に惚れるなんてないだろうけど、心配なものは心配なので、早いところ魔王を掃除しないとね。
………待っててね宗ちゃん。すぐに帰るからね……
その頃の主人公はというと…
宗助「ヘックショイッ!」ブルブルッ
薫「どうしたの?宗助君、風邪?あっ鼻水出てるよ。はい、チーンして。」
宗助「いや、自分でできるから。あと、別に風邪じゃないよ。なんか急にぞくっとしただけ。」チーン
薫「ふーん、気を付けてね。今度、部活の皆で海に行こうって話でてるし。宗助君こなくなると嫌だよ?」
宗助「ああ、分かったよ。風邪ひかないように気を付けるわ。」
などという会話を美少女?としていたそうな。




