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偽りの関係  作者: ちまた
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帰り道で


入学式の後の帰り道

恋人同士なら、羨ましいかぎりのシチュエーションなのだろうが、

友達同士、しかも一方的な片思いの男にとってはなかなかキツイものがある。


「でも、あんまり良い男居なかったな。」


そこら辺の女ならぶっ飛ばしたくなる様なセリフだが

この魅力的な幼馴染にとっては当たり前の事なんだろうと

光は思った。


「でも、お前彼氏出来た事無かっただろう」


そう、こいつはモテるが今まで特定の彼氏が居ない。


「だって、どうしようも無いのしか寄って来ないんだもん」


生徒会長で成績優秀な桜田

いくつもの高校からスカウトが来ていた野球部の三村

俺から見てもいい男だと思うのに

この俺の隣で歩いてる奴は迷いもしないでフった。


「お前は、理想が高すぎるんだよ

 その内誰も居なくなっちまうぞ」


「良いよ別に、光が居てくれるなら」


微妙な沈黙



「嘘、間に受けるなよ」


こういう事を何の気無しに言うから、俺は十年以上勘違いしてしまう。


「うるせーよ、ブス、お前何か一人ぼっちにでも何ににでもなっちまえ」


「あら、恐い。」



幼馴染は可愛い子に限ると言うが

それはそれで、余計な悩みが増える。





「だから、無理だって言ってるでしょ、私とあなたでは釣り合わないのよ」


どんだけ、高飛車な女だよと思ったが、彼女の姿を見て納得した。


何と言うか可愛いだけでなく、何処となく育ちの良さを思わせる

雰囲気を持っていたから。


「そうかい、俺の女にならないんじゃ仕方ない

 青アザの二つ三つは覚悟して貰おうか」


振られた男の怒声が響いた



「光、助けてあげなきゃ」


「嫌だよ、俺は喧嘩が嫌いなんだ。」


そう、俺は生まれてこの方喧嘩というモノが大嫌いだった。


「じゃ、私が行く」


「冗談だろう、あんなイカツイ男にお前一人で行ってどうなるつーんだよ」


「二人よ、貴女と私で」


「そういう事」


まぁ、一条光、十六歳、喧嘩は嫌だが女の子に任せるほど男は腐っちゃいない。


「ちょっと、その子嫌がってるじゃない」


「誰だ、てめーらは」


だから、嫌だって言ったのに

今にもこっちに向かってきそうな顔で

睨んでるじゃなーか。


「通りすがりの正義の味方よ」


何でそう相手を挑発するような事言うかな。


「てめえらから先にシメてやる」


「光、後は宜しく」


「やっぱり」


こういう展開になるから嫌だったんだよ。


「おい、色男、相手が悪かったな、なんせ、俺は石川工業のボクシング部三年の佐々木剛だからな」


「だいぶ、長い名前ですね」


「うるせー」


ボカ ボキ ボコ






「やっぱり、光が勝った」


そこには、力なく倒れているボクシング部三年の佐々木剛


「あのなー、俺が勝ったから良いようなモノを、もし負けてたらお前だって危険だったんだぞ」


「大丈夫よ、信じていたから」


この顔でまっすぐ言われると何も言い返せない。


「大丈夫ですか?」


そういえば、ひかりが話しかけるまでそこに倒れてる女の子に気付かなかった。


「ええ、ありがとう、私は、二階堂彩、あなたたちは?」


「私は橘高校一年雨宮ひかり、であっちが同じく一年の一条光」


「いや、こちらこそ怪我が無くて良かった」


頑張ったのは俺なんだけどな。


「一条君、本当にありがとう、とってもカッコ良かったわ」


やっぱり人助けはしておくモノだな。


「じゃ、ホントにありがとう二人とも、今度何かしらのお返しをするわね」


「そんなの良いわよ、それよりも変な男には気をつけてね」


「ええ、ホントにありがとう、じゃあまた」





「良い子だったわね」


「そうだな」


確かに最初は高飛車女だと思ったが

実際は、どこかのお嬢様かってくらい品が良かった。


「俺の事カッコイイって言ってたよな、あの子」


「社交辞令でしょ、あの子育ち良さそうだったし」


「そうだよな、社交辞令だよな」


「少し落ち込んだ?」


「少しな」


しかし、社交辞令でも可愛い子から褒められるのは

良いもんだ。


「でも、ちょっとかっこ良かったわよ

 護ってくれた時は」



やっぱり良いもんだな




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