『遠足に行く』ということ~~後編~~
いやぁ、なんか、その………。
すいませんでしたっ!
午後は班員が欠けることなく始まった。
さも当たり前のことのようだが、もう一度言う。
班員が欠けることなく始まった。
ふぅ、スッキリした。
「んでどこ行くの?」
小野寺さんに訪ねてみる。
班長は彼女なのだ。
「そうね……。参考に聞きたいんだけど、ヒロ達はどこ行ったの」
「いろいろ行ったさ。赤レンガ倉庫に海上保安庁の博物館みたいなところ。横浜人形の家も行ったし、中華街も行ったし。観光できるとこ全部行ったんじゃね」
「楽しかったよね♪相馬君♪」
皆川さんが満面の笑みでヒロを見つめる。
「あぁ、シャトルランより疲れたな。ずっと走り続けてたからな。行っただけで観光してないからな」
「相馬君たら照れ屋さん♪」
ヒロのげっそりとした顔を見ると少しばかり胸が痛む。
しかし皆川さんはまるで疲れてない。
愛の力なのだろうか。
……愛って怖いな。
「それなら横浜ランドマークタワーに行きましょう」
地図を見て、近くて手頃なところを選んだようだ。
「それじゃ行きましょうか」
班長の言葉に皆が(今回は)従った。
~ランドマークタワー~
受付でヒロがおかしなことを言った。
「班長~。こんな高い所登って大丈夫っすか?」
「何を言ってるか分からないわ」
「あっそ」
俺と皆川さんは首を傾げたが、なぜヒロがこのようなことを言ったのかは数分後に分かった。
「……大丈夫か?コレ」
「本人は大丈夫って言ってんだし大丈夫だろ」
エレベーターの中にて。
最初の数秒はなんともなかったが、一軒家の屋根が下に見えてきた頃。(ちなみに約20秒ほどだ)
なぜだか振動を感じる。
横を見てみると。
「ガクガク」
震源はお隣さんだった。
「小野寺さん?」
「な、何かしら?今、景色を堪能してる所だから邪魔しないで欲しいのだけど」
嘘つけ、目つぶってたの見てたぞ。
あとこの間もガクガク足は震えていた。
「相馬尋嵩君。もしかして彼女は…」
「あぁ壱岐清太君。もしかしなくても彼女は」
「高所恐怖症なのね」
皆川さんがバッサリ切り捨てた。
「だ、誰が高所恐怖症ですって!?違います!苦手なだけです」
「受付で三回連続舌を噛み続けても崩れなかったポーカーフェイスは見る影もないな」
「う、うるさいわよ!すぐ慣れるわ!」
気丈に言ってのけたが、まぶたは頑なに閉じている。
「お、最上階に着くぞ」
「よし!小野寺さんは私がリードしてあげるよ!」
言ってることは友達想いの優しい奴だが、顔は残忍な笑顔で埋め尽くされている。
何か企んでいるのは明白だ。
「それじゃよろしく頼んだわ」
しかし頑なに目を閉じた小野寺さんに、それを知ることはできない。
手を引っ張られ連れていかれる。
「大丈夫かね?」
「大丈夫ではないだろうな」
案の定、皆川さんが連れていったのはそれなりな場所だった。
「小野寺さん、少し目を開けてみて」
ゆっくりまぶたを開く小野寺さん。
「…わぁ綺麗」
海に浮かぶ大きな船、どこも遠くまで見渡せる。
「ゆっくりでいいから下も見てごらん」
「ちょ、皆川さん!?それはまずいんじゃ…」
「壱岐君。良い機会だから私が高所恐怖症ではないということを証明してあげるわ」
顔を下にゆっくり向ける。
「………!!!」
そこの下はガラス張りの床なのだが。
「大丈夫ぅ?」
ニヤニヤしながら訪ねる皆川さん。
「……どうしよう…」
「はい?」
「足が動かない…」
「へ?」
厳密には動かない訳ではない。
むしろ動いている。
凄い勢いでガクガクと。
「た、助けてぇ」
半泣き状態だった。
「…なんかごめん」
皆川さんが手を差しのべると、それに勢いよくつかまり、その勢いのまま皆川さんに抱きついた。
「ちょっと!」
「少しの間こうさせて…」
「…もう。ごめんね」
少し仲良くなったかな?
それを見ていた男二人は。
「百合もいいかもな…」
「あ、俺もそれ思った!」
馬鹿な話をしていた。
下りのエレベーターでなぜ高所恐怖症なのにランドマークタワーを選んだのか聞いてみた。
「なんか行けそうな気がしたから……」
馬鹿はもう1人いたらしい。
~~~~中華街~~~~
「さっきも来なかったっけ?」
皆川さんが小野寺さんに訪ねる。
「いや、まだ私達は中華街の真の姿を知らないわ」
訳がわからない。
「おい、お前の幼馴染みが頭のネジを落としたみたいだぞ」
「大丈夫、緩んでるだけだから」
俺とヒロがからかおうとするが、小野寺さんはどうにも地に足がついてないように、フラフラしている。
「とりあえず何か食べた~い」
「あんだけ食ってよく言えたな…」
皆川さんはさっきも成人男性の平均的な1日の接種カロリーを昼食だけで摂っていた。
「あんなのまだまだ前菜よ、前菜。みんな待たすのが嫌だったから腹五分目で止めたの」
「胃袋にブラックホールでも隠してんのかよ…」
ボソリとつぶやいた。
「何か言った?壱岐清太」
「いえっ!何でもありません!」
不思議なことに背後にやまんばが居たよ今……。
「いらっしゃーい!大食いチャレンジやってるよー!二人一組で制限時間は30分!景品は現金1万円!」
少し先に行ったところで、がたいのいいお兄さんが大食いの宣伝をしていた。
「ま、これでいっか」
皆川さんは呑気に店を見つめる。
中ではチャレンジャーらしき男達(言うまでもなくデカイ)が大盛りになったチャーハンを喰らっている。
「いやいや皆川さん、あれは無理だって。俺もヒロもまだ結構腹一杯なんだけど…」
「大丈夫。小野寺さん連れてくし。二人でそこらへんの店に居てよ。15分くらいで終わるから」
行くよ、と小野寺さんを引っ張り連れていってしまった。
女の子二人で大丈夫だろうか?
「んじゃ、俺らはそこらへんで時間潰してくか」
「そうだな」
ヒロはたいして気にしないでいたので、俺も気にしないことにした。
そして俺とヒロは、しばらく中華街をぶらぶらすることにしたのだった。
~~~~15分後~~~~
「そろそろいい時間かな?」
「いやぁ、まだ終わってないだろう。15分って普通の女の子二人じゃ無理だろ」
隣にいたヒロが動きをピタッと止める。
「どしたの?」
ヒロは驚きの表情を浮かべてこちらを見ていた。
「…お前、まだあいつを普通の女の子だと思ってたのな…」
「???」
「いや、なんでもない。今に分かるさ」
ヒロの言葉が少し引っ掛かったが、今は気にしないでおこうと思い、目的地へ移動を再開した。
「ちょっと~。遅いよ相馬君」
店の前に既に二人共待っていた。
その後ろにはなぜかショボくれているお兄さん(客寄せをやっていた人)がいた。
「どうだった?」
「とっても美味しかったよ。ね、お兄さん」
後ろのお兄さんはノーリアクションだ。
「とりあえず『2万円』ゲットしたよ♪」
………ぬ?
気のせいじゃないとすれば今2万円と言ったように聞こえたが…。
「皆川さんにはまったくもって驚かされたわ。まさか『二回』挑戦するなんて」
「…………」
言葉が出ません。
ポンて肩に手を置かれる。
ヒロが「…な?」と言いたげな目で俺を見る。
皆川さん。
この人は敵にまわしちゃいけないなと、強く思った。
こんな感じで、午後はすごく楽しめた。
午前中の拉致事件が嘘の様に楽しめた。
本当に『楽しかった』
だけど最後にやってしまった。
運が悪いとしか言えないけど。
俺のせいでぶち壊してしまった。
~~~4時過ぎ~~~~
「そろそろチェックポイントに行きましょうか」
帰りのチェックポイントは5時までに横浜公園にて写真撮影だ。
「なんやかんやで楽しかったな」
「あたしは相馬君ともっと二人っきりで遊びたかったけど」
「俺は午後がすごく楽しかった」
皆一様に感想を述べる。
そういえばまだお土産を買っていない。
「横浜公園に行くついでに中華街にも寄っていいか?土産買ってなかったんだ」
「いいんじゃない?皆買ってないでしょうし」
そして俺達は中華街へ向かった。
~~~~中華街~~~~
「これなんて良くね?」
ヒロがパンダの書かれたエプロンを持ってきた。
「うん、可愛いと思う。可愛い女友達にでもあげれば?」
五列程離れた商品棚にいた女子がこちらに耳を傾けている。
誰とは言わないよ、プライバシー保護の為に。
「はぁ!?あげるわけねぇだろ」
「可愛い女友達は否定しないのな」
少し離れた位置から「お客様!商品を壊さないでください!」という店員の嘆きが聞こえる。
「よぉし、たくさん買うかぁー!」
ヒロにも店員の声が聞こえたようで、それに罪悪感を感じたのか知らないが、財布のヒモが緩くなったようだ。
俺はそこから少し離れた商品棚に移動する。
食べ物系のお土産が置いてあるところだ。
「俺も買おうかな。母さんと父さん、あと佐倉と…」
「おーい、清太は誰に買うんだ?」
後ろから話しかけられた時、俺はヒロが話していると思っていた。
「母さんとか父さんにだけど……」
「お姉さんにはいいのかよ」
「!!!」
まだ聖柳学園では誰にも姉さんのことは話していない。
俺は恐る恐る後ろを振り返った。
「久しぶりだなぁ。清太よぉ」
髪を赤く染め、いかにも不良な格好の男達がそこにいた。
「……拓也。何でここに」
「ぐーぜんだよ、ぐーぜん。お前を見かけたからさぁ、少し話したくなってよ。つい声かけちまった」
「…そう。じゃあ俺はこれで」
足早に去ろうとしたが、拓也は俺の腕を強く握って離さなかった。
「そう言わずにさ、少し昔話でもしようや。特に『あの日』のことについてな」
胸が痛む。
『あの日』のことを思い出して……。
「それよりさ、あの二人の女子可愛くない?お前の彼女?あの男と合わせてダブルデートですかぁ?」
拓也の後ろにいた男が下卑た笑い声をもらす。
「あいつらはただのクラスメートだ。巻き込むなよ」
「お前は昔っからそうだ。なぜかお前の周りには良い女が集まるんだよな。佐倉しかり、田中さんしかり」
勝手なことを言わないで欲しい。
俺はそんなの意識したことがないのに。
そしてそれは、前に姉さんに言われたことと少し被った。
『清太。あんたはあの人と似てる。あんたの周りには良い娘が集まるのよ。でもそれは良いことばかりでもないから…』
「清太、ちょっとこっち来いよ。お前らはそこらへんで商品でも見てろ。面倒は起こすなよ」
「へーい」
拓也の周りにいた男達はそれぞれ散らばった。
「ちょっと裏行くぞ」
「…あぁ」
覚悟は、決めてある。
~~~~路地裏~~~~
「お前のせいでっ!皆がっ!バラバラになった!それなのにっ!お前はっ!のんきに新しい生活をっ!楽しんでるっ!ふざけんなっ!」
路地裏に連れていかれ、一方的に殴られた。
一方的というか、俺がガードしなかっただけなのだが。
俺は前に『壊れた人間関係』と言ったと思う。
あれは間違いだ。
『俺が壊した人間関係』というのが正しい。
「ハァ、ハァ」
殴り疲れたのか、拓也の拳は止まった。
俺は今、酷い顔をしているだろう。
痣だらけで、ひょっとしたら頭から血がでてるかも知れない。
でも顔より胸が痛い。
俺は今まで何も見てなかった。
見たくなかったのだ。
「今でも思い出すぜ。お前がぶち壊した時のことを」
~~~約3ヶ月前~~~
卒業まであともう1ヶ月ぐらいの頃。
拓也と俺は1年の時から仲が良かった。
親友と呼べるぐらいには仲が良かったのだ。
そんな俺達だが、高校は別々になることがわかった。
拓也は馬鹿だったから俺が目指していた所とは少しランクが違った。
それでも拓也は、ずっと仲良くしよう、とかそういう言葉をかけてくれた。
嬉しかった。
そして俺達は他の仲の良い友達も含めて、ちょっとした卒業旅行をしようという話になった。
拓也は計画を建てるのが苦手だったから、俺が率先してやった。
最後なんだから最高に盛り上げたかった。
だけどそれは
できなかった。
~~~~~~~~~~~
「懐かしいぜ。お前が俺達をほったらかしにして消えて、俺達の卒業旅行は何にもできず終わった。それでもお前が一言謝れば許すつもりだったさ。だけどよ」
キッと俺を睨む。
「お前は俺達に何て言ったっけ?あぁ!?」
確か……、俺は…。
「『俺のことは放っておいてくれ』ってよ!ざっけんな!」
拓也が脇にあった段ボールを蹴り飛ばす。
「なんでなんだよ、清太。何で俺達を……」
「オイッ!お前何やってる!」
遠くから最近よく聞く声がする。
「チッ。言っとくがお前にはもう俺達のグループの中の立場はねぇからな。地元で会っても話しかけんなよ」
そう言って拓也は去っていった。
「オイ清太!大丈夫か?なんだあいつ、カツアゲされたか?」
「………」
視界には俺を心配してくれる人の顔が写ってる。
でも俺は…。
「…その顔に頼る資格は…ない」
「はぁ?何言ってんだよ。早く先生のとこ行って手当てしてもらわねえと」
ヒロが俺の肩に手を伸ばしてくる。
だが俺はそれをパシッと払った。
「……どうしたんだよ?清太」
「…俺に構うな。三人でチェックポイントまで行ってくれ」
「何言ってんだよ。別にカツアゲされたって恥ずかしくなんか」
「いいから行けって言ってんだよ!!」
思わず怒鳴ってしまった。
自分が情けなくて、自己嫌悪で。
「…わかったよ。その代わりちゃんと今度学校でさっきのこと話せよな」
俺は無言で立ち上がり、そのまま路地裏を出た。
そして1人で駅に向かおうとした時。
「壱岐君!」
後ろから俺を呼ぶ声が。
この声は、きっと小野寺さんだ。
「…ごめん、俺帰るから」
俺が一言答えると小野寺さんは黙りこんでしまった。
「…じゃあね」
返事はなかった。
俺は振り返ることなく、駅に向かった。
~~~~桜木町駅~~~
俺は考え事をしていた。
単に後悔していたとも言えるけど。
「また『壊しちまった』。姉さんの言った通り、俺は不器用なのかな…」
自虐的に笑う。
「もうヒロ達とも話せねぇな」
数時間とは言え、俺には贅沢過ぎる時間だった。
「もっと仲良くなりたかったなぁ」
涙がこぼれそうになった。
駅でたくさん人がいるのに。
「なればいいじゃない」
「なればいいだろう」
「あたしは相馬君以外お断りよ」
は?
なぜか幻聴が聞こえる?
やっぱもうメンタルがダメなのかな。
「俺疲れてんのかな。帰ったらすぐに寝よう」
「そんな簡単に帰すわけねぇだろ。カラオケ行くぞカラオケ」
「私の持ち歌に演歌あるのよ?すごいと思わない?」
「私だって洋楽歌えますぅ。英語ペラペラですぅ」
「おい…」
「どうした?体調でも悪いのか?」
「何でお前達がここにいるんだよ!!」
人目を憚らず、大声をだした。
「同じ班員じゃない。帰りも一緒よ。あと公共の場では静かにしなさい」
俺渾身のツッコミを受け流す。
落ち着け俺。まだ幻覚、幻聴って言う可能性が
「あ、そうだ。あたしガム持ってるわよ。いる?」
「あ、どうも」
赤いガムを貰って口の中に放り込む。
ストロベリーだろうか。
「ハバネロ味だから気をつけてね」
「先に言えよぉ!」
辛いと言うより痛い。
舌の上にビー玉サイズのウニを乗せているようだ。
しかしこの痛みは今、目の前の光景が現実であることを明確に表していた。
「俺のことはいいから、チェックポイントに行けって言っただろ?なんでついて来てんだよ」
「それがさ、俺と鈴がどうしたもんかなーと考えてたら皆川が、ゴフッ」
「相馬君にもハバネロガムあげるよ!」
勢いよくヒロの口にガムを突っ込む皆川さん。
「皆川さんったら『あの眼は駄目だよ。追わないと』って必死に私達を説得してくるのよ。びっくりしたわ」
ガムを突っ込まれているヒロの言葉を小野寺さんが繋いでくれた。
「ちょっと!変なこと言わないでよ!」
皆川さんは必死に弁明しているが、それはあからさまに肯定を表していた。
「そうなの?皆川さん」
「なっ…別に…。ただ…」
「ただ?」
「前にも見たことあるから。あんたのさっきの眼」
さっきの眼というとなんだろう?
店を出る時だろうか?
「あんた、さっきすごく悲しい眼してた。絶望っていうか、自己嫌悪っていうか。そんな感じの眼」
そう言われ、少し理解できた。
「…ありがとう。俺、皆川さんのこと誤解してたかもしんない」
皆川さんはもっとがさつで乱暴かと思ったが、意外に鋭いようだ。
「別にいいよ。あの眼は見たくないから…」
「本当にありがとう」
「…うん」
「おーい。二人で友情深めんのもいいけどさ、これからどうするよ?」
もっともだ。
「時間的に写真は無理かしら…」
ため息をつく小野寺さん。
罪悪感がぶり返してきた。
「そうだよな…」
ヒロにまで言われた…。
「なんかごめん…」
ここでポロッと皆川さんの口から言葉がこぼれた。
「普通にここでカメラ使って撮れば?」
「「「それだっ!」」」
まさに起死回生の方法。
…のように見えた。
学生のノリなんてそんなもんだ。
「んじゃセルフタイマーで……よし。はい、並んでー」
ヒロの携帯にデジカメ顔負けの画素数を誇るカメラがあったため、それを使用することに。
「よし、いくぞー」
ヒロがカメラをセットし終え、四人がカメラの前に並ぶ。
……。
…………。
「長くね?」
「相馬君は何秒で設定したの?」
「一分だ」
「馬鹿なのね」
「余裕を持ちたいだけだよ!」
「え?てかタイミングが分からないと困るんだが」
「動かなきゃ良いじゃない。ばっかじゃないの?」
「やっぱ口悪いな」
「なんですって!?」
「まぁまぁ落ち着けよ」
「誰のせいだか」
「鈴まで…」
カシャッ
カメラのシャッター音が聞こえた。
最悪のタイミングだな。
「もう一回ちゃんと撮りたいよ。次は相馬君とツーショットで…ウフフ」
「お、電車来たな。早く乗らないと帰りが遅くなる」
「逃げないでよ相馬くーん」
結局一枚しか撮れなかった。
「まあいっか」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「早く乗りましょうよ、『清太』」
「あぁ、ん?」
今…『清太』って呼んだか?
聞き違いか?
まあ今は考えなくていいや。
「早くしろー清太ー」
もう皆電車に乗っている。
いろいろトラブルがあったけど。
でも最後にはみんな笑ってる。
「俺は幸福者だな」
こうして4月行事『ふれあい遠足』は終了した。
写真には俺にメンチを切っている皆川さん。
それを呆れながら見る小野寺さん。
小野寺さんによる口撃で気を落としているヒロ。
最後に痣だらけだけど笑顔の俺。
高校生活の始めの一歩としては上出来だ。
そして俺は今一度確認する。
確認させてくれ。
俺は
この学園で
誰かを
『好き』になる
それが俺、壱岐清太の高校生活の目標である。
前書きから謝罪をさせてもらいました。
しかし本来、この話はもっと前に投稿される予定でした。
それがなぜ今に至ったのか…。
理由は簡単。
…タイミングを逃しました。
夏休みは暇かと思いきや、合宿などの行事に追われ、夏休みが終われば文化祭。
本当にすいませんでしたっ!
次の更新はしばらく先になると思います。
感想があれば早くなるかも……。
あと感想を一件頂きました。
ありがとうございました。
これを糧に頑張ります!




