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『遠足に行く』ということ~~前編~~


お久しぶりです。


夏休みは暇なので三週連続更新します。


読んでくれると嬉しいです。


誤字脱字指摘待ってます。


俺が聖柳学園に進学を決めたのには、深い理由がある。


1つはとある理由で俺のバラバラになった人間関係の再構築、ボロボロになった精神面の回復の為に知り合いのいない所に行きたかった為。


もう1つは前の理由にも関係あるが、この学園の変わった特色に惹かれたからである。


聖柳学園の教育方針


その第一項目にはこう書かれている。



『この学園に入学した生徒諸君には、この学園で青春を謳歌し、一生の思い出になるように、出来る限りの援助を行う』と。


しかしこんな事を書かれても、いまいち理解に苦しむだろう。


青春ってなんだよお前(笑)


とか思うだろう。


たが、この項目に関しては具体的な中身がある。


それは


『最低でも月一回の学園行事を行う』


ということである。



これもいい機会なので、もう少し聖柳学園の変わった特色について触れようと思う。


別に文字数を稼ごうとしてる訳ではないから、そこんとこヨロシク。



……メタな発言をしてしまった。


まぁいい、続けよう。


この学園には中等部、高等部がある。


しかし聖柳学園中等部から聖柳学園高等部に上がる者はかなり珍しい。


それはこの学園のある教育方針に引っ掛かるからである。



『この学園に入学した生徒諸君、及び教師はこの学園生活が有限である事を宣告する』


これも具体的には


『生徒は三年間、教師は五年間までしかこの学園に在籍することはできない』


ということだ。


これがこの学園の高等部に中等部から上がってきた人は稀である理由だ。


つまり、中等部2年や3年で転校してきた人しか高等部には上がれないのだ。


他にも、『学園行事を仕切るのは主に生徒会とする』など色々変わった教育方針がある。


この変わった学園なら俺のメンタルも回復させてくれるだろうと思い、迷わず入学した。


入学方法も変わっているがそれはまた今度話そう。



そして聖柳学園高等部4月行事


『ふれあい遠足』が始まろうとしている。


~~1年C組~~~~~


朝のホームルーム


「来週、『ふれあい遠足』がある。今週中にグループを決めておけ。グループ決めのルールを書いたプリントを配る。読んどけ」



城崎先生がプリントを配布する。


プリントには


①4人以上8人以内のグループを作る


②他クラスの生徒とのグループは認めない


③男女混合でも構わない(むしろ推奨)


④バナナはおやつに入ります(笑)



③④少しおかしくね?


④はふざけてるようにしか見えない。


「先生ぇ、このプリント変じゃないすか?」


誰かが城崎先生に言ってくれた。


「変?そんな変な事を書くわけないだ…ろ…」

プリントを読む先生の顔色がみるみる赤くなる。


普段から強面だから一層怖い。


「……あのバカたれが…」


ボソッと呟き教室を出ていった。


「なんなんだ?」


「さぁ?誰かが悪戯で書き足したんじゃね?」


「なるほど」


まぁどうでもいいが。


「おーい!清太。こっち来ーい」


廊下に続くドアからヒロがこちらに向かって手を振っていた。


授業まであと五分もないのだが、渋々向かう。


「清太。相談があるんだ」


真剣な目で頼み込むイケメン。


なかなか見れない光景だ。


「なんだよ?あらたまって」


「遠足で俺と同じグループになってくれ!」


はい?


「え?…いや大歓迎だけど、どしたの?」

「実は……」

「そ・う・まくーん!」


凄い勢いでこちらに向かってくる茶髪、もとい皆川さん。


「チッ!来やがった」


女子に向かって言うセリフではない。


だがまぁ、うん。


なんとなく理解した。


「清太!あとは適当に他の男子を誘ってくれ!俺は花を摘みに行ってくる!」


「ちょ、それ男が言うとキモい。てかおい!授業は!?」


「遅れてでるから頼んだ!」


そして颯爽と駆けるイケメン。


「待ってぇ~相馬く~ん!」


それを追いかける女子。


言葉こそ丁寧だが、皆川さんの背後には黒いオーラが見える(気がする)。




「……おーい田中ぁ。グループ一緒になんない?」


「おぉ、いいぜ!」


とりあえずグループを作っとこう。




~~~~放課後~~~~


「清太、グループどうなった?」


帰りのホームルームが終わるなり、光の速さで俺の席に来る。


「あぁ、バッチリ。お前を入れて8人だ」


我ながらよくやった。


「……清太…」


「なんだよ?感謝の言葉より、俺はジュースの方が……はぁ!?」






想像していただきたい。


イケメンが涙目になっている所を。


「…何で泣いてんの?」


「助かったぁ。ホントにありがとう。ジュースと言わず、ラーメンだって奢るぜ!」


「お、おう…」


必死過ぎて、若干キモ…いや何でもない。


まぁ奢ってくれるなら、喜んで奢ってもらう。


その瞬間――


「……!?」


何か黒いものがヒロの後ろに現れる。


なんかこんなの見たことあるよ俺。


ホラー映画とかそんなので。


『呪怨』とか言ったっけ……。


「ヒロ、後ろ……」


「はぁ?何?」


黒いものはヒロに近づく。


「いや、だから……後ろに」


「後ろ?何だよ、後ろって……」


ガシッと


まるで和田ア〇子がリンゴを握り潰すように。


その手はヒロの肩に添えられた。


「つかまえた☆」


皆川さんであった。


しかし黒いオーラが今朝の2倍位になってる。


「清太ぁ……助けて…」


ヒロは涙目のまま、悪霊に殺される主人公の友達のような声をあげた。


「…皆川さん。落ち着こう」

「五月蝿い☆」


「…よ」


…これが…殺気なのか?


全身に悪寒が走る。


そう思わせるほど、皆川さんは本気だった。



「…ヒロ。ラーメンはまた今度でヨロシクぅ」


ひとまず退散。


三十六計逃げるに如かずだ。


「裏切り者ぉ!誰か助けてぇ!」


後ろから悲鳴が聞こえる。


だが俺は自分のスルースキルには目を見張るものがあると自負している。


なので、いつも通り帰宅することにした。


しかし、玄関まで行ったのに悲鳴が聞こえたのは、不思議だった。



~~~~我が家~~~~


「ただいまぁ」


「お帰り~」


母さんが台所で料理をしていた。


材料から見て、今日はオムライスのようだ。


「清太、学校どう?」


「あぁいい感じだよ」


ヒロは大変そうだけど。


「友達はできた?」


「うん。人並みに」


ヒロはそれどころじゃ無さそうだけど。


「清太」


「何?母さん」


まだ俺のことが心配なのだろうか?


もう大丈夫だと言うのに。


まったく母さんは心配性だな…。


「卵買ってきて?」


「…はぁ?」


………。


「今オムライス作ってるんじゃないの?」


「あら、分かる?清太も成長したわね。もうすぐ独り暮らしとかしちゃうのかしら……」


「大学行ったらするかもね~……じゃなくて!」


「…チッ、清太、卵買ってきて☆」


「今舌打ちした?ねぇ?息子に舌打ちしたよね?」


自慢のスルースキルでも、とてもじゃないが見過ごせない。


「母さんだってたまにはミスるわよ」


「『ミスる』とか使うなよ!自分の年考えろ!」


既に主婦歴20年以上だ。



「いいから卵買ってきなさい。じゃないと卵の代わりに……いやなんでもないわ」


「なんだよ!?言ってくれよ!」


「フンフフ~ン~♪」


畜生、俺のスルースキルは母さんからの遺伝なのか?


見事にスルーしやがる。


「まったく……。行ってきまーす」


「いちばん安いのでヨロシクぅ~」


卵買いにいく位なら別に良いんだ。


途中で面倒な奴に会わないといいが……。



~スーパーマーケット~



意外にも昔の知り合いには会わなくて済んだ。


あとは卵を買うだけで…。



「……安い方が良いよね?」


そこには見知った顔が…。


「……佐倉…」


「ん?…あっ、いっきー!おひさー」


「おう、久しぶり」


そこには幼なじみの佐倉さくら美里みりがいた。


出会った奴が比較的マシな部類の佐倉で良かった。


「いっきー、もう大丈夫?高校ちゃんと行ってる?」


首をかしげながら、上目遣いをする。


ポニーテールがふっさふっさ揺れてる。


目測では震度5弱。

いや、適当なんだけど。


しかし、こいつは天然で無警戒だから困る。

小さな体躯に似合わない、その立派な凹凸は男子を瞬く間に虜にすると言うのに。


まぁ俺は小さい頃から成長の過程を見てるから、なんともないが。


むしろ感動したものだ。


最初は平原だったのに、徐々にエベレストに。


人体の神秘である。


「おう。上手くやってるから大丈夫。お前こそ大丈夫か?またストーカーされてないか?」


「たぶん大丈夫。最近はボディーガードがついたから」


「ボディーガード?」


「うん♪凄く強いし、凶暴なんだよ!」


また物騒な……。


「いっきーも卵?」


「あぁ、母さんがオムライス作るのに卵買い忘れちゃってさぁ」


「あぁ、よくあるよね~」


「あんの!?」


そんな談笑をしながら、買い物を済ませる。


スーパーの出口に向かうと


「りゅーおー!帰るよー」


佐倉が呼び掛けると暗闇から何かが歩いてきた。



「……もしかしてアレがボディーガード?」


「うん♪強そうでしょ」


「強そうというか……」






「……グルル…バウッ!!」





「何あの闘犬の中のスーパーサイヤ人みたいな犬」


「何その言い方~。おもしろーい♪」


「こっちは何も面白くない」


闇から現れたのはドーベルマンの全てを1.5倍したような黒い犬だった。


スカウターで見たらスカウターが壊れそう。


そんな犬だ。


「この犬が登下校についてくるの?」

「うん♪学校には入れないから、正門までだけど。帰りは時間になったらきてくれるんだ♪」


「へぇ……凄いね……」


しかしなぜ俺はこの犬にガンつけられているのだろう?


こいつ本当に犬か?


「私の大事な家族のりゅーおー君です♪」


「名前の由来は?」


「ドラクエです♪」


やっぱりというか。


しかしあれは人間の姿にもなったはず……。


「ガルルル!!(何見てんだよゴルァ!!)」


名前に恥じない犬だ。


たぶんそのうち変身するな。


「逆に襲われないように気をつけろよ…」


「だいじょーぶ♪じゃああたしまだ寄るとこあるから。バイバーイ♪」


「おう、じゃあな」


別れを告げ自宅に戻ろうとすると、後ろから佐倉が


「いっきーのこと心配してる人はたくさんいるんだからねー!悩み事ができたらいつでも言ってねー!」


と叫んだ。


公衆の面前でためらいもせず。


まったくこいつは…。


「おう!頼んだ!」


本当に、暖かい。



~~~~我が家~~~~


「卵買ってきたよー」


「お疲れー」


まったく、間の抜けた声をしやがる。


「飯できたら呼んで」


「りょーかいしましたぁ」


自分の部屋に戻る。


今日はいろいろあった。


でも楽しい。


少し前までは考えられなかったことだ。


少しずつでも、立ち直ってきている。

もう少しでまたあの写真立てをきちんと飾れるだろう。


だけどあと少し待ってほしい。









「………姉ちゃん…」








~~~翌日の教室~~~


「せいたぁ~、よくも裏切ったなぁ」


どんよりとしたイケメンがそこにはいた。


というか、ヒロだった。


「悪かったよ。でもグループは決まったし大丈夫だろ?」


ヒロがうつむく…。


「おい、どうしたん」


「フフフフ……ハハハハ!」


「…ヒロ?」


何の脈絡もなく笑いだすヒロ。


壊れてしまったか?


「俺を裏切った罰だ…」


「はい?」


罰とはまさか…ラーメン抜きか?


「ラーメンは奢ってほしいんだけど…」



「ラーメン位奢ってやるさ!だが条件がある…」


「…条件?」


ずいぶん大げさ言い方だ。


「清太!お前も道連れになってもらう!」


「……え?」


訳がわからない…。


「具体的に言うとどうなるんだ?」


「……と俺の……に入ってもらう」


ボソッと小さく呟く為、よく聞こえない…。


「聞こえないぞ。はっきり言えよ?」


「だからぁ……」


一息ついて、こう言った。





「皆川と俺のグループに入ってもらう!」




………え?


「えぇぇぇぇ!?」



こうして案外何事もなく始まろうとしていた『ふれあい遠足』は、一瞬で、一寸先は地獄のような、お先真っ暗なものになってしまったのだった。

だが、これが俺達の物語の始まり、引き金、プロローグになったことに気づくものはいるはずもなかった…。




―――中編へ続く―――





次回は遠足に行きます。


しょっぱなから皆川さん大暴走。


それを押さえようとする清太と鈴。


そして被害者兼元凶のヒロ。



来週もお楽しみに。

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