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魔法の消しゴム

作者: ちまちゃん
掲載日:2026/04/04

小学4年生のみゆきには、ずっと好きな人がいます。

それは、となりの席のハルトくんです。


ハルトくんはサッカーが得意で、いつも明るいクラスの人気者。

一方のみゆきは、ちょっと内気で本を読むのが大好きな女の子です。


ある日の休み時間、クラスで「好きな人の名前を消しゴムに書いて、使い切ると両想いになれる」というおまじないが流行りました。

みゆきもドキドキしながら、新しい消しゴムのカバーの裏に、小さな文字で「ハルト」と書きこみました。


「だれにも見つかりませんように……」


ところが、算数の授業中のことです。

ハルトくんが「あ、消しゴム忘れた!」と困っています。みゆきは勇気を出して、「……これ、使って」と、あのおまじないの消しゴムを貸してあげました。


ハルトくんは「サンキュー!」と笑顔で受け取りましたが、みゆきは気が気ではありません。

もしカバーがずれて、名前が見えてしまったらどうしよう。

心臓がバクバク鳴って、授業の内容がまったく頭に入りません。


放課後、ハルトくんが消しゴムを返しに来てくれました。

「みゆき、ありがとう。助かったよ!」

そう言って返された消しゴムを見て、みゆきは青ざめました。

なんと、カバーが表裏逆についていたのです。


(見られたかな? 嫌われちゃったかな?)


不安でいっぱいになったみゆきは、それから数日間、ハルトくんを避けるようになってしまいました。

ハルトくんが話しかけてこようとしても、わざと友達のところへ行ったり、下校時間をずらしたり……。


そんなある日の夕方、忘れ物を取りに教室へ戻ると、そこには一人で掃除をしているハルトくんがいました。

「あ、みゆき。……最近、なんか避けてる?」


ハルトくんがまっすぐ目を見て聞いてきました。

みゆきはうつむいたまま、消えそうな声で答えました。

「だって、消しゴムの名前、見たでしょ……?」


すると、ハルトくんは少し照れくさそうに笑って、自分の筆箱から消しゴムを取り出しました。

その消しゴムのカバーを外すと、そこにはいびつな字で「みゆき」と書かれていたのです。


「俺も、おまじないしてたんだ。みゆきの消しゴムを借りた時、名前が書いてあるのを見て……自分だけじゃないんだって思って、すごく嬉しかったのに。みゆきが急によそよそしくなったから、嫌われたかと思ったよ」


二人は顔を見合わせて、同時に笑ってしまいました。


「すれ違ってたんだね」

「うん。でも、もう大丈夫」


教室の窓から差し込む夕焼けが、真っ赤になった二人の顔を優しく照らしていました。

消しゴムの魔法は、少し遠回りをしたけれど、ちゃんと二人の心をつないでくれたようです。

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