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デパート 何の変哲もない人間観察

作者: リン

デパートのエスカレータ横から視える視界

フロアの中は人でいっぱいだ

お目当ての買い物をする人の足取りはゆるやかに陽気だ

グループで買い物をする人の足取りはほかの人に合わせてわずかにゆっくりしている

何を買うか決めていない人の足取りはベクトルがまばらだ

もう買い物を済ませて帰る人の足取りは一直線である

もちろんそれぞれに個体差のある歩き方をしている



エスカレータの下りに乗る中年男性がいる

何か考え事をしてうつむいている

そのまわりに纏った空気感が若干普通と異なっている

これは後ろを振り向く時の空気感だ

しばらくして中年男性は後ろの奥さんと思われる女性に笑顔で話しかける



高級品のショーケースの後ろでぼったちして客待ちしている女性店員がいる

商品が高すぎるのだ

だれも近づこうとしないでショーケースの前を通り過ぎる

店員の身体全体の空気感のゆらぎが

彼女が右を向くといっている

首筋、頬の輪郭線、顎のラインから醸し出される空気感も

右を向くと出ている

やがて、首筋から後頭部にかけての空気感に乱れが出る

集中力が切れた証だ

そして、彼女は右を向く


彼女の思考はこうだろう

待てども暮らせど客が来ない

突っ立ったまま前を向いているのが辛くなっている

だんだん集中力が散漫になり

気を紛らわせるために

特に何も考えもなく

不意に、右を向く



下の階からエスカレータに上がろうとする老夫婦がいる

仲が良いのか二人並んでいる

どちらが先にエスカレータに上がるか

この時点でわたしは知っている

老夫婦の老女は片手に荷物を持ち

老人男性は少し足が前に出ている

答えは

家庭内地位の高い方が先に上がる

二人の空気感を見ていればそれがわかる

先述した二つの要素はたくさんある空気感・所作の要素の二つにすぎず

ほとんど要因になりえない


今回は老女の方が勝ち気で家庭内地位が高く

老人男性が先を譲って後ろに回り

二人してエスカレータに列をなして

当たり前のことのように上る



上の階の通路で走って遊ぶ三人の少年たちがいる

通路を駆けて行っている

先頭を行く少年の視線がエスカレータの目の前の地面を見ている

そのときにはもう彼らがUターンすると

わたしは知っている

少年の心がまだUターンをすると考えていないころ

脳内ではもうUターンする思考が働いて

目線がエスカレータ前の地面を見ている

そして思いついたように

Uターンすると決めて

エスカレータ前まで来ると

身体を翻して

逆方向へ走り出す



空気感とは

その人の周りに纏わりついたオーラで

無数の粒子で構成されている

その一つ一つの性質とベクトルの流れを

わたしは視て

他の人には気づかない

微細な所作を加えて

未来を予期する



エスカレータ横から見える視界の人々に未来があり

それをすべて同時に予知する

視界に入っている人数はおよそ30名

その全員の空気感・所作をわたしの脳が計算し、解を出し続ける

たった15秒から20秒程度の出来事

脳が視ている超感覚の世界

亀有駅前イトーヨーカ堂で起こった脳と心が繋がった覚醒状態

未来の視える狭く小さな計算式

超感覚の中に未来視という能力があります。

実際にはこんなかんじですね。

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