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創造ー僕らの理想をもう一度ー  作者: むすっちゃ
歯車の再起動編
1/5

第1話 始まり

初投稿させていただくむすっちゃと申します。

小説を書くのもこれが初めてなので、暖かい目で見ていただけると幸いです。

1821年、世界は崩壊した。この日、とある日本人男性が突然、謎の能力に目覚めたのだ。


後に「想像種(そうぞうしゅ)」と呼ばれることとなるこの能力は、


「自分の想像したものを現実に生成する」


という能力だ。自身の体内にある

「体内循環型想像構成種」、通称「想像力」

を消費し、自分の想像したものを生成できる。だが、当時は、物質を指定し、大きさや形などを決め、想像力を大量に消費してやっと生成できる。


当然だが、当時は複雑な化合物は作ることは出来ない。また、想像力上限が小さく、エネルギー回復に約1日を要する。そのため、夢のような力とは程遠い存在であった。



だが、数年後には人数も増え、中には、エネルギー上限が高い者や、複雑な物質を簡単に生成できる者などが現れ始めた。世間で話題になると、各列強は可能性を見出し想像種の研究に力を入れ始めた。




ここで、疑問に思うことは無いだろうか?そう。世界はどうして崩壊したのか。これを聞く限りでは、到底そんなことは考えられないだろう。先へ進むといい。世界の崩壊に至った真実はこの先にある。




ー2055年、東京都南多摩区ー




ーピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピガチャッ




「ふぁぁ、もうこんな時間か」


(俺は神坂祐希。高校三年生だ。突然だが、学校はめんどくさい!そう思わないかい?思うだろ!?確かに学校は大切だ。よく分かる。勉強した方がいいのもよく分かる。だが、勉強に縛られるのが本当に嫌なのだ。分かるか?この気持ち。)


誰に話しているのか祐希自身も分からないが、そんなことを考えながらリビングへ向かう。


「おはよう、母さん」

「あら、おはよう」


リビングに着くとソファに座る母がの姿が。どうやらニュースを見ているようだ。


「どんなニュースやってた?」

「そうそう、さっき速報来たんだけどね、我人が近くで出没したらしいのよ。近所らしいし、祐希も気をつけなさいね。」



我人(ガジン)。あぁ、そんなの居たっけか。)


その時、ふと3年前の授業を思い出す。




ーーー




「はい、授業始めるぞー。起立。」

「お願いしまーす」


(3時間目、歴史の授業だったな。この日は我人に付いて教えてもらったんだったっけ。)


「質問だ。我人について詳しく知ってるやつは居るか?」


先生の質問に手を挙げる生徒は祐希含め数人程度。日本人のほとんどはそこまで詳しく知らない、何故かと言うと日本では我人による被害が比較的少ないためだ。


島国であるため、我人の襲撃はあまり多くない。しかも人と接触することもあまりない。


例えで言えば「国の軍隊については知っているが、細かい部隊の名前は知らない」と同じような状態である。


最近は日本でもよく我人が出没するらしいのだが、人生で実際に見たことなどない人がほとんどであろう。


「今日は我人についての授業だ。まず、我人とは、人型の怪物だ。これはみんな知ってるだろう。では、いつ頃、どこで出没したか、分かるやついるか?」


(はっはーん。俺の得意分野だからな、分からないわけない。)


だが、祐希が答えるより先に


「1854年、旧エジプトの砂漠地帯です」

「佐々木、流石だな、正解だ。」


結真に先を越された。

佐々木結真。学年トップの学力と運動能力を持ち合わせ、人当たりがよく優しい。さらに美少女という完璧人間。


祐希とは小学生の頃から仲良かったのだが、勉強のことになるとよくライバル化している。


今はというと、別の高校に行ってるので連絡はほとんど取り合わない。


「佐々木が言ってくれたように、1854年、旧エジプトに突如として我人が現れたんだ。みんな驚くだろうが最初は素手で倒せるくらい弱かったんだ。」


「だが、直ぐに数を増やし、どんどん強くなっていった。それから30年強で今の地図とほとんど同じになったって訳だ。」



我人は動物を喰らい個体数を増やす。もちろん、人間も沢山犠牲になった。


個体数を増やす際、体の構造や細胞などが1番近い生物が1番効率がよいらしく、人間がその生物なのだ。


我人はペスト以上に猛威をふるい、人口の伸びは悪く現在でも世界人口は約15億となっている。


そして、今の人間生存地域は、南北アメリカ大陸、西ポーランドの1部を含めた西側ヨーロッパ、日本、台湾、東南アジア・太平洋諸島、オセアニアのみ。


当時は産業革命が熱を帯びていたこともあり世界中で慢性的な資源不足に陥るも、想像種を用いて物質を生成することで難を逃れた。



「我人の最大の特徴は『知能と身体能力が比例関係にあること』だ。つまりは、頭が良ければ良いほど、身体能力も上がるのだ。

つまり強い。知能が高いやつは、弱い振りをしたり、言葉を喋れたり、突然現れたりする。」


つまりは、個体数と知能数を上げ続け、急速に力をつけられ人類が敗走したということだ。

弱い我人に化けて相手を騙したり、言葉を喋ったり、自分の気配を消していきなり姿を現すなどする我人は一般人では太刀打ちできない。


「はい次、ここ大事だからな。今の唯一の戦線は、西ポーランド地区だ。ここでは各国の主力が集まっている。連合軍だ。その連合軍のことを「創世軍」と呼ぶ。彼らは想像種と想像種兵器で戦う。で、みんな分かると思うが創世軍最高司令官は?」


そう聞かれると、全員揃って


「小村優!」


と答えた。一部のクラスメイトは


「小村優様」


と言っていたのは、多分気のせいだ。


「正解だ。テストに出るから覚えておけー。」


(...小村優。世界最強の男。28歳という若さで人類の頂点に立つ者。

いつか会ってみたいなぁ。叶うはずがないけど...)




ーーー




ここでふとまた思い出す。


「母さん、そういや小村さん日本に居るんだっけ?」


そう、昨日のニュースで見たことだ。


【小村優、3年ぶりに日本に帰国!】


と大々的に発表していた。


「そうよ、東京の多摩の方に居るって言ってたから、もしかしたら会えるかも...なんて」


母は笑いながら言った。小村は新兵器の視察をするため、ドイツ・ポーランド前線から日本に戻ってきた。

メディアがこんなに大々的に報道するということは、長期的な滞在になることが予想できる。


ドイツ戦線は当分、別の人がトップを任されることになるだろう。



いつも通り、祐希は朝ご飯を食べて家を出る。祐希は、学校は面倒くさいが、なんだかんだ行けないとつまらないものだと思っているので、意外にもサボりはしない。


祐希は自転車に乗り、学校へと向かった。




ーーー




学校に着くと、小村優の話で持ちきりだ。数年ぶりの帰国の知らせだ、騒ぐのも仕方の無いことだろう。おまけに世代が近いので、余計に気になってしまう。


ただ、授業はいつも通りに進んだ。帰国記念として授業くらい無くしてくれと祐希は思ったが、現実はそう甘くないようだ。




6時限目が終わった。祐希は自転車に乗り家に帰るところ。


(このまま何も無く家に帰れるといいんだが、何か嫌な予感がする。気のせいだといいんだけど。)


なぜか祐希の背中に悪寒が走った。ただ、祐希は気のせいだと思って、そのまま友達と共に学校をあとにする。彼らとは家の方面が違うので校門でお別れだ。


「祐希、じゃーな!また明日」

「おう、じゃーな!」


いつも通り返事をして自転車を漕ぎ始める。


(学校終わりの自転車で受ける風は心地よい。これを楽しみの一つとして学校に行ってると言っても過言では無いだろう...いや、過言か?)


どうでもいいことを考えながら道を進む。いつもの事だ。


ただ、ここからはいつも通りにはいかない。

学校から出て五分くらい経っただろうか。大通りから住宅街に入ったところで、何かが聞こえた。



「キャァァァァァァァ!」



女性の悲鳴だ。なんかあったのだろうか。

早く家に帰りたいから無視したいところだが、祐希は困ってる人を見捨てられないタイプだ。声のした方へ向かうことにした。



「...は?」



思わず声が出た。体から冷や汗が止まらない。


(目の前に居るのはなんだ?女性と、あれは...。ネットで見たことがある。あの魚の鱗のようなガサガサした肌、口が異様にデカく、歯がとても鋭い。しかも人間と似た見た目...)


そう、我人だ。目の前に我人がいて、女性が人質にされている。


(まずい、どうしよう。このまま見捨てる訳にはいかない。逃げればこの女性は死ぬ。ん、待てよ...?なぜあの女性を殺さない?個体を増やす最高の餌だぞ?おかしい、何かがおかしい。)


頭はパニック状態だ。そこに追い打ちをかけるがごとく、祐希はある一言を思い出す。


ー「頭が良ければ良いほど、身体能力が上がるのだ。つまり強い。」ー


(おいおい、今更こんなこと思い出すなよ。

まさかそんな訳ないだろう。人質をとる行動は、あまり強くない我人でも起こる行動だ。)


祐希が焦っていると、もう1人こちらに来たようだ。


(防衛隊か...?防衛隊が1人でも来てくれればすぐに倒せるだろう!)


祐希はそう思った。

しかし、現実はそんなに甘くない。そんな淡い期待は見事に裏切られ、祐希と同じタイプなのであろう、女子高生がやってきた。


(こっちに来たらお前も巻き込まれるだろうが!あぁ、クソッ、よりにやってこんなタイミングで...って、あれ?どっかで見たことあるぞ...?)


疑問に思う。よく見ていた顔が、そこにはあったからだ。

そう、今来た女子高生は、祐希と仲の良かった、あの佐々木結真だった。


(おいおい、こんな所で再開したくねぇよ。このピンチの状況で再開したいなんて思わない。


...いや、待てよ?もしかしたらこの我人を倒せるかもしれない。結真が居れば心強いし、このまま見てるだけは嫌だ!)


そう思い、祐希は一か八か、結真に話しかけることにした。このまま死ぬより、相手を殺せるなら殺した方がいいと考えたようだ。


「なぁ、結真。」

「!?」


最初は驚いた顔を見せた結真だったが、


「...なんだ、祐希か。」


状況を察したのか、すぐに順応した。


「俺は今から我人に想像種弾で攻撃を仕掛ける。お前も合わせてくれると助かるんだが、いいか?相手を挟むようにして撃ち込むぞ。」


祐希がそう言うと結真は端的に返してきた。


「結局私に拒否権はないのね。」


どうやら分かってくれたようだ。相変わらず、飲み込みが早い。


祐希と結真は結構長い付き合いなので連携プレーなどお手の物。祐希たちは我人の破壊をするべく作戦を実行する。


「せーのでいくぞ、せーのっ!」


そう言った瞬間、相手の両サイドに入り込み、すぐさま想像種弾を撃ち込む。祐希は撃つ直前、身構えた我人の隙を狙い、女性を抱えて引き剥がすことに成功した。


この連携は祐希と結真だからこそ出来ただろう。2人は一般人より想像種の扱いには長けてるし、運動能力も高めだから出来たのだ。


かなり高出力でぶつけたし、流石に倒せただろう。立ち込める煙に包まれた我人をよそに、祐希たちは安堵の表情を浮かべる。



女性は腰が抜けたのか、座り込んでいる。だが、そう上手くは行かない。彼らの安堵も束の間だった。



「ハハハハハハハハハハハ!いいなお前ら、強いぞ。強いぞ!俺様と相手になるくらいにはなぁ!」



絶望の到来だ。さっき吹き飛ばした部分が再生していることから推測するに、全く効いていないようだ。


煙で我人がどうなったのか見えなかったから、安心して逃げることをしなかった3人は、絶望のどん底に落とされた。




(嘘だろ...?今までの嫌な予感は、全部当たってたってことかよ...。

終わりだ。勝てっこない。



...ここで死ぬのか?嫌だよ、まだやりたいことが沢山あるんだ。



たのむ...助けてくれ...誰か...。)




心がバキバキと砕ける音がした。

次回は22日に投稿したいなと思ってます。

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