宇宙に棲息する巨大な生物から生活場所を守るために
「来たぞ」
観測員から通信が入る。
展開する部隊は表示される画像に目を向けた。
人類が宇宙に進出した時代。
広大な生存間を確保するために躍動した人々は、そこで大きな脅威と出会う。
宇宙そのものを住処とする生物。
宇宙海獣に。
魚が海を住処とするように。
宇宙海獣は宇宙を住処としていた。
その大きさは巨大で、確認されてる標準的な海獣ですら数百キロの全長を持つ。
最も大きなものだと、それこそ何万キロという巨大さだった。
そうした宇宙海獣の一匹が、人類の生存圏内に接近していた。
迎撃をするために宇宙軍が展開していく。
巨大な宇宙海獣であるが、倒せないわけではない。
深い傷を与え、体を一定以上失えば活動を停止する。
体内に入り込み、心臓部を破壊しても良い。
簡単に死にはしないが、殺す事は出来る。
曲がりなりにも生命体だからだ。
あるいは、進路を変更させる事ができればそれで良い。
ようは、人類の生存圏に入らせなければ良いのだ。
倒すだけが全てではない。
しかし、この場合、後日再び襲いかかってくる事もある。
結局、どうにかして倒す方が手間が省けて良い。
なので、出来るだけその場で仕留める事が求められていた。
その為に軍が出動する。
巨大な宇宙海獣を倒せるのは、最大火力を保有する軍にしかできない。
今回も宇宙海獣の前に展開し、攻撃を待つ。
戦艦が、人型ロボットが。
照準を宇宙海獣に合わせていく。
射程に入ったところで、それらは攻撃を開始していった。
首長竜に似た姿をした今回の宇宙海獣。
その胴体に次々と攻撃があたる。
そのほとんどが表皮を削る程度の損害しか与えない。
だが、何発も続けて撃てば、やがては体内を穿っていく。
艦砲射撃から人型ロボットによる肉薄攻撃。
様々な攻撃が宇宙海獣に向かう。
体の様々な部分を吹き飛ばされて宇宙海獣は苦痛に悶える。
それでも攻撃は止まらない。
宇宙怪獣を倒すにはまだ至らないからだ。
宇宙怪獣とて黙ってるわけではない。
口からビームを吐き出す。
体中のあちこちについた目のような器官からもビームを出す。
それらが宇宙怪獣を阻止しようとする部隊を襲う。
何機かの人型ロボットが撃墜される。
その攻撃をぬって、何機かのロボットが接近する。
危険ではあるが、接近しないとできない事がある。
それを遣るために、撃墜を恐れずに宇宙怪獣に接近していく。
人型ロボットが宇宙怪獣に肉薄する。
その表面に取りつき、ビームソードを突き刺す。
短距離専用ビーム兵器であるそれは、最大火力で宇宙怪獣の表皮を貫通する。
そのままロボットは、宇宙怪獣の体表を走り抜けていく。
進むごとに宇宙怪獣の表皮が左右に裂けていく。
そこに攻撃が集中する。
表にあらわれた宇宙怪獣の細胞組織。
それらが攻撃によってえぐられていく。
体の内部を破壊されていく宇宙怪獣。
さすがにこれには耐えきれず、宇宙怪獣は絶命していった。
「目標沈黙」
観測結果が部隊全体に通達される。
ここでようやく誰もが一息入れることができるようになった。
もっとも、作業が終わったわけではない。
「続いて解体にうつる」
戦闘終了後の処理がはじまる。
宇宙怪獣の体は様々な資源が内包されている。
通常では入手不可能な物質もだ。
撃退後はこれらを回収する事がほぼ義務づけられている。
手間のかかる作業だが、希少物質を手に入れるためだ。
巨大な脅威を倒したあとの、ささやかな報酬と言える。
それを手にして部隊は帰還していく。
命がけの作業を終えて。
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