ー2ー 不死鳥の加護
「アリス!可愛らしい名前だね、よろしくね!」
ノアは僕の頭を撫でる。とても心地いい。けれどこれでいいのか?と後ろめたい気持ちが出てきた。
中身おっさんなのに。
でも死んで(多分)転生して、こんな猫耳美少女になったんだから、いい......のか?女同士ってことで。
とりあえず、一人称は「私」にならしていかないと、僕っていったら変に思われる......私私私。
「アリス、あなたはどこから来たの?」
と、ノアが聞いてくる。私がどこから......わからん。日本......なんて言えないし。別世界......とも言えない。
と、猫耳をひくひくさせながら黙り考えていると、ノアが続けた。
「私があなたを見つけたのは、この街から北に見える大きな山。神山アーライヴの、不死鳥の祠で倒れていたの。衣服はぼろぼろだったからこっちで処分しちゃった。」
ゴメンねとばつのわるそうな顔をして、苦笑いした。可愛い。
「き、記憶がないです。なんで、そんな所で......。あ、それで私を保護してくれたんですか?もしかして、この宿も......?」
ぐっ!とノアが親指をたてた。
「そーだよ!えーと、4日だ。あなたはこの宿に来て4日間眠り続けたの。」
「知り合いの回復魔法師の子にも治癒してもらったんだけど、全然目覚めなくてこのまま起きなかったら、どうしようかと思ったよー。」
「す、すみません。ご迷惑をおかけしてしまったようで......」
「いいの、いいの!」
「で、でも宿のお金とか、治療費とか......どうお返ししたら良いでしょうか?私、お金持ってなくて......」
暗くなる私の顔をみると、ノアはまた柔らかく頭を撫でた。そして、立て掛けてあった槍を背負い、私の部屋で話そう。そう言って自室を指差した。
私、心臓がばくばくしてる......!
ーーーー
部屋に入ると、ノアは食パンのように見えるパンと、厚切りのハム見たいな肉を出してくれた。
どーぞ、食べて食べてと言われ、起きてから何も食べてなかったので頂くことにした。でもおかしいな。あれだけ時間がたったのにお腹がすいてない......食べるけど。――お、美味い!
美味しそうに食べる私を見て、ノアはにこにこしていた。美しい。
そして、少し真剣な目をして私に言った。
「単刀直入に言うと、あなたにお願いがあるの」
「お願い......なんですか?」
どっかで働けとか、そんな感じかな。お金たくさんつかわせちゃったし。
「私と一緒に冒険者部隊に入ってほしいの!」
え、と思った。冒険者部隊って、昼間街を見回ったとき殺人鬼の張り紙が張られていた横にあった。簡単に言うと魔王を倒しに行く軍隊みたいなやつか。
......なにそれ、こわくね。
魔物とかと戦うんでしょ。全然嫌なんだけど。怖すぎる。
顔が青くなる私にノアは続けた。
「事情は教えられないんだけど、私どうしても冒険者部隊に入りたくて。あなたにとってもメリットがあるの!お金がたくさん貰えて、今後の生活には困らなくなるよ!」
「ノアさん......わたし」
無理......と、言いかけたとき。
「あなたには戦闘向きの能力もあるしね!」
「の、能力?」
能力......特殊能力?まじ?
戦闘向きのってことは、炎だしたり、雷を放つとかそういうの?
まじか!!
「これも、ちょっと怒られてしまうかもなんだけど、さっき言った回復魔法師にお願いして、あなたの事を知るために魔力解析したの。身元がわかればと思って。」
「そしたらあなたの身体には凄いものが宿っていたのそれは」
ごくり......
「不死鳥の加護」
不死鳥の......加護。なんか凄そう!!!
「不死鳥の加護というのは、1、どんな事をされても死なない身体。2、損傷した身体の瞬時修復。この二つの能力を宿しているの。」
「だから、あなたは戦いで万一死ぬほどの致命傷を負ったとしても、命を落とすこともないし、腕とか足が損傷して取れたりしてもすぐに元通り!スゴくない!?」
え、予想してたよりすごくね?
それって、ゲームでいうならヒットポイント、体力が0になってもすぐに回復するってことだよね。
単純に炎を操れるとかそんなんかと思ってた。
あとは痛みにさえたえられるか......。いや、そもそもそれほどのケガなんてそうそうないのでは?
これは......チートスキルと言うやつ!?
「で、でも、戦ったことないし。」
「私が教える!まだ部隊募集には時間があるから、頑張ろ!」
そう言いノアはまた頭撫でてくれた。
今日はとても良い夢がみられるな、と思った。
変な意味じゃなく。
ーーーー
翌日、私は武器屋でナイフを買ってもらった。
他に日本刀とか斧とか、強そうな武器はたくさんあったが、私の種族は筋力が全然ないらしく、色々素振りとかして試したところ、このナイフくらいしか扱えないみたいだ。
ちなみに店主には、君は戦闘向きの種族じゃないからやめといた方がいい。と言われた。
ノアはわたしがアリスを絶対強くする!と強く抱きしめた。むぐぐぐぐ(ち、窒息する......)
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