ー1ー 白髪猫耳少女と水色髪エルフ少女
朝、目が覚めると、僕は知らない部屋に居た。
木製の壁に大きな鏡のついた化粧台。その側には女性物の洋服が掛けられた(なんで?)衣紋掛け。部屋の真ん中には小さなテーブルがひとつあり、その上には綺麗な薔薇が飾られている。
寝ぼけてるのか、僕は旅行中だったかな。と状況を把握しようと状況把握に努める。
しかし、おかしなことに部屋には僕のバッグなどの荷物が見当たらない。スマホすらないのだ。
どういう事だ?と、ベッドから降り部屋にひとつだけある、日が射していた窓の外を眺めた。
晴れやかな空の下、街中を行き交う人々。この部屋は二階にあるらしく、街が見渡せた。おお、凄い。これが中世の街並みと言うやつか?元居た国とは違う造りの建物群を眺め、感動していた。
そして僕は、ん、あれ......?と、気がついた。あそこで買い物している人も、そこの通りを歩いてる人もだ。
あるものは猫耳が生えていて、そしてあるものは身体中鱗に覆われている。更には小さな小人のようなものがキラキラと光る鱗粉を放ち、飛び交っている。あれは妖精と言うやつかな。
彼等は、どう見ても人間ではない。
僕は一通り街を眺め、静かに頷いた。
「ああ、夢か。」
そして、もう一度眠れば戻れるのかな。と布団へ潜り込もうとした時、化粧台の鏡に映る自分の姿が目に入った。
「!?」
「え、な......え!?」
そこに映っていたのは青色のパジャマを着た、猫耳と白髪の碧眼美少女だった。
髪は肩にかかるくらいの長さ。身長は160くらいか?てか、めっちゃ若い......16才となそのくらいかな?わからん。
ひくひくと耳を動かしてみる。ほ、本物だ......。
僕......猫耳美少女になってる。
次に身体を確認してみた。あるはずのものがない。かわりにお尻に猫の尻尾が生え、胸部が膨らんでいた(控え目)。
これは、夢......だと、思う。多分。でも......
でも、直ぐに起きてこの身体を手離すのは勿体無くないか......?
現実戻ったって、30過ぎの冴えない男だぞ。しかもブラックな会社勤めで、いつ身体壊して死ぬかわからな......。と、ふと最近で最後の記憶。過労で倒れ、病院のベッドで寝てたのを思い出した。
ーーん、あれ?もしかして、僕、死んだのか?
てことは、これはラノベやアニメとかゲームでよくある、転生ってやつ?
ーーーー
僕は部屋にあった水色のワンピースを着て、外にでた。僕の部屋にあったのだきっと僕のものだろ。......多分。
僕のいた部屋は宿屋だったのだが、お金は事前に誰かが払ってたみたいで払わなくていいらしい。まあ、僕、お金ないんだけれど......。
ちなみに、あと1週間は泊まれるみたいなんだけど。誰が払ったんだろう。ここまでされると怖いな。
街中に歩き、きょろきょろとあちこちを見物する。色々な物があり、好奇心が刺激される。
現代では見たことのない、武器屋や魔石屋が物珍しく特に楽しかった。けれど、ああいう店があると言うことは、やっぱりこの異世界にもモンスターとか魔物的なのが身近にいると言うことか。
国同士の争いとかで使う武器とかであれば、ああやって店で大量に売らないしな。あー怖っ。
と、街中を見物していたら、日が暮れかけている。
さっき見た壁の張り紙に、闇夜の出歩き注意、殺人鬼が目撃されています。ってのが張られていた。
転生して直ぐに命を落としてしまっては、悔やんでも悔やみきれない。しかもこんな猫耳美少女なのに。......よし、帰るか。
ーーーー
宿へ戻ると、ロビーの壁に大きな槍が立て掛けられているのを見かけた。なにこれ、カッコいいなー!こんな大きな槍、武器屋にも売ってなかったよな......長さは、僕の身長より全然ある。180センチくらい?
そしてその横のテーブルでティーカップに口をつけてる女の子がひとり。綺麗な薄水色の腰まである長髪。耳はツンと尖り、エルフだと確信させた。目尻も少し上がっていて、瞳の色は紅い。左の目と耳の間に三つ編みにし束ねてる髪が一本垂れ下がっている。年はぱっと見、同じくらいかな?うーん......
なんと言うエルフ美少女!!
ドキドキし横目でちらちら見ながら、自室(誰かに借りていただいている)へ入るため二階へあがろうとすると、長髪の美少女エルフは僕に気がつき、呼び止めた。
「――あ!あなた!」
ビクッ!!!
「は、はい!な、なな、なんでしょう」
急に美少女に呼び止められ、焦る僕。すげーてんぱってる。恥ずかしい。
「目が覚めたのね!良かった!」
と、美少女エルフは満面の笑顔をみせ僕に抱きついてきた。私の顔が美少女エルフの胸(豊満)に埋まる。そして、頭をそのまま撫でられた。
幸せの極み。これだけでも転生した甲斐がある、と僕は思いました。
「ま、まって、君は誰なの?」
と、できればあと三時間くらい抱きしめ撫で撫でしていていただきたかったが、僕の事を知っているみたいだし、話しを聞かないと。
「私?ああ、そっかそっか!私はエルフ。竜槍のノア・ミューネって呼ばれてるよ。」
にっこり笑うノアさん。あなたの名前は何て言うの?と、聞き返された。
名前......うーん、まあ......ネトゲのキャラクターに使っていたので良いか。
「僕......じゃない、私の名前はアリス。」
「アリス・シストリア。です......。」
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