『第2話 むかしむかしのエタったファンタジー』
『第2話 むかしむかしのエタったファンタジー』
-まえがき-
まずは1話めよりもっと読みづらい文書でごめんなさいm(_ _)m
↑さすがに誤記が多かったので、一部校正などし直しました( ̄▽ ̄;)
これはおそらく人の目に触れる前提の文章としては自分の最古のものでしょう。
第1話は20代後半に書いたものでしたが、これは20代前半に書いたものです。(書き初めは二十歳だったか未成年だったかはっきりしないのですが、たぶん二十歳は過ぎていたと思います)
このお話の前に書いていたのは、ほとんどが落書きめいた文章で、TRPGのシナリオや世界を題材にした二次創作やリプレイのような文章でした。
レポート用紙に友人たちと遊ぶTRPGシナリオメモを書くように、手書きで書き連ねたものでしたね。
これもレポート用紙に手書きしたものだったのですが、ワープロを(ワープロソフトではなくワープロの機械を)持っていたゲーム仲間の友人に頼み込んで清書してもらったのですね。
おそらく見づらいレポートではなく、原稿用紙に書き直したものを渡していたと思います。←ルビがうまく振れないから、プリントした原稿に手で切り貼りしたと友人が言っていたことを記憶しています(苦笑)
懐かしいですね。今ほど便利ではありませんでしたが、無いものは無いなりに考えて作っていたことを思い出します。
あの頃は言葉遊びのように文章を書くことに気を取られていて、意識的に文章に感情を込めることを考えておりませんでしたから、今見ると、ちょっと違って見えますね(^_^;)
自分の初の公開文章で、初のエタり作品です(笑)
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人と人との交わりゆく様
それを糸にたとえるなら
世は正に
綴られゆく一枚のタペストリー
タペストリー -外伝-
-灰色の道化師の章-
◇◇◇
男は強ばったその手より、血まみれの剣を引き剥がした。
剣は虚ろな音をたてて落ち、生命を失う。
その傍らに転がる者のように。
男の息づかいと共に永劫の時間が過ぎたかに思われた後、男はその中の一振りを握りしめた。まるで握り潰そうかとでもするように拳を白くして。
その精神の中に明確な思考が流れ込む。
「賢明な選択だ。我が力をお前のために役立ててやろう。
我が名はレギオン。私がお前にふさわしい名を与えてやろう。
お前はサイファと名のるがいい……」
◇
「姫よ……、それほどまでに私を忌み嫌うのか」
薄暗い部屋の中から抜け出したかのように、闇を織り込んだかのような黒いローブの男は微かな音すら立てず、先ほど姫と呼んだ女性に歩み寄った。
彼女はその異様な光景に気圧されることなく、毅然とした態度でその問いに答える。
年の頃は17~18であろうか。薄暗い部屋に浮き上がる彼女の服装は可憐な蕾を思い起こさせる。これが舞踏会であれば、その中でひと際輝く大輪となったことだろう。
けれどもこの場では、死者に手向けとなる一輪の花という雰囲気を隠しきれてはいない。
そして、その顔色がそれを更に強めていた。
「わたしはあなたの花嫁にはなりません。たとえ強要されたとしても」
男は近づき、骨そのものである様な細く白い手で素早く彼女の手を掴んだ。彼女の体はそれに反応するかの様に動く。
「離しなさい。こんな事をして父が黙って……」
言葉は続かず、彼女の声はうめきに取って変わる。
彼女は男の手を振り解こうともがくが、どこに力の源があるのか、男の手は彼女の手を掴んだまま緩む気配すら見せず、さらに力が加えられる。男にとって彼女の美しい顔が苦痛に歪む事こそ至上の喜びであるかの様だった。
「大公如きが我が妨げになるものか。邪魔をすれば虫けらの如く握り潰してくれよう。この手でな」
言葉の終わりの方はかん高い笑い声と混じり合い、ほとんど聞き取れないほどだったが、男の狂気と残虐なまでの攻撃的な意思は、瘴気の如く辺りを包み込む。そして彼女の既に白くなった手に更に力が加えられ、彼女の声が絶叫に変わろうとした時、男は初めてそれに気付いたかのように手を離し、退いた。
その時の印象は男がまるで動揺したかの様に見え、男の先ほどまでの様相とは別の一面を見せたかの様だった。
彼女はよろめきながらもその姿勢を崩さず、その強さを見せた。男にとって、その事が救いになったのだろう。
「我が花嫁にふさわしい態度だ」
男はそう言い放つと、闇の中に消えた。闇そのものに溶け、混じり合うかの様に。
◇
それまで張っていた緊張の糸が切れたのだろう。少女はその場にへたり込むと、押し殺した声で泣き始めた。
その涙は多感な年頃の少女のごく普通な反応であり、その多感さゆえに泣き止む瞬間を見いだせずにいた……。
- 「「僕が助けてあげるよ!!」」 -
彼女の心より声が響いた。その心に住む、思い出の中の少年達によって。
- いつだったろうか……。二人の少年が彼女言った言葉だった。
彼女はあの時、茶目っ気たっぷりに、二人の少年にこう聞いていた。
「もし私が悪い竜にさらわれたら?」 -
ほとんど同時に答えた二人の目の輝きは、今まで彼女の思い出の中に残り、そして今、彼女の心の支えとしてその心の中に留まろうとしていた。
「リルフ……、トーマス」
彼女の口よりそっと漏れた呟きは、やがて安らかな寝息に変わろうとしていた。
その時の彼女は幸せな時の中にいた。
◇
その頃、塔より一匹の竜が飛び立った。
その巨大な姿は、星明かりに照らし出され妖しげな姿を映し出す。
夜を包み込むようなその翼は、滑るように空を駆け、その力溢れる身体を目的地である大公の館へと運んでいた。
そして、鋼のような二つの首の片方には、一人の男が咥えられていた。
新月の晩のことである。
◇
闇の中に男の声が響く。忍び寄る夜の闇のように。
「何故慰めを与える……。優しいことだな」
一呼吸の後、別の声が答える。
ローブの男。その声は、一切の感情を持たぬかのように紡ぎ出される。
「わが花嫁だ……。どう扱おうが勝手だろう」
「その通り。どう扱おうが構わないのだ……。
何故思い通りに扱わぬ。あの女はお前のものだろう」
「だまれ」
ローブの男は静かに、だが有無を言わせない鋭さで言った。
もうひとつの声はそれに気付かないのか、それともわざと無視する気なのか、更に口調を速めながら続ける。
「跪かせるがいい。その眼が卑屈な光で満たされる様に。
愛させるがいい。その眼に欲情の光を写し出させる様に。
お前にはその力があるのだ。私には解るぞ。お前の心が」
「だまれ影め!!
お前は大人しく付いてくればいい!!」
「いいだろう……。お前が主人だ。……今のところは。
だが憶えておくがいい。私はお前なのだ。どんなに嫌おうがな」
男の怒気に、臆することなく言ってのけた声の主は、その口を噤んだ。
だが、はたしてローブの男は気付いていたのだろうか。もともと影と呼ばれた男など居なかったことを。
それは見る者には奇異に、そして滑稽に映ったろう。口論し、対立する二つの人物。
さながら道化師の演ずる喜劇の様に続き、闇の中に終わりを告げる幕が降りる。
◇
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以上です。
これはなんか、すげー恥ずかしい感じがありますね(笑)←どこがというか、なんとなくクサいのでしょう。黒歴史的な印象があります(苦笑)
これは流れの切りの良いところまで書き写した分です。原稿全体の1ページ半くらいでしょうか?
物語はこれを前編として、あと8ページぐらいの文章を物語として書いて、友人と初めて出した同人誌に掲載したのですね。←本はあきれるほど売れませんでした(爆)
お話の続きは仕上がりませんでした。←売れなかったからでは無いですよ。ちょっとはあるかもですけどね(苦笑)
ざっくりしたプロットはまだ頭にありますが、続きは書かれないままです。
余談ですが、自分のお話のあちらこちらに顔を出してる人物であるサイファのお話への登場は、このお話が最初です。←後ろで自キャラの猫又がニヤニヤしてる気がしますね(苦笑)
今投稿したり中断したりしているお話には、この物語のエピソードは使いたいと考えてはいるのですね。
まあでも、今中断してるお話の部分を終わらせた先のことです(笑)




